月の砂漠

劇場公開日:

月の砂漠

解説

「EUREKA ユリイカ」でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞と、エキュメニック賞を受賞。自ら書き下ろした小説『EUREKA ユリイカ』(角川書店刊)で、第18回三島由紀夫文学賞を受賞した天才映画作家・青山真治の作品。ITベンチャーとして時代の寵児となった男が、崩壊した家庭を取り戻そうとする姿を描く。主演は『パラサイト・イヴ』以来5年ぶりに映画に出演する三上博史。

2001年製作/131分/日本
配給:レントラックジャパン、パンドラ
劇場公開日:2003年9月6日

ストーリー

学生時代にインターネット企業を興して、ベンチャー企業として日本初の株式海外市場=シンガポール市場上場を達成した男・永井恭二(三上博史)には、「家=house」はあっても「家庭=home」はない。IT ビジネス界の寵児となった永井は、美しい妻アキラ(とよた真帆)と愛らしい娘カアイ(碇由貴子)とともに豪華な邸宅に住み、高級外車を乗り回していた。経済人、そして家庭人としても「成功者=勝ち組」の人生が、永井には約束されていたはずだった…。しかし、グローバル市場に打って出た時、成功の轍は軌道を外し始めた。テレビの経済番組にゲストとして出演した永井は、こう語る。「欲しいと思ったものを手に入れると、その欲しかったものは消えてなくなる。後に残るのは妄想だけ」。その番組を見ていた男娼のキーチ(柏原収史)は、その晩道端に寝転んでいたところを、偶然にも永井に拾われる。「あんたの言ってた“欲しかったもの”って、家族のこと?」。と訪ねるキーチに、永井は応える代わりにこう頼んだ。「妻と娘を探してくれ。見つけたら、女房を誘惑して寝てくれ」。実は永井は妻子に逃げられ、ふたりの写真やビデオといった虚像しか、永井の傍らには残されていないのだった。その頃、アキラとカアイは都内のホテルに滞在していた。キーチはアキラを見つけ出し、誘惑するもあっさりと永井に雇われたことを告白する。しかし動じないアキラは、カアイを連れて誰もいない実家に戻り、母娘ふたりきりで暮らすことを決意していた。その週末、ふとオフィスに出社した永井は、学生時代からの盟友である市山(生瀬勝久)と榊(ピエール瀧)から、「お前は変わった」と激しくなじられる。上場は失敗だったという意見のふたりは、現在取り組んでいるプロジェクトを最後に退社する、と永井に告げる。「やり直そう」と激昂する永井に、次回の取締役会が最後だと言い残し、市山と榊は部屋を後にする。社会的地位も家族も、なにもかも失い呆然とする永井は、キーチのもとを訪れる。そこへキーチの仲間のツヨシ(細山田隆人)が拳銃を持って現れ、「これから父親を殺しに行く」と言い放つのだった……

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第54回 カンヌ国際映画祭(2001年)

出品

コンペティション部門
出品作品 青山真治
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