「つい自己投影して応援したくなる映画」たそがれ清兵衛 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
つい自己投影して応援したくなる映画
武士の階級にも上下があり、俸禄が乏しいものには好きな嫁を娶ることも叶わないという、現代にも通じるような人間の悩みを浮き彫りにしたドラマ。
真田広之の映画では最高傑作だと思う。相手役に宮沢りえというのも、いかにも過去のありそうなキャリアにぴったりのキャスティングで、芝居を超えた感情が見えた気がした。
さらには、太刀のさばき方が経験者っぽくて、チャンバラのように派手な