劇場公開日 2002年11月2日

「実生活の運命の流転が刻まれた宮沢りえの全存在と、ヒロインの境遇が激しく共振しており、深い感動と余韻をもたらされました」たそがれ清兵衛 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実生活の運命の流転が刻まれた宮沢りえの全存在と、ヒロインの境遇が激しく共振しており、深い感動と余韻をもたらされました

2020年1月9日
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鑑賞方法:VOD

始まっていきなり感情を鷲掴みにされました
まだ物語も始まってもおらず、感動的なシーンでもありません
何のことのない、山、河、田畑その光景
日本の原風景です
そこに巨匠中の巨匠冨田勲の格調高い音楽が流れる
それだけで涙腺か緩みました
後はもう泣かされ放しです

そして宮沢りえの登場
29歳の姿です
12歳でぼくらの七日間戦争に出演してから、17年後の姿です

実生活の凄まじいほどの流転が、姿形、美貌、立ち振る舞いにと、その全存在に苦労が刻まれているのがまざまざと感じられます
それが劇中のヒロインの境遇と激しく共振しています
彼女の出演が本作を成功に導いたのは疑いようもありません

劇中、たそがれと朋江はわずか3年しか夫婦として暮らせなかったとラストシーンで語られます
しかしその3年が無ければこの二人に何の生きていた値打ちがあったと言えるのでしょうか

それもまた宮沢りえの運命とともに共振して深い余韻をもたらしました

永遠の名作です

あき240