アパッチ砦

劇場公開日:

解説

「荒野の決闘」のジョン・フォードがメリアン・C・クーパーと創立したアーゴシー・プロの第2回作品(1948)で、自ら製作・監督に当たった。ジェームズ・ワーナー・ベラの原作を「レッド・リヴァ」のフランク・S・ニュージェントが脚色、西部劇を得意とするアーチー・スタウトが撮影、「駅馬車(1939)」「果てなき航路」のリチャード・ヘイゲマンが音楽を担当した。主演は「炎の街」のジョン・ウェイン、「荒野の決闘」のヘンリー・フォンダ、「独身者と女学生」のシャーリー・テンプル、新人ジョン・エイガーで、その他「真珠」のペドロ・アルメンダリス、「果てなき航路」のウォード・ボンド、「男の敵」のヴィクター・マクラグレン、「ケンタッキー魂」のジャック・ペニック等、フォード作品常連や、アイリーン・リッチ、アンナ・リー、ディック・フォーラン、ガイ・キッビー等が助演している。

1948年製作/アメリカ
原題または英題:Fort Apache
配給:セントラル
劇場公開日:1953年1月3日

ストーリー

南北戦争で指揮官として失策したサースデイ将軍(ヘンリー・フォンダ)は大佐に階級を下げられ、インディアンとの紛争の絶えなかったフォート・アパッチの守備隊の司令官に任命された。彼は娘のフィラデルフィア(シャーリー・テンプル)を伴い赴任する。サースデイ大佐は無骨一点ばりの人間で、フォート・アパッチ守備隊に古くからいるヨーク大尉(ジョン・ウェイン)や、コリングウッド大尉とも、しばしば意見を衝突させた。大佐はこの地方の脅威アパッチ族を平定して武名をあげ、1日も早く将軍に復位することを夢見ていた。だからインディアンの情勢に詳しいヨーク大尉の計画に反対し、兵隊に毎日激しい訓練を課すのだった。部隊の古参軍曹の伜であるオルーク中尉(ジョン・エイガー)は若く凛々しかったので、いつしかフィラデルフィアと愛し合うようになっていた。サースデイ大佐は互いの家柄がちがいすぎると娘に警告を与えるが、オルーク軍曹夫人(アイリーン・リッチ)の努力により大佐の心も解け、2人の結婚式が賑やかに行なわれた。コリングウッド大尉はインディアンと講和を提案するが、折から軍事物資輸送の駅馬車がインディアンに襲撃されたため、大佐は一挙にアパッチ族の本拠を殲滅するべく出動を命じる。インディアンの戦法を知るヨーク大尉の計画を無視して、大佐は操典どおりの作戦計画を立てるが、反対に部隊はインディアンの包陣攻撃を受ける。サースデイ大佐をはじめ古強者は相ついで戦死を遂げ、ヨーク大尉はいったん後退を命ずるほかなかった。ヨーク大尉はサースデイ大佐の勇戦を上司に報告し、再び整備された部隊を率い、大佐の葬い合戦にのぼるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0【組織の長がヒエラルキーに拘り過ぎ、且つ思想の違う人たちを否定的に観た結果の悲劇をジョン・フォード監督が見事に喝破したそれまでの西部劇には無かった描き方をした作品。今作は現代でも通用する作品である。】

2024年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■ネイティブ・アメリカン、アパッチ族との戦いが続く“アパッチ砦”に左遷されたサースデイ中佐(ヘンリー・フォンダ)。
 功を焦る彼は先任将校のヨーク大尉(ジョン・ウェイン)と先住民族のネイティブ・アメリカンに対する思想の違いや、組織の中のヒエラルキーへの拘りの違いから衝突を繰り返し、砦に不穏な空気が流れ始める。
 そんな中、アパッチ族蜂起の知らせが伝わる。
 サースデイは功を挙げるために他の将校の反対を退け、部隊に出動を命じる。

◆感想

・今作で、ジョン・フォード監督が見事に喝破した事はレビュータイトルに書いた通りである。
 サースデイ中佐は、赴任当初から“アパッチ砦”に赴任した事を恥じ、功を挙げようと必死になる。
 序盤は、その辺りがユーモラスを交えて描かれるが、中盤からは一気にシリアスになって行くのである。

・この、サースデイ中佐の思想は、現代社会でも面々と哀しき事に引き継がれている。アメリカ及び一部の欧州各国で言えば、自国ファースト主義が台頭し(今作で言えば、サースデイ中佐がネイティブ・アメリカンを【絶対悪】として捉えている点である。)難しい問題があるのは重々承知しているが、移民を排除し、有色民族に対して敵意を持つ思想である。

・今作では、ネイティブ・アメリカンの族長たちが、直々に自分達の考えをサースデイ中佐に伝えるシーンがキチンと描かれている。
 これも、今までの西部劇には無かったシーンである。
 ジョン・フォード監督の、先住民族であるネイティブ・アメリカンの位置づけをキチンと描いている先見性には敬服する。

■尚、余計な事かも知れないが、私は数年前から”インディアン”という言葉は使わない。”インディアン”とは、後からアメリカ大陸に来た白色人種の造語であるからである。
 日本で言えば、アイヌの人達を”蝦夷民族”と呼ぶのに近しいものがあると思うからである。

<今作は、予想通りサースデイ中佐が率いる舞台は、悲劇的な最期を迎える。これも当時の西部劇としては画期的な事である。
 商業的に言えば、不興を買ったと思われるが、それでもジョン・フォード監督は真実を美化する事無く描いている。
 ジョン・ウェイン演じるサースデイ中佐の前任者であるカービー・ヨーク大尉の、哀し気な表情が印象的な作品である。>

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NOBU

3.0退屈

2024年8月29日
PCから投稿

フォード先生の名作の一つらしいですが、終盤を除いて良さがわかりません。
西部劇というよりは部隊内部の人間関係やちょっとした恋愛ストーリーが序盤から中盤にかけて続きますが、メリハリがなくテンポの遅いので退屈極まりないです。
戦闘シーンになると俄然フォード調が最高潮に達しますが。

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越後屋

5.0例外をつくらないこと

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1948年。ジョン・フォード監督。中央から最前線のアパッチ砦に左遷されてきた指揮官。規則を盾に現場に規律をもたらしつつ、同行している娘の行状まで管理しようとする。現場との軋轢を生じつつも指揮官として命令を下し続ける男。そのつけを最後に自分自身で払うことになる、という話。
自分自身を例外として扱わない(扱えない)という意味では極めて公平で、そのためにとてつもなく悲劇的な主人公。だからこの映画は基本的には悲劇だ。指揮官は権威を振るって満足してるのではなく、どうしようもなく規則を遂行しているだけだから(娘の交際相手について自ら規則から踏み出した行動をして部下にたしなめられ、謝罪している。肉親の感情×規則の遂行)。しかし一方で、その姿は喜劇的でもある。部下に規則で言い負かされ、娘に出し抜かれ、ダンスを踊らされる。この一筋縄ではいかない描き方がフォード監督の真骨頂。憎まれ役も憎めない。
ほかにも、同期らしき下士官との関係や新人教育の様子、兵士たちの日常などコミカルな部分が多くておもしろい。複雑な人間関係を複雑に描いている。

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4.0インディアンに敬意を示すジョン・ウエインとインディアン殲滅されるヘンリー・フォンダ隊

2022年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Kazu Ann

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