悪人と美女
劇場公開日:1953年6月16日
解説
「ジェーン・エア」の脚本を書いたジョン・ハウスマンが製作にあたり、「三つの恋の物語」(第2話)のヴィンセント・ミネリが監督した1952年作品。ハリウッドの内幕を描くジョージ・ブラッドショウのストーリーを「女群西部へ」のチャールズ・スクニーが脚色した。撮影は「北の狼」のロバート・サーティース、音楽は「猛獣と令嬢」のデイヴィッド・ラクシンの担当。主演は「三銃士(1948)」のラナ・ターナー、「三つの恋の物語」(第3話)のカーク・ダグラス、「拳銃往来」のディック・パウエル、「百万$の人魚」のウォルター・ピジョン、「群盗の宿」のバリー・サリヴァンで、「突然の恐怖」のグロリア・グレアム、ギルバート・ローランド、レオ・G・キャロルらが助演。なお、この作品は52年アカデミー賞で、脚色賞、女優助演賞(グロリア・グレアム)、撮影賞、美術賞、衣裳デザイン賞の5つの部門に入賞した。
1952年製作/アメリカ
原題または英題:The Bad and the Beautiful
配給:MGM日本支社
劇場公開日:1953年6月16日
ストーリー
ハリウッドの一流監督フレッド。アミエル(バリー・サリヴァン)にパリのジョナサン・シールズ(カーク・ダグラス)から長距離電話がかかってきたが、彼は出ようともしなかった。同じ電話がいまを時めく大スター、ジョージア・ロリスン(ラナ・ターナー)にも、第1級の脚本家のジェームズ・リー・バートロー(ディック・パウエル)にもかかって来たが、2人もやはり至極冷淡だった。その日の真夜中、3人は製作責任者のハリイ・ペベル(ウォルター・ピジョン)に呼ばれ、ジョナサンの電話の要件は彼が2年ぶりで映画製作を目論み、3人の協力を求めて来たのだと聞かされた。しかし3人には、ジョナサンにまつわる苦い思い出があったのだ。監督のフレッドが彼を知ったのは18年前、映画事業の開拓者だった彼の父ヒューゴー・シールズの葬式の日だった。その頃、フレッドは監督志望の貧乏な映画青年であり、一文なしだが製作意欲に燃えているジョナサンと仕事仲間になった。ジョナサンは、当時B級映画の製作者だったハリイの撮影所で働き、数年間に11本の映画を作ったが、終わりの8本はフレッドが監督にあたった。ジョナサンとフレッドはもはやB級作品にはもの足りず、ほかの撮影所が幾度か試みて失敗した小説「遥かなる山」の映画化を企て、2人でその脚本に没頭、快心のものをつくった。だが撮影開始の直前、ジョナサンは監督をフォン・エルスティーンに変えたので、フレッドは激怒してジョナサンと袂を分かった。その後彼は2つのアカデミイ賞を得、一流監督にのし上がったのだ。ジョージアがジョナサンを知ったのはまだ彼女が端役もありつけない頃だった。彼女の亡父はアリウッドの最も偉大な俳優の1人だった。そのことが彼女に大きな重荷となり、劣等感の苦しみを酒にまぎらせ、自殺を企てたこともあった。ジョナサンは彼女に役を与えその劣等感を容赦なく叩きこわした。彼女はしばらく俳優修業に真剣になり、酒を断ち、やがてはジョナサンの作品に主演するようになった。それとともに彼女はジョナサンに愛情を抱きはじめ、ジョナサンも彼女を愛しているように見えたが、実は彼の求めるもの、ただ立派なスターとしての彼女だけだった。やがてジョージアは、彼に別の女があることを知って絶望し、彼との契約を破棄した。だがこの7年間、彼女はいつも人気投票のベストテンに選ばれていた。脚本家ジェームズがジョナサンを知ったのは49年の夏だった。大学教授のかたわら、2回目の小説を書いていた彼は、ジョナサンからシナリオ・ライターとして招かれ、妻ローズマリ(グロリア・グレアム)にせがまれて2週間の予定でハリウッドへ向かった。口説き上手のジョナサンはジェームズに「誇らしき土地」のシナリオを引き受けさせた。そして、ローズマリを仕事の邪魔になるとて人気男優ゴーチョに預け、ジェームズを静かな湖畔につれ出して仕事に没頭させた。シナリオが完成したとき、ローズマリとゴーチョは飛行機事故で死んだ。ジェームズはジョナサンのために自らの生活を破壊されたが、今や彼は最近作でピューリツァ賞を獲得し、ハリウッドきっての脚本家としておさまっていた。ジョナサンは「誇らしき土地」を自ら監督して失敗し欧州に渡ったのだ。――3人がそれぞれ回想にふけっていたとき、ジョナサンからハリイに電話がかかって来た。3人とも彼との仕事はもう真っ平だとは思ったが、何か気にかかる彼の声に耳を傾けずにはいられなかった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ビンセント・ミネリ
- 脚色
- チャールズ・シュニー
- 原作
- ジョージ・ブラッドショウ
- 製作
- ジョン・ハウスマン
- 撮影
- ロバート・サーティース
- 美術
- セドリック・ギボンズ
- エドワード・C・カーファグノ
- 音楽
- デビッド・ラクシン
- 録音
- ダグラス・シアラー
- 編集
- コンラッド・A・ネルビッヒ
受賞歴
第25回 アカデミー賞(1953年)
受賞
助演女優賞 | グロリア・グレアム |
---|---|
脚色賞 | チャールズ・シュニー |
撮影賞(白黒) | ロバート・サーティース |
衣装デザイン賞(白黒) | ヘレン・ローズ |
美術賞(白黒) |
ノミネート
男優賞 | カーク・ダグラス |
---|
第10回 ゴールデングローブ賞(1953年)
ノミネート
最優秀助演男優賞 | ギルバート・ローランド |
---|---|
最優秀助演女優賞 | グロリア・グレアム |