ジョゼと虎と魚たち(2003)のレビュー・感想・評価
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朝ドラ「ばけばけ」からの池脇千鶴さん
新屋英子がすごすぎる
身体障害者との関わり方の難しさ、同情と恋だけじゃ現実問題一緒にはい...
池脇千鶴の存在感‼️
大学生の主人公と、足が不自由でほとんど外に出られない女性が出会い、愛し合い、別れるまでの物語‼️足が不自由なことなど気にしないで力強く生きるヒロインのジョゼと、彼女を深く愛しながらも、結局逃げ出してしまう主人公‼️恋愛の甘酸っぱさと、突きつけられる現実が身に沁みる秀作ですね‼️ジョゼに扮した池脇千鶴が見事な存在感‼️
柔らかく切実に、そして大胆に
身体的な障がいと、祖母による狭窄的で抑圧的な生活環境が、彼女を貝殻にしました。壊れもんの分。
貝殻は海の底を転がるだけ。それでも寂しくはないと言う。はじめからなんにもないんだ、と。
そんな彼女は恒夫と出逢い、泳ぎました。魚を知り、恐い虎を知り、彼とこの世で一番エッチなことをするために。
そのとき彼女は幸せに違いないでしょう。最上の幸福です。性愛の極みです。
「貝殻が泳ぐのか?」
彼の何気ない言葉に、彼女の目は海の底を写します。そこはもう寂しさのない元の場所ではありません。魚を知った、虎を知った、エッチを知った、愛を知った。ひとりぼっちで転がり続ける海の底は寂しいでしょう。
それでも彼女は言う。「でもまぁ、それもまた良しや。」
彼女の世界、海の底は、不幸な世界などではないのです。彼女は幸せを知っているのです。
だから生きることに逞しくなれるのでしょう。
セリフ構成がとにかく素晴らしいですね。名ゼリフというと少し違う気がします。何気なく放たれた言葉に真実味が溢れているのです。ホロリと溢れた言葉にずっしりと重みを感じるのです。それらが物語に流麗に溶け込んでいるのです。恒夫の繊細さを欠く言葉も、ジョゼの少し飾った言葉も、全てがキャラクターとともに生き生きとしています。
原作小説は読んでおりませんし、後のアニメ版も韓国でのリメイク版も知りません。もしかしたらそれらは一生観ることはないかもしれません。そう思わせるだけの圧倒的な魅力が、本作と池脇千鶴さん演じたこのジョゼにあるように思います。素晴らしい演技というだけでは言葉が足りず、元来の声質だったり、小柄な体型(それでいてちゃんと女性らしくもあり)だったり、見窄らしさや押し入れがよく似合う空気感だったり、その魅力を引き出す衣装や小道具だったり撮影だったり、これら全てがジョゼというキャラクターを最上に仕上げたように思います。
一方、恒夫の中途半端な好奇心や正義感や、香苗の露骨な嫉妬など、登場人物たちは、実にピュアでありながら飾り立てず痛々しいほどの等身大です。実に平凡的で人間的ですね。だからこそ観る者を作品にすうっと感情移入させるのでしょう。
障がい者を扱うデリケートな物語を、隅々まで柔らかくも切実に、繊細でありながら大胆に世界観に仕上げた、他に類をみない作品だと思います。
二度観ても面白い
・初見は15年くらい前にTSUTAYAの無料冊子で確か花沢健吾さんが紹介していたと思う。それで観てみてとても面白かった記憶があり、何となく観返した。
・初見ではラストにジョゼが電動車いすを猛スピードで疾走していた気がしたけど節度のある速度だった。
・改めて観て、ラストの別れを告げたつねおが弱さと情けなさに泣き崩れているように見えた。反面、新しい世界を見つけて楽しそうなジョゼという対比のラストがとても良かった。実家にあいさつに行く道中でつねおが迷っている感じから心が離れているように見えたのが凄く良かった。ジョゼがそれを戻そうとしているように見えるも、もう戻れない感じも良かった。
・改めて観てみて、食事が映画の根幹にあって驚いた。すっかり忘れていた。
懐かしいけどよく見ると外国
生きて食べて愛し合ってが泥臭くて、昭和な雰囲気になごんだ。原作1980年代で、舞台はそのまた昔。が、この時代に日本にこんなかっこよく女性と関わり合える男なんかいなかった、たぶん今でも。信夫の正体はジョゼがいるフランスの伊達男なのだ。だとすると、物語り全体がクミ子の空想だったという読み解き方も出来るのではないか。でも、むなしい空想ではない。誰かと愛し合えたという自覚がクミ子に車椅子に乗る力を与えたんじゃなかろうか。ハッピーエンドを越えたエンディングだと思うけど、どうだろう。
くっつくも離れるも、恒夫の“やさしさ”とジョゼの強さ
恒夫は少ない接触回数で相手に好意を抱かせるコミュニケーションがうまいし、興味を持った女の子であれば誰でも、いや、仕事でもそれができる。
恒夫は大学生から、あの時代の「社会人」になり、
ジョゼは自立した生活だってできるが、甘えるような恋愛がしてみたかったんだろう。
ジョゼの恋愛観は、読んでたフランスの本に影響を受けてたりするのかな。
恒夫が貧乏学生って設定は生きてたかな?
