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事件の当事者たちにインタビューするという形式でストーリーの全貌が明かされていく。その原作を巧く映像化している独特な表現スタイルは面白いが、如何せん、それ以外にエンタメ作品としての面白さが何も見当たらない。
また、内容は本格ミステリーではなく、あくまで社会派サスペンス。「空洞化した家族像」とか、「浮遊する不安定な個人」といった現代社会の問題に焦点を絞っているようだが、そういうテーマ自体ありがちな上に、特に目新しい切り口も無し。作品を通しての具体的代案があるわけでもないから、「現代は人間関係が希薄なんですよ~」以外ほとんど何も言っていないも同然。
物語の進行はバラバラで整理されていない関係各位の背景事情を、関係者の口から視聴者に対して説明していくだけなので非常に作業的な展開で退屈。単に事件の関係者が多いために全体像が複雑になっているだけで、新たな謎が浮上したり、後から伏線が利いてきたりといった展開が少ないため、全体の因果関係や動機といった文字通りの「理由」が明らかになるにつれ、ストーリー的にはどんどん盛り下がっていくのが難点。
また、時間的に長すぎるのもネック。いくら何でも160分は長すぎる。この程度の内容なら2時間以内に収めて、謎と伏線の提示と回収による「テンポの良さ」で一気に見せるべき。
結局、ワイドショーに出てくるような事件を分割して謎めかしてあるだけのことで、本格ミステリーのようなロジカルな謎解きが出て来るわけでもないので、その辺の娯楽性や意外性を期待すると肩透かしを喰らいますのでご注意を。