ひばり・チエミのおしどり千両傘
劇場公開日:1963年1月9日
解説
「私と私」の笠原良三と「酔いどれ無双剣」を監督した沢島忠が共同で脚本を執筆、沢島忠が監督した歌謡時代劇。撮影は「ひばりの花笠道中」の山岸長樹。
1963年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1963年1月9日
ストーリー
美人で評判の鶴岡藩二十五万石の貴美姫に縁談がもちあがった。相手は八十万石の大名松平相模守で、家柄といい、禄高といい非のうちようのない良縁なのだが、貴美姫は気乗りがせず嫁入り準備のため江戸へ向う途中、日毎にふさぎ込んでいった。姫の様子を心配したお守役の進左衛門は、原因は食欲不振の栄養障害として賄役堀込一馬の責任を問うた。が、姫と乳姉妹の腰元お登志が姫に代り食事を平らげていたことが分り、お登志はかねてから好意を寄せていた一馬に非難され気持ちが転倒し大騒動を起した。その騒ぎに乗じ貴美姫が脱走してしまった。そこへ松平家の使者三村文之進が来たので、家老梶川主膳と進左衛門はお登志を姫の身替りにしてその場を繕った。これから、一行はお登志を姫に仕立てたままで旅を続けることに決め、このためにお登志の珍妙なお姫さまぶりが連日くりひろげられるのだった。一方、貴美姫はある田舎町の青年に見染められ、強引に嫁にされようとしたところを江戸の若旦那、巳之吉に助けられた。これが縁となって、貴美姫は、巳之吉と道連れになり木曽の山中から三島の宿へと明るく楽しい旅を続けた。三島の宿で貴美姫は、巳之吉に求婚されたのでやむなく自分の素状を白状した。そして、貴美姫を見つけた進左衛門にうながされ悲しい別れを告げた。三島の宿へ着いた偽貴美姫一行を松平家の二度の使者老女岩風が花嫁の人物鑑定のために出迎えた。そして、お登志に多彩な試験を試みたが、お登志の愛敬たっぷりな立ち振舞が意外な好印象を与えて良い結果をもたらした。折も折、鶴岡藩との縁組みに同意しない松平家反主流派の刺客が、貴美姫と松平家二番目の使者岩風の命をねらって来た。が、主繕は二人が死ねば当然縁談は立ち消えになり、そうなると、貴美姫に家出をされた藩の落度も不問になると考え、刺客に手出しをしない。そこへ、包丁持つ手に大刀を握った一馬が駆けつけ捨身の活躍をした。そして、一馬は人間性を無視した武士の生活に愛想をつかして大小を捨てようと決心した。お登志もその後を追った。鶴岡藩の豪華な花嫁行列が江戸の町を進んでゆく。花嫁姿の貴美姫は駕篭で揺れながら深い瞑想に沈んでいた。が、見送りの中にいる魚屋姿の一馬とお登志の幸福そうな姿に女の幸せを呼びかけられ、巳之吉に対する狂おしい愛情にかられた。次の瞬間、貴美姫は駕篭から飛び出していた。「巳之さーんッ」貴美姫の声が明るくこだましている……。