維新の篝火

劇場公開日:

解説

オール読物所載の池波正太郎の『色』を「出世武士道」の結束信二が脚色、「新吾二十番勝負 第二部」の松田定次が監督した。新選組副隊長土方歳三の恋の苦悩を描く異色時代劇。撮影は「出世武士道」の川崎新太郎。

1961年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年10月14日

ストーリー

文久三年京都は暗殺や決闘の絶えない、血なまぐさい町と変貌していた。新選組の土方歳三は陰謀と冷酷な臭気を漂わし、黒幕として内外に恐れられていた。或る日、歳三は装束商山城屋の後家お房を知った。人通りの絶えた祇園神社境内を、散策中の歳三に、長州藩士が不意討をかけて来た。歳三は二人を倒した。止めを刺そうとする歳三を制したのはお房だった。東海道から京に入りこむ狼人たちを警戒するために大津街道の日岡を巡察しての帰途、歳三は茶店“ゆみや”でお房と会った。それから歳三とお房の交情がつづいた。秋が立ち春が去った。二人の愛情はそのままつづけられた。情勢の推移が新選組の内部にも波紋をひろげ、歳三とお房の間にも不安な影を打ちかけるようになった。伊東甲子太郎一派の新選組脱隊を契機として脱走者が相つぎ、恋人おみねとの逢う瀬に隊務をゆるがせにした安藤和馬は、歳三の裁決にあって切腹させられた。尖鋭な行動をもって幕府への誠意を貫こうとする農家出身の歳三と、武家育ちで内省的な理論家の山南啓介との反目が表面化し、脱走して捕えられた山南は切腹させられた。そんな空気の中に、薩長連合軍が鳥羽伏見に進出してきた。歳三とお房はあわただしい雰囲気の中で、島原角屋の一室で最後の一刻を過した。新選組の出撃を告げる下男平吉にうながされて去る、断腸の思いの歳三を、涙で追いすがるお房の姿には女の悲しさが溢れていた。敗勢の中に官軍の砲火と刀槍に向かって暴れ狂う歳三の闘志と、殺気に満ちた双眸はお房を想う心だけで精気を孕んでいるかのようだった。

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