たそがれ清兵衛のレビュー・感想・評価
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山田洋次監督の最高傑作かも
私ははっきり言うと山田洋次が嫌いである.彼の作る映画は映画ではない.お正月映画だ.寅さんシリーズのような派手さのないお茶の間的なものは映画館という特別な空間では見たくない.だから映画監督とは認めないと言いたいくらいだ.しかしそんな中この作品だけはどうしても認めないわけにはいかないと思った. 完璧なストーリーで文句の言いようがないから.まああえて文句を言うのならいつものように撮影した写真が美しくない.最高に才能のあるカメラマンが最高に金をかけてこの映画を撮っていたら本当に歴史に残るくらい素晴らしいものになっていただろう.
なるほど素晴らしい。
実生活の運命の流転が刻まれた宮沢りえの全存在と、ヒロインの境遇が激しく共振しており、深い感動と余韻をもたらされました
始まっていきなり感情を鷲掴みにされました
まだ物語も始まってもおらず、感動的なシーンでもありません
何のことのない、山、河、田畑その光景
日本の原風景です
そこに巨匠中の巨匠冨田勲の格調高い音楽が流れる
それだけで涙腺か緩みました
後はもう泣かされ放しです
そして宮沢りえの登場
29歳の姿です
12歳でぼくらの七日間戦争に出演してから、17年後の姿です
実生活の凄まじいほどの流転が、姿形、美貌、立ち振る舞いにと、その全存在に苦労が刻まれているのがまざまざと感じられます
それが劇中のヒロインの境遇と激しく共振しています
彼女の出演が本作を成功に導いたのは疑いようもありません
劇中、たそがれと朋江はわずか3年しか夫婦として暮らせなかったとラストシーンで語られます
しかしその3年が無ければこの二人に何の生きていた値打ちがあったと言えるのでしょうか
それもまた宮沢りえの運命とともに共振して深い余韻をもたらしました
永遠の名作です
友人の妹
同じ藤沢周平さんの「必死剣鳥刺し」「蝉しぐれ」を観た後では。
正直物足りませんでした。
子供や実母を養い・育てるために、今でいう定時退庁する清兵衛。妻の長患いや葬儀で家計が圧迫され、内職までしても楽にならない暮らし。
だけど娘たちは「お父はんがいれば、さみしくね」。そんな”家族愛”もあったし。
友人の妹との、微妙な関係のもどかしさも切ないというか。
いずれも末娘の語りで進んでいく所が、目新しかった(なぜそうなるのかは、最後にびっくり!)。
真田さんの終盤からみせるきりっとした刀さばきや、りえさんの哀し気な表情に胸ズキン。
だけどクライマックス、藩の命令で出陣した「殺陣」の場面が、しまってない。だらだらした感や、そんなに喋んなくていいんじゃ?。
これが私はがっくりでした。いくつかの短編集を併せて作られたそうなので仕方ないのですが。勢いにかけてました。
山田洋次復活の作品
最高にカッコいい!
映画としては良いかもしれないが少なくともたそがれ清兵衛ではない。
映画としては良いですよ。 秀作だと思います。 ですが原作ファンとしては大変残念な映画だと思いました。 本作が「祝い人助八」と言うタイトルなら納得しました。 原作を捻じ曲げる様な映画作りは感心しません。 黒澤明の「赤ひげ」の様に同名のタイトルを付けるなら原作を読んでから映画を見ても、映画を見た後で原作を読んでも違和感がない様にして欲しかったと思います。
井口清兵衛は侍です。 剣術使いなのです。 人と斬りあうことに対してあれこれ悩みません。 侍は幼い頃からその様に育てられます。 彼の唯一の心配事は兄妹として育ち、家の都合で夫婦になった妻の病だけです。 それこそ藩の重大事よりも妻を厠に連れて行くことの方が重大な問題なのです。 だから変人で滑稽でたそがれているのです。 映画の主人公は貧乏に追われ生活に疲れているのです。 心配事があってたそがれているのではありません。 清兵衛は妻の問題がクリアされれば人を斬ることなど造作もなく遂行します。 それが井口清兵衛です。
原作は変人の剣術使いに周囲が振り回される滑稽話であってそこに夫婦愛も絡んだつくりになっております。 親子間の家族愛を描いた人情話ではありません。
もう一度言います。 井口清兵衛は侍で且つ剣術使いです。 唯一の心配事は妻の病です。 藩の重大事よりも人斬りよりも心配なのです。 その背景を変更したらそれはもう「たそがれ清兵衛」では無い。とわたくしは思います。
宮沢りえシリーズ
決められたリズム
20歳の頃、「たそがれ清兵衛」がヒットしてて、仕事場の40歳の方に「お前にはまだ分からんよ」と言われたのだけど、あれから15年が経ち久々に観賞。
とても日本的というか、派手はないけど行き届いてる感じで、普通の営みを丁寧に美しく見せていたと思う。
ヒットした要因はなんだろう、と考えながら見てたのだけど、やはり江戸時代末期の侍の営みが現代の自分たち社会人の営みがシンクロする事だと思う。
上の指示は絶対で嫌な仕事もしなければならず、ボケた母親と二人の娘を養わなければならない。だけど、娘の成長は嬉しく共に生きて行きたい。毎日同じような生活で、同僚は飲みに行くけど、真っ直ぐ家に帰る清兵衛に同情と憧れと尊敬の念が湧き、宮沢りえと上手く行って欲しいと心から思うのではないだろうか?
そうか、清兵衛の人生はそうだったか…心休まる時があったのか。なんて思ってるところに井上陽水の「決められたリズム」で泣けた。
まさに日本的
山田洋次監督ならではの心温まる人間ドラマ。 全編なんとも薄暗い映像...
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