哀愁のレビュー・感想・評価
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英国のメロドラマ古典
自分の幸せと相手の幸せの間で揺れ動く主人公、踊り子の心理描写が白眉。 熱い友情にも泣ける。 冒頭とラストを晩年の将校の回顧シーンにする演出も味わい深かった。
「ラクな仕事と言ったのは誰かしら。…きっとそいつは、女じゃないわ」
母に教えられて知った映画。蛍の光のことも。 どうしてもヴィヴィアン・リーというと、スカーレット・オハラの印象が強いので比較してしまいますが、この映画のマイラ・レスターは、可愛らしく純粋で傷つきやすい女性で意外!と失礼ですが思ってしまいます。 仕事がない若い女性の、行き着く先は……。 腹が立って仕方がないです。 日本も昔の歌に"東京の花売り娘"がありますが、そういったことのようで…。 私がこの映画を見て学んだのはそこでした。戦争が始まると、こういうことが往々にして起こるのだ、と。 キティの、地を這うように言った言葉に、悲しくて震えました。あの時、バレエ楽団に戻れていたら。 辞めてなかったら違ったかもしれないのに。マイラも、ああならなかったかもしれない…。
第一次世界大戦中の話で、始まりが第二次世界大戦で、そのまま終わる。この虚しさは映画に効果を与えていると思った。
我が親父のDVDコレクションから。 ヴィヴィアン・リーは演技のうまい女優だと思う。お嬢様から汚れ役まで。 しかし、決して綺麗な女優とは言えない。ヘップバーンやグレース・ケリーの美しさには勝てない。 反面、彼女は踊りとかはうまくないのではと感じた。踊り子の設定なのに。 第一次世界大戦中の話で、始まりが第二次世界大戦で、そのまま終わる。この虚しさは映画に効果を与えていると思った。真っ暗な話だが、これが現実かもしれない。
戦争の悲劇
1940年、白黒映画の金字塔 白黒クラシック映画の名作中の名作。銀幕の役者が雲の上のひとに思える程。絶対的な美男美女の二人。 ビビアン.リーとロバート.テイラー 第一次大戦下に巡りあった踊り子とエリート大佐の悲恋を、美しく儚く描いた物語 十代の頃、銀座の名画座で上映されたこの映画を、懐かしくBSで観賞。 ストーリーは単純ながら、戦時中の中だからこそ必死に互いに夢中になり、身分の違いだからこそ一瞬に燃え上がる恋。 スマホがあり、どこでも繋がり。世界中の相手と話せる今の時代の若者にはこの世界観は難しく感情移入できない事だろう。 ストーリーは単純であるが、生死をかけた障害のある時代だからこその、複雑さや美しさ。 悲恋映画の代表作、今も美しく色褪せない
皆、演技がうますぎる
何となく観たBSで連ドラ予約している映画の一つ。 ストーリーは単純だけど、演技が上手いから見入ってしまう。 純粋な2人。幸せになって欲しかったなあ。 とにかく全てのシーンが素晴らしい。マイラの幸せを祝福するキティもいいし、 お坊ちゃん育ちの大尉も、優しくていい奴で、印象深い。 主役のビビアンリーの演技は凄いねえ。娼婦として客の気を引こうとする表情 なんか鳥肌が立ちそうになった。ほんと天使にも悪魔にも見えた。 1940の映画、日本は日中戦争からの第二次大戦の足音が忍び寄る時期。 悲しいかな、大国アメリカの大きさと深さにはかないっこなかった。
美男美女のメロドラマ
美男(ロバート・テイラー)美女(ビビアン・リー)が、第二次大戦下のロンドンで繰り広げるメロドラマで、さすがに絵になる。 一目惚れした二人は、急遽、結婚式を挙げようとするが・・・。 悲しい。
ベタなよろめき、小気味よし
お話は古典的なベタなよろめきですが、まず脚本に無駄がない、役者は主演も含めて全員はまってます。 何よりも、悲恋話のくせにテンポが早く、メリハリが効いて、場面の切れ味がいいので目が離せない面白さです。ルロイ君の手柄でしょう。ワイルダー君みたような職人監督ですね。しかし、邦題は時代を考えても「ウォータールー橋」の方が情緒あると思いますけど。