学生時代はカナエのお嬢様感にちょっと距離を感じていたかも。結局、カナエもそんな余裕はなくなり、最後は対等な関係として恒夫と歩いて行った。
(時代的には対等でもなく「嫁に行く」「仕事から帰ったら気遣ってほしい」とかそういう時代なんだろうか...?)
都市のカットとのギャップ、アニメ版のように時代が違えば...という観点もあるが、社会人になっていく恒夫と恋愛がしたかったジョゼを描いた作品だと思います。
初めて出かけたときのフィルム写真は、目に映るすべてが新しい、しかも恋をしているジョゼの視点だったんだと感動しました。
長く一緒に生活していくには、花とか猫とかに感動してる夫婦ってほのぼのしてていいと思いますが...あの時代のザ・営業マンをしながらでは難しいかと勝手に想像。
切なくも美しいラブストーリー
案外、映画にないユニークなストーリーだと思う。
主役のふたり(妻夫木聡と池脇千鶴)が、はまり役。
原作(田辺聖子)は、知らないけれど、細部{部屋の造作、
(拾ってきた書物、麻雀屋の客の会話)がとてもリアルです。
そして久美子が自分をジョゼと名乗る理由・・・などなど細部にこそ
神宿る脚本がすごい。
原作をここまで展開、再現した犬童一心監督。
恒夫(妻夫木)のセフレの徳子が若い頃の「江口のりこ」と知り、
驚いた。流石に存在感がある。
優等生でお嬢さまキャラの香苗役を上野樹里が演じている。
なぜか久美子にライバル心を燃やしていて、
恒夫につきまとい終始、邪魔をする嫌味な役で、狡さが際立つ。
おっとりしたキャラが多い上野樹里の意外なキャラクターも
見どころである。
妻夫木聡の好青年ぶりは際立つ。
どんな時も良い人に見える妻夫木だが、モテモテの役もハマる
美しさである。
しかし常に組子に対して能動的でストーリーを回して行く。
食事目当てに家に押しかけるし、お節介だし、
久美子の台所のリフォームや、
祖母が死んだと聞いたら、取るものも取り敢えず、
恒夫は駆けつける・・・情に厚い・・・
レンタカーを借りてする一泊旅行。
この映画のハイライトと言えるが、
久美子をおんぶして海辺を歩く、
疲れて泊まるラブホテル。
部屋の照明が、
《魚が泳ぎ回る映像が流れるラブホテル・・・
《これって映画だけの演出?
すっごくロマンティックで綺麗かった。
その数ヶ月後、
恒夫は同棲を解消して出て行く。
「俺が逃げた・・・」
そう言って泣き崩れる恒夫。
妻夫木聡の演技が光る。
「そこのみにて光輝く」でも独特の光を放った池脇千鶴。
このジョゼこと久美子も当たり役になったと思う。
身体障害者の愛と性を描いて、嘘がないと思わせてくれる。
原作未読。アニメ鑑賞済み
池脇につきる
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大学生の妻夫木が、足が悪くほとんど外に出ない池脇と出会う。
親しくするようになり尻軽な妻夫木はちょっとした恋心を覚えるが、
池脇の唯一の身寄の婆が、もう来ないでくれと言い、終わる。
あなたのような男は池脇の力にはなれない、というのが理由だった。
やがて婆が死に、それを聞いて心配になった妻夫木は池脇の家を訪れる。
歩けない池脇が一人で生きるのは大変で、寂しい思いをしていた。
そして自ら誘う形で妻夫木に体を許してしまう。
妻夫木は付き合い始めの彼女と別れ、池脇との同棲を始める。
妻夫木は法事のために帰省する際、池脇を連れて行く。
しかし直前で障害者を紹介するのが怖くなる。察した池脇は海へ誘う。
こうして池脇は初めて海を見たのだった。
やがて妻夫木は元の彼女とヨリを戻して去る。ええええええ?
