マインド・ゲームのレビュー・感想・評価
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気合で乗り切るのは気合で乗り切るため
湯浅政明は天才だ。 平凡な青年・西くんが初恋のみょんと偶然会ったと思ったら、ヤクザに銃をケツにつっこまれて死んでしまい、なんとか生き返ったらクジラに飲み込まれてしまう。全く意味がよくわからない物語だが、平凡な人生の肯定と想像力は無限大であることを十全に示す傑作なのである。 西くんが生き返ったり、クジラから脱出することは、頭脳明晰な発想のおかげでも、哲学的な神髄に触れたためでもなく、「気合いで乗り切る」ただそれだけである。しかしそのがむしゃらさが人生においては大切なんですよね。 みょんのキャラクター造形も素晴らしい!何がとは言わないが。
湯浅監督作品の原点、終盤のエモーショナルな主人公の脱出劇は必見
湯浅政明監督の初長編監督作品。湯浅監督の作品が好きで未見の方にはぜひ見ていただきたい1作です。初めての作品には作家のすべてが詰まっていると言いますが、本作にものちの湯浅監督作品に見られるさまざまな要素が多く見られます。ユーモラスで生き生きとしたアニメーション、実写をコラージュするなど枠にとらわれない絵作り、人生賛歌の物語などの要素など……。とくに終盤のエモーショナルな主人公の脱出劇は必見の快作です。
前衛的?
評価が高めだったから観てみたけど、なんで評価高いのかわたしにはわからなかったな〜。 前衛的?なのか、なんかクスリでもやってる人が見てる夢みたいな感じの映像が続き過ぎて着いてけなかった。 音楽、山本精一だったんだってエンドロールで知った。やっぱ前衛的なのかな〜。
【「犬王」を生み出した湯浅政明の初長編監督作。声優が一瞬移る実写とアニメの融合を含め、唯一無我の作風に魅入られる作品である。】
■初恋の幼馴染・みょんちゃんと再会し、彼女が姉と営む焼き鳥屋に招待された西。 しかしそこに現れた借金取りのヤクザによって西は殺されてしまう。 現世に未練たっぷりの西は神様に逆らって現世に戻ることに成功するが、今度はクジラに飲み込まれてしまう。 ◆感想 ・奇想天外なストーリー展開であるがそれを支える湯浅政明監督のそれ以上に奇想天外なアニメーション&一部実写に魅入られる作品である。 <傑作「犬王」を生み出した湯浅政明監督の資質に溢れた作品である。 今作の、存在自体を知らなかったが、面白く鑑賞した作品である。>
湯浅政明の最高傑作
湯浅政明の監督作品でどれが一番好きかと問われれば私は今でも本作を挙げると思う。物語そのものは、ヘタレが原因で一度死んだ男が、何事にも全力で生きることを誓って二度目の人生を突っ走るという、言ってしまえば昨今の異世界転生モノと大差のないビルドゥングス・ロマンなのだが、演出がとにかくすさまじい。 湯浅はイマジネーションを知性のふるいにかけることなくそのまま出力するという離れ業を、まるで慣れ親しんだ身体運動か何かのように平然とやってのける。パースと重力法則を捻じ曲げて自由闊達に動き回るキャラクター、生き物のようにのたうち回る背景オブジェクト、緩急自在のカッティング。物理的桎梏によって結合を阻害されていた肉体と精神が、ここでは熱い抱擁を交わしながらいつまでも激しく踊り続ける。『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』をはじめとする子供向けアニメで、子供の自由で未分化なイメージの奔流を作画と演出に落とし込む訓練を重ねてきた彼だからこそできた、まさにアニメ表現の一つの極点だ。 殊にラストシークエンスの約5分にもわたる一連のモンタージュは奇跡と形容するほかない圧巻の出来だ。それぞれのキャラクターの人生の軌跡が実際の歴史と混じり合いながら、ものすごい速さで未来、つまり現在を目指す。ここでは喪失も再生も個人も歴史も等しく一瞬の運動として過ぎ去っていく。我々はただその痕跡に圧倒的で不可逆的な時間の流れのダイナミズムを痛感するばかりだ。 