世界一の映画館支配人の大のお気に入り映画
淀川長治に世界一と言わしめた一地方都市の 映画館「グリーンハウス」の元支配人、 佐藤久一の大のお気に入りの映画だった と知って再鑑賞。 ストーリーはシンプルで 奇をてらったところは無いどころか、 何故か絶えない負のベクトルの連続は、 結論に結び付けるための強引とも言える な展開ではある。 急な出征に際し、彼の「見送りはいい、 戻ったら結婚式を挙げよう」の一言が あったらダンサーを首になる等、 全ての暗転劇は無かっただろうと 思いながらも、 彼女の次の仕事が見つからないことも、 彼に困窮を伝えないのも、 戦死のエラー記事による彼の母との行き違い も、そもそもがこのドラマを成立させるため の要素に過ぎず、それをリアリティ欠如との 指摘も野暮と言うべきかも知れない。 そして私は、彼と結ばれることへの 彼女の心の葛藤に共に引きずり込まれた。 ただ、 今の時代だったらこんな結末には 導かないだろうとの時代性は感じる作品だ。 今の時代だったら、例えば 「わたしは、ダニエル・ブレイク」 のように、ヒロインが娼婦に身を堕とした としても、それは個人の責任性とは異なり、 社会の矛盾がもたらしたものとしての描写に ウエイトが置かれる。 「わたしは…」が社会変革による非常時 における悲劇だとしたら、 「哀愁」は戦争という非常時における悲劇 と言えるかも知れないが、 この映画のヒロインの出した結論は あくまでも彼女個人の思索の結果だ。 再鑑賞に当たっては、 肝心な点を忘れていて、 彼女の自死の切っ掛けは、 良くあるパターンである過去を知る人物との 再会と考えて観ていた。 しかし、彼女の最後の選択が、 あくまでも自身の心の葛藤の結果であり、 その見事な描写が、 類似の作品には無い深い感動 をもたらしているようにも思える。 マーヴィン・ルロイ作品としては、 その後の「心の旅路」「若草物語」 「クォ・ヴァディス」の鑑賞のみだが、 恋愛物としては「心の旅路」の方が ハッピーエンドの分だけ 後味の良さはある。
美男美女とはこの二人のこと
今はバレエダンサーはアートを体現する代表のようになっているが、かつてはあまり良い職業ではなかったわけですね。女性が人前で足を見せるということで。 でもそういう職業の女性(踊り子という表現になってます)でも偏見を持たず(持たないように努力するお母さま)、彼女とみんなの前でダンスすることで彼女をみとめたことを表現する伯父さん、そういう人たちの心情を理解したからこそ、ラストの悲劇につながってしまう。 最初ロイと出会ったときの橋の上、さらには地下の駅構内に避難したときのヴィヴィアンの雰囲気と、踊り子をやめさせられたあとの仕事を始める彼女(駅で相手をさがしている)の立ち振る舞いの違い。初々しさがあった彼女が、今は。。。やっぱりこの人も女優でした! 余りにも有名な映画でしたが、メロドラマでしょ、と思って観ませんでした。でもやはり名作といわれるだけのことはありました。
瞳の中に恐れが見える
1939年、英国はドイツに宣戦布告した時、ウォータールー橋にたたずむ将校。かつてロバートテイラー扮する英国将校クローニン大尉は空襲警報の折、ヴィヴィアンリー扮するバレエの踊り子マイラレスターと偶然ウォータールー橋の上で出会い別れ際にマイラのお守りをもらった。クローニンは、後日劇場へバレエを見に行きマイラを食事に誘った。 別れのワルツなんかで気軽にダンス出来るのはいいよね。一目ぼれのふたりは燃えるからさ。将校を見つめるヴィヴィアンの麗しい笑顔と眼の輝きが素敵だったね。将校と踊り子と言う設定だったが、意地悪なマダムが邪魔するけど戦時中の前線の戦いを前にした純粋な気持ちが切ないね。しかし望みも身寄りも無く、生きていくためには金を稼がなければならず、現実にさいなまれていく。取り返しのつかない現実を全て受け入れる事が出来るのだろうか。戦争が成せる出来事なれど、幸せをつかめる者とつかめない者がいる。瞳の中に恐れが見えるとクローニンは言った。秘密をかかえる事は極めてつらいね。