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障害者との付き合い方の難しさを感じさせられる映画だった。
障害を持って人と接する事なく生きて来て少しゆがんではいるが、
大人になっても純粋さを持っている女性を池脇が好演していた。
このような弱い立場の女性を救ってやりたいと思う男は多いだろう。
でも妻夫木は優しいが中途半端で逆に人を傷つけてしまうタイプだった。
目先の楽しさしか追えず、責任感もまるでない、腹の据わらない男だ。
彼女といても池脇の事が心配で思いっきり上の空になってたり、
しまいにゃあ、池脇を捨てた自分を責めて泣き出す始末。
彼女の前ですることちゃうやろう、そんな事。
こういうしょーもない男は最初から障害者に恋なんてすべきではない。
いや、違うか。若い頃は誰だって遊びたいばかりで責任感も薄いけど、
障害者との出会いによって初めて腹が据わる人間がいるのだと思う。
実際にそういう立場になってわかる、その人間の真の価値なのかもな。
そして多くの人間はそこを明確にするのが怖いから逃げてるのかもなあ。
そういう意味では、最初の一歩を踏み出した妻夫木は偉いとも言える。
うーん、難しいなあ。
そもそも池脇のキャラは映画的に愛せるキャラ設定になってるわけで、
現実にほとんど人と付き合った事ない人間ならもっと人を怖がるし、
大人と対等な会話なんてできるとは思えんしなあ。
さらにあんなに肌が綺麗じゃないし、愛らしいルックスでもないだろう。
それがなければ、やはり妻夫木も一歩を踏み出してなかったんやしな。
主人公がもっと慈愛を持った芯のある男で、しっかり責任を持ったら、
映画としては面白さがなくて成り立たんわけで、
あえて主人公をショボい男にすることでようやく映画が成立する。
そしてその映画を見た人々が色々と考える。
だから映画としてはこれでいいのだと思った。
恒夫・・・・・
原作未読、アニメ版視聴済み。アニメ版を観た後、原作とどれ位違うのかな?とググったら、実写版恒夫酷いと言うワードが出る出る。
そして、実写を観ると・・・・あぁ・・・・そうね。最後、ジョゼの家を出た後の展開には引いたわ。泣いたのも、結局自分の為に見える。
アニメ版もだけど、ジョゼに惹かれたのも分からないなぁ。インパクト有る出会いではあったけども。アニメの方はバイトって事で会う機会もあり、次第に距離が縮まって行くのは有るけど、こちらは・・・うーん。
アニメは綺麗な感じ作り、実写は色々と生々しく、まぁリアルと言えばリアル。
【”帰らんといて。ここにおって、ずっと・・。”気の強い足の不自由な女の子と善なる若い男の切ない恋を描いた作品。男が、”女の子から僕は逃げた。”と言って号泣するシーンが印象的な作品でもある。】
ー 田辺聖子の同名短編小説を、F・サガンの「一年ののち」の内容を盛り込んで犬童一心監督が映画化した作品。(私見です。)ー
■この作品は、この後韓国でリメイクされ、更にアニメ化もされている。だが、大筋は同じだが描き方が大分違う。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・深夜に麻雀屋でアルバイトをしている善なる心を持つ大学生・恒夫(妻夫木聡)がジョゼ(池脇千鶴:名女優である。)と最初に会った時のインパクトから、恒夫がジョゼと彼女の祖母が振舞ってくれた朝食を美味そうに食べるシーンが好きである。
・祖母が亡くなり、行き先が分からなくなったジョゼを必死に探す恒夫の姿。
・ジョゼを見つけ、市の補助金を申請し、ジョゼが暮らしやすくするように心を配る恒夫の姿。
・ジョゼの口調は関西弁のぶっきら棒なモノであるが、自分に優しく接する恒夫に対し、徐々に好意を抱いて行く姿が良い。
ー ジョゼが、恒夫に彼女(上野樹里)が居る事を知って、”帰れ!”と言いながら、恒夫が本当に帰ろうとすると、”帰らんといて。ここに居って、ずっと・・。”と涙ながらに言う姿。そして、2人は恋人になるのである。-
<そして、「一年ののち」二人は恒夫の実家に向かうが、ジョゼは途中で海に行こうという。そして、”魚のおうち”と言うラブホテルで一泊する二人。
結局、恒夫は身体障碍者であるジョゼを親に紹介する勇気がなく、別れ、元の恋人と歩いている時に号泣するのである。
ラストシーンも、淡々とした描写だが、沁みる。一人暮らしになったジョゼは、祖母が居た時のように魚を焼いているのである。
今作は、何とも切ない恋物語なのである。>
お互いを認め合い,別れていく恋
大学生の若者と障害があり外に出られない女性の恋愛物語。男は世間知らずの若者だけれど、それ故に女性にあたらしい世界を見せてくれる。女性は学校も行っていないけれど、豊富な知識と誰にも媚びない強さと美味しい料理を作る腕前をもち、おそらく,若者が会ったことないタイプの女性だった。
結局2人は別れてしまうけれど、女性は好きな男ができたら一緒にみようと思っていた虎を見に行けたり、初めての旅行、初めての海を経験できた。男も自分が最後は逃げたんだと自覚している。そんなふうに認め合えた2人の恋は,彼女を1人で生きていけるくらい強くした。男にとっても冒頭に語られるように良き思い出なのだ。
男はちょっとヘタレだったけれど,2人にとってお互いはこの時必要だった。良き恋だったなぁと素直に感じる映画だった。
●それもまたよしや
全112件中、1~20件目を表示