これは絶望でもあり希望でもある。どれだけ辛いこと悲しいことがあっても、時間の流れはすべてを前へ前へと押しやってしまう。つまり決してやり直しはきかない。しかし翻って言えば、どうであれ生きてさえいれば、我々は前に進み続けることができる、ということでもある。命を絶つ、あるいは絶たれない限り、このカオスなモンタージュは絶えず更新され続けるのだ。その結果幸福を得るか不幸に沈むか、それはわからない。ただ、すべてはつまるところ均等な一瞬の運動となって圧倒的で不可逆的な時間の流れの中へと収斂していく。ねえ、ほんならいっそ開き直って好き放題にやってみたらええんやないの? シークエンスが船上に寝転ぶ老爺の幸せな「現在」に辿り着いたところで、モンタージュの奔流は一旦の終結を迎える。そして「MIND GAME」というタイトルが悠々と真っ白な画面上に現れる。文字の内側はくり抜かれており、そこには雲の流れる青空が映し出されている。私はこれによく似た絵画を知っている。ルネ・マグリットの『大家族』。人々の織り成す無数の人生を、湯浅は大家族になぞらえ、そして抱擁してみせる。まだ中学生だった頃、このシークエンスをはじめて目の当たりにしたとき、アンタは神か仏にでもなろうとしてるのか?と神妙に唾を吞み込んだことを私は思い出した。
確かに、エネルギーの塊のような絵に圧倒される一作
冒頭から尋常じゃない映像表現と画面から漏れ出る圧に面食らい、そのまま文字通り疾走する物語を体験しました。これは確かに、色々な人が「とにかくすごい」、「言葉には言い表せない」と評しているのも納得です。しかもたまたまみることのできた回は、一回限りの夜間上映で、現実の状況も『マインドゲーム』鑑賞に最適化されていたのでした。 物語としては実はそれほど複雑ではなく、「今、物語上何が問題となっているのか」を意外に丁寧に提示してくれるので、その点で迷子になることはありません。しかし一つの挿話から次の話に移る際の飛躍がものすごく、さらに湯浅監督渾身の超絶作画と、時にはすごいのかなんなのか良く分からない美的センスが炸裂しているため、ぱっと見るとアナーキーな印象を受けてしまうのです。カット割も時として時系列も文脈も無視しているようなインサートカットを多用しているのですが、徐々に意味不明なショット同士の繋がりが見えてくると、冴えない男と何を考えているのかよく分からない女性によるハチャメチャな逃避行というレベルを超えた、「時間」や「運命/必然」を描いた作品であることが分かってきます。 『日本沈没』(2020)は正直言って途中で白けてしまった観客なのですが、本作は湯浅監督のむき出しの思考の一端が見えたようで、とても面白く鑑賞しました。あまり物語を説明的に語らず、映像だけでごり押しする方が作家性に合っているんでは…。
世界がいい加減なのは神様のせい。
この神様にして、この世界。ってのが先ずはあります。スタジオ4℃ですって。世界観のぶっ飛び具合に度肝を抜かれるんだけど、コレが2004年の作品と言うのも衝撃的。何か衝撃的かって、今までコレを知らなかったオレにですよw
ストーリーのベースにあるのはタイムループ。断片化され入り乱れる回想と歴史。無駄に謎。だって初見じゃ意味分からんものw
「海獣のこども」に通じるダイナミズムに手を汗握ったのに、時間巻き戻しで、禁断の「夢オチ詐欺」にあった気分ですけどw
2日前に見た「スパイダーバース」の、ブルックリンの地下での最終バトルの描写と世界観を思い起こしてしまいました。イヤ、似てる。絶対に影響を与えてる!って思いましたが、なんせアニメの事は良く知らないからw
楽しかった。
とっても。
湯浅の自由。
ぶっ飛び❗このアニメのテクニックはなんだ!?自由に画面を操っている。何よりも関西弁がコンプリートだと思ったら、全て関西一流芸人たちがアフレコしてた。関西弁と画面のリズムと・・それにしてもまだ溢れる能力を制御できてない荒削りなところが湯浅最大のチャームである。
芸大生の卒業制作を商業的に成功させようとしたらこんなバランスの映画...
芸大生の卒業制作を商業的に成功させようとしたらこんなバランスの映画になるんだろうかと思った。それは悪い意味ではなくてもちろん良い意味で言っていて、先駆的のアニメーションの手法を多様にばらまきながらもそれが実験的で商社がついていけないと言う事はなく、きちんと物語として消費できる今日のバランスで合図されているところに監督のみょうぎが光っている。ストーリーの本も大変面白くて、時系列がぐちゃぐちゃになりながら、そして起こっている出来事の説明は少し曖昧なままだけれどそれは小説を読めばきっとわかるのだろう。特に同じ年代はそうした人にとってはいろいろな小ネタについて理解できてもっとより良い鑑賞の経験ができるんではないかと思う。
詐欺ちゃうで
圧倒的な詐欺師認定をしたレノンヨーコのイマジン。とは言え大好きなマインドゲームが友人との待ち合わせの店内でかかった時に暫く起きっぱなしだった本作を思い出し翌日視聴した。アニメならではのぶっ飛び具合とアニメだからこその自由さでバッチリ描ききったと思われるマインドゲームは僕にとってはわかりやすい死者の書だった◎
超絶元気が出る現代版ピノキオ
湯浅政明監督×STUDIO4℃が送る「アニメでしか出来ない」ドキドキワクワクが詰まった名作です! 「ここでしか観られない」ような少し頭がクラクラするくらいのぶっ飛んだ表現の連続と、なんと言ってもラストの展開が最高です。 「ちょっと元気がないかなぁ」なんて時に観るとテキメン元気を貰えます! 素晴らしい作品です。 オススメの2本立てセッティングは 【アニメ】『かぐや姫の物語』 【実写】『ゼロ・グラビティ』 です!
面白アイディアのパレード
いつも映画を観るときは、面白い表現を一つでも発見できたら満足だ、と思って鑑賞に臨んでいます。 ですが驚いたことに、この映画の中には面白くない場面が一切ありませんでした。多様な映像表現やユーモアを炸裂させ続ける、驚異的なアイディアのパレードでした。 しかしまず、全ての源としてシナリオの存在があったのではと思います。作品のテーマ的には、マヌケな主人公を中心に、人間味溢れる人物たちが、明るい未来に向かってとにかく全力で走り出すという、快活で陽気なストーリーです。そこにあろうことか、生き返ったり、ヤクザと争ったり、クジラに飲まれたりといった、かなり突飛な道が敷かれています。明るくて自由なシナリオと柔軟な表現力との出会いが、幸運な化学反応を起こしているように見えました。 アニメーションの多様さは、やはり言葉に尽くせないですが、実は全体に、細やかに組み込まれた現実らしさが、良い効果を発揮している気がします。口角がちょっとピクッと動くのとか、不器用で洗練されていない風なセリフとか。知っている感覚があることで、抽象性の高いアニメ世界にすんなり適応できる気がします。ダイナミックな表現を組み立てている、そんな細部の工夫が痛快です。 加えて、映像のアイディアの導き方も、無視できません。自由で柔軟な映像ではありますが、「気狂いピエロ」などとは違い(優劣をいうのではありません)、各表現が、シーンの意味と噛み合っていて必然性があるため、納得でき、心地よいのです。つまり、なんとなくの身勝手な表現ではなく、論理的な思考によってコントロールされた表現であることが伺えるということです。観る人を置き去りにせず、きちんと伝わる描写だと感じられます。 多様で面白い映像のもとにある、自由奔放なシナリオと、知恵に富んだ表現力との幸運な出会い。これは本当に唯一無二なことで、奇跡のようにすら思えます。 もしまだアニメーションというものを軽視している人がいたら、まずこの映画を観てもらいたいです。
初めてのスタジオ4℃体験
正直言って吉本新喜劇は大好きだ。驚いたことに知名度が高くない中條健一まで出演しているのだが、残念なことにアニメの登場人物と声が島木譲二以外はミスキャストだと感じてしまった。島木にしても「パチパチパンチ」や他の寒いギャグをかましてくれるのかと思っていたのに・・・すごく残念。前半のストーリー展開は好きじゃないんです。死んだ人間が安易に蘇るとかいう話。流行である繰り返しムービー要素はそれでいいのですけどね。 微妙な実写や直線を排除したペンタッチの2D映像から、ぶっとんでしまいそうな3D映像への変化といい、斬新なアニメーションは見事でした。特にクライマックスでの主人公西のフラッシュバックシーンなどはアドレナリンが急上昇するほどでしたよ! 好きなキャラは「タイムボーイ」。やはりSFヒーローに憧れることは素敵なことですね~ 【2004年10月映画館にて】
感じてください
2020年1月26日 #MINDGAMEマインド・ゲーム 鑑賞 考えて見てはいけない映画だった。 しかも家で見る映画でもない。つい他のことしたりスマホいじったりしてしまう状況では見れない。映画館で見る映画だ。 感性豊かな人は感じるんだろうな!僕には無理だった。
非凡な作品なんだろうが、良さがわからない…
「とことんやる」ことを条件に死から復活した男が、自分を飲み込んだクジラの体内からの脱出を図るというナンセンス・アニメ。
監督/脚本は『ねこぢる草』の脚本を担当した日本アニメ界の鬼才、湯浅正明。
天才とも称されるアニメーション作家、湯浅政明の長編アニメ監督デビュー作。
常軌を逸する表現方法で描かれる、何やらよくわからないアニメ。
デフォルメの効いたキャラクターがグネグネ動く様は見ていて小気味良い。
突如としてキャラクターの顔が実写に変わり、声優を務める今田耕司やDonDokoDon山口が登場するという斬新すぎる表現は凄い。
目まぐるしいカットの切り替えで、時系列のわかりづらいエピソードや誰のものなのか分かりづらいエピソードが挿入されるので、正直よく理解できませんでした。
あらすじの内容から、てっきり死から蘇った男とヤクザが繰り広げるドタバタアクション映画かと思っていた。
そのような描写もあるものの、ほとんどはクジラの体内という密室からの脱出劇。
シナリオは単純明快なものですが、監督の作家性が溢れる演出で唯一無二の作品となっております。
好き嫌いが分かれる作品だろうとは思いますが、個人的には嫌いです。
演出がくどすぎて飲み込めない。
脚本がつまらなすぎる。
アクションも最後のクジラからの脱出シーン以外は全く刺さりませんでした。脱出シーンも演出がくどくて途中から飽きてしまいましたが。
クジラは閉じられた自分自身のマインドの比喩であり、そこがどれだけ居心地の良いものでも外の世界と触れ合わなければいけないというメッセージは素晴らしいですが、クジラに飲み込まれてからは正直めちゃくちゃ退屈…
同監督作品の『ピンポン』は比較的原作に忠実でまぁまぁ楽しめたし、『映像研には手を出すな!』はかなり面白かった。
30分のテレビアニメは中々面白い物を作れる監督だと思うのだが、長編映画を作ると何故かつまらなくなる。
湯浅政明監督の感性は自分とは合わないのかも。
原作は未読ですが、本作と同じスタジオ4℃でのちにアニメ化される作品、松本大洋の漫画『鉄コン筋クリート』の影響を非常に受けていると感じました。
個人的には『鉄コン』の方が断然良いと思いますが…
もう一度観賞すれば色々な事に気付くのでしょうが、2度見る気にはなれません。
時間の無駄だったという作品ではありませんでしたが、しんどかった…
よかった
大傑作と評判だったので期待したらそう言われるのも頷けるイメージの豊かと怒涛の映像展開で圧倒される。男が勇気を出さなければならない場面で出せるかどうかという、男として人生をあゆむ上で常に突きつけられる命題で、かっこよく面白く展開していた。
女の子が胸が大きくて魅力的だった。声も可愛らしかった。
鯨の場面が長くてちょっと退屈した。
ロビン西は知らんが今田さんに吉本芸人はよう知ってる
松本大洋みたいな絵柄に実写の顔が差し込まれる可笑しみ。 けっこうえぐい うんこしっこちんこ10回いうてチューつけていうて死ぬ悲しみ。 死んでからはシュール 大阪湾に巨大クジラって 大阪人にはハマる 物語は終わらない フェイレイのエンディング曲が合うてる
圧倒的パワー
湯浅監督はアニメ映画を専門に作るうえで、アニメでしかできない表現を意識して作っていると言っていました。例えば細田守監督のアニメ映画などの場合、何気ないちょっとした動作などをアニメーションで観ることによって感動を覚えたりすることがある。これはこれで素晴らしいことだとは思います。最近見たほかのアニメ映画などでは虐殺器官やハーモニー、君の名は。などがありますが、これらの映画はアニメじゃなくてはならない必然性は実はないのではないかと思います。現に君の名は。に至ってはハリウッドで実写化もきまったようですし。しかしこの映画はアニメーションでやらなければならない必然性、アニメじゃないと絶対にできない表現を盛り込みまくり、演出や音楽も含め話の筋もつじつまも全く無視したとてつもないパワーをもった作品であるといえるのではないでしょうか。
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