白鳥と黒鳥を演じ分けたヴィヴィアン・リーの透き通る美しさが永遠の輝きを放つ
47年振りの再見、懐かしく感慨深い映画の一本。 双葉十三郎氏の”僕の採点表”では、1930年に舞台化されたロバート・E・シャーウッドの『Waterloo Bridge』の三度の映画化で一番の出来と評価されている。興味深いことに、日本公開が1949年の戦後であったのに対して、太平洋戦争開戦以前の1940年の上海で”驚くほどの当たりをとったそうである”と記録されている。不穏な時代を反映した題材の典型的な悲恋物語に、当時の国際都市上海の人々が魅了されたのであろう。 観直してまず感心したのが、現代のリアリティやリアリズムの映画様式ではない古典的な運命劇の語り口が、確り構成されていることだった。監督のマーヴィン・ルロイの演出は、特に技巧を見せびらかすテクニックを披露はしていない。丁寧で落ち着いたタッチで、常に安定した構図に人物を収め、主人公マイラ・レスターを引き立たせるアップカットを多用して悲劇のヒロインを前面に打ち出している。当時のスター優先の映画制作ではあるが、「風と共に去りぬ」で一躍脚光を浴びたヴィヴィアン・リーの透き通る美しさと豊かで明確な表情演技があっての作品価値に集約されている。特に婚約者ロイ・クローニンがフランスへ出兵してからの後半の急展開に見せるヴィヴィアン・リーの困惑と一時の喜び、そして罪悪感に苛まれる演技の素晴らしさ。いくつかの見せ場を並べて徐々に盛り上がりを作り、最後精神的に追い込まれたマイラの心情をこれ以上ない説得力で、観る者を説き伏せ納得させる。単なるお涙頂戴の甘いメロドラマと決めつけてはいけない。ヴィヴィアン・リーの自作一番のお気に入り作品とある。スカーレット・オハラとは真逆のマイラ・レスターに誠心誠意込めた演技の成果に本人が満足していることが全てであろう。印象的な場面を二つ挙げると、ロイの母マーガレットと初対面するシーン、そしてウォルタールー駅で偶然再会するシーン。音楽では『白鳥の湖』を基調とした情感のバリエーションと『蛍の光』のロマンティックな効果が生きている。お守りビリケンの扱いも物語の中に無理なく添えられている。 白鳥のマイラが黒鳥に代わった悲劇に、再び白鳥に戻れなかったマイラの純真さにこころ奪われる映画。イギリスの階級社会が軍隊にそのまま組織化されているところも時代を窺わせる。その王子役で大尉のロバート・テイラーは、その美男子振りに価値がある。当時29歳とは思えない渋さと貫禄にも驚く。50代の大佐役の方が自然に見える。いい演技を見せてくれたのが、母親マーガレット・クローニンを演じたルシル・ワトソン。マイラに寄り添う心優しい友人キティは役柄の良さが大きいが、ヴァージニア・フィールドも好感持てる演技。ロイの叔父の連隊長役のC・オーブリー・スミスの身長193センチの立派な体躯と威厳ある風貌も印象的。テイラーと並んでも見劣りがしない。唯一の嫌われ役バレエ指導者マダム・キーロウは、「邂逅」ではミシェルの優しい祖母役で良い役を演じている。 この作品は、映画を観始めて漸くその良さを自分なりの解釈で記録できる頃の想い出の映画だった。その年のテレビで見た名作のベストを記録すると・・・・ ①シェーン②シベールの日曜日③ハスラー④理由なき反抗⑤哀愁⑥禁じられた遊び⑦仔鹿物語⑧ローマの休日⑨レベッカ⑩十二人の怒れる男⑪終着駅⑫俺たちに明日はない⑬ifもしも・・・⑭ダーリング⑮裸足のイサドラ⑯イージー・ライダー⑰個人教授⑱慕情⑲史上最大の作戦⑳巴里のアメリカ人㉑旅情㉒アンドロメダ㉓グレートレース㉔空中ブランコ㉕猿の惑星㉖ミクロの決死圏㉗荒野の七人㉘尼僧物語㉙手錠のままの脱獄㉚血と怒りの河 10代の未熟な鑑賞だったから、今全てを観直したら全然変わってしまうだろう。それでも、それも自分の経験として記録することは良いことだと思う。「哀愁」が5位とはね~~。自分でもびっくり。
パディントン駅でのヴィヴィアン・リーの媚態だけでも一見の価値あり!
ヴィヴィアン・リーは『風と共に去りぬ』よりこちらの方がずっと良い。美男・美女映画の究極。蝋燭が一本また一本と消えていく部屋で「蛍の光」に乗って二人が踊るシーンのロマンチックさよ!
蛍の光、別れのワルツは本作がルーツだそうです
正に名画です 哀愁という邦題は見事というほかにありません それ以外にどうこの震える感情を表せるというのでしょうか ウォータールー橋は第二次大戦中は鉄骨のトラスが連なる橋だったようです 今は吾妻橋のような2車線の車道を両側の歩道が挟んだ欄干が有るだけの橋になっているようです そして劇中の第一次大戦中もその姿のようです いずれにしても何の変哲も無いただの大きい橋です 上野駅のような大きいウォータールー駅に渡るだけの橋です その橋の欄干にもたれて夜の闇の中で物思いにふけり佇む初老の軍人 その姿を表現するにはその言葉しか有りません 戦時中の1940年の製作です この年の5月末にはダンケルクでイギリス軍40万人が命からがら大陸から逃げ帰っています そして7月からはロンドン爆撃と首都上空での大空中戦がおこなわれています つまり彼は今夜出撃すれば、命がどうなるかわからない状況であったのです そのことを頭にいれるとより彼の心情が伝わってきます ヴィヴィアン・リー27歳 美しく気高く、そして驚くほどに細い バレリーナという設定に説得力のあるバレーを幼少から鍛練してきた女性特有の骨格と細さです ほほも痩け気味です それが薄幸の運命を表現してもいます ラストシーンのウォータールーを目を大きく見開き歩道をさ迷う鬼気迫る表情の演技は心に刻まれる名演技でした 311の後にプチ結婚ブームがありました 大災害を目の前にして明日をも知れぬ死の恐怖を知った時、理屈を超えて人は恋を急ぐものだと感じたものです まして戦争ならどうでしょうか? 明日もまた変わらぬ日々が続くという安心があるから、恋もまた急ぐ必要も無く、偶然の出会いも大切することもない それが平和な現代の日本です それは幸せなことです しかし時は有限です 若い人生の夏は振り返ってみればあっという間のことです 明日死ぬかも知れないと思って生きれば、偶然の出会いももっともっと大切に育てることができるのかも知れません
何度見ても感動してしまう。ビビアン・リーが気高く美しい。在らん限り...
何度見ても感動してしまう。ビビアン・リーが気高く美しい。在らん限りの哀しみと美しさが詰まった切なさの余韻がいつまでも残る名作。
「哀愁」という邦題に・・
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーは南北戦争の戦時下で強く生きていく女性を演じ、「哀愁」の彼女は最期に自殺する悩めるバレエ・ダンサーの役を演じている。どちらも彼女自身で素晴らしい演技力だ。また若く美しい・・ネタバレは避けるが、舞台は第一次世界大戦下のロンドンで、結婚を決意した青年将校とバレエ団をクビになった美しいダンサーの恋愛物語。結末は悲しいが邦題の「哀愁」は上手に付けられたタイトルだ。原題は「ウォータルー橋」というらしい・・1940年のアメリカ映画。
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