愛を弾く女

劇場公開日:

解説

新進女性ヴァイオリン奏者と、彼女をめぐる二人の男との恋を描く恋愛ドラマ。監督・脚本は「僕と一緒に幾日か」のクロード・ソーテ。エグゼクティヴ・プロデューサーは「さよならモンペール」のジャン・ルイ・リヴィとフィリップ・カルカソンヌ。共同脚本は「僕と一緒に幾日か」のジャック・フィスキ。撮影は「伴奏者」のイヴ・アンジェロ。音楽はモーリス・ラヴェルの『ピアノ三重奏曲』と『ソナタ』を全編に使用した。音楽監督は「ラ・ピラート」のフィリップ・サルドが担当。主演は「美しき諍い女」のエマニュエル・ベアール、「ロミュアルドとジュリエット」のダニエル・オートゥイユ、「メロ」のアンドレ・デュソリエ。一九九二年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞、国際批評家連盟賞、九三年セザール賞監督賞、助演男優賞、九三年フランス・メリエス賞最優秀作品賞受賞。

1992年製作/フランス
原題または英題:Uncoeurenhiver
配給:アルバトロス・フィルム=テレビ東京
劇場公開日:1993年7月10日

ストーリー

美貌の新進ヴァイオリン奏者カミーユ(エマニュエル・ベアール)は、パリのレストランで二人の男性に出会う。一人は自分の愛人で楽器工房経営者のマクシム(アンドレ・デュソリエ)、もう一人はマクシムとコンビを組む楽器の“外科医”ステファン(ダニエル・オートゥイユ)だった。音に関して天才的な感覚を持つステファンは、カミーユの持ち込んだヴァイオリンの魂柱をわずかに細工して彼女の望み通りの音を作り驚かせる。カミーユは自分に注がれるステファンの強い視線を意識し、マクシムとでは味わえない高揚感を与えられるようになった。カミーユはマクシムに別れを告げ、ステファンに愛を告白するが、彼は「君のことを愛してはいない……」と言う。傷心のカミーユは演奏旅行に旅立ち、マクシムとステファンの友情は壊れ、二人は工房を別にするようになった。八か月半の後、三人は再会した。マクシムとカミーユは再び一緒に暮らすようになっていた。苦しみを乗り越えたカミーユは前にも増して美しくなり、音楽家としても成長していた。カミーユはステファンと言葉を交わし、視線を交わしながら、あの苦しみが自分の人生と音楽を大きく成長させたことを知るのだった。

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映画レビュー

4.0男の美学かな〜

2021年2月26日
iPhoneアプリから投稿

「愛と宿命の泉」でも共演していたダニエルオトゥユとエマニュエルベアール。2人共に、真逆の役柄でとても興味深かったです。
ダニエルさん、紳士ですね〜。天性とも思われる職業の役だし、素敵な女友達もいる。
エマニュエルベアールの自己中わがままなテクニック?に引っかかるな!と、かばいたくなりました。笑笑
奥手に見えていても、衣装もさりげなく着こなしている。深緑のジャケットは素敵!
女性陣の衣装も、それぞれの人の個性や場面の雰囲気を出していて、着こなしが流石、おフランスです!

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るー

5.0かくもかなしき思慮深き男の運命かな

2008年8月28日

泣ける

悲しい

幸せ

個人的に今まで観た悲劇系のラブストーリーなら断トツでこれ一番。タイタニックなんてこれに比べれば子供だましです。

ダニエル・オートゥイユ演じるしがないバイオリンの調律師と、その上司を恋人にもつ前途有望なバイオリニストの女(エマニュエル・べアール)の哀れな恋物語。お互いに一目ぼれだが、自分の気持ちを告白しようとしない男に業を煮やし、女から詰め寄る。が、あっさり「君なんて好きじゃない」と男は言ってのける。もちろん男は嘘を言っているのだが、ある意味それは彼の複雑な境遇の心境を言い表すにはベストな言葉。

男は、余命わずかな親友に頼まれ安楽死の注射も顔色ひとつ変えずに打ってしまう人。彼の優しさの横に常にいるのは、世界を深く見据えてしまう故の、誰にも理解しがたい愛に満ちた冷たさ。こういう人は孤独を愛するものです。

ミヒャエル・ハネケ監督がダニエル・オートゥイユを「一見普通の常識人に見えるが、心の底にやましさがありそうな役をやらしたら抜群」と評したように、この映画の彼の演技は一生心に残るものとなっています。最後の、ガラス越しに映るダニエルの姿が、光の反射と共にかすんでいく映像が、この映画のすべてを語っていると思う。素晴らしい。監督さんただものじゃありません。

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あんゆ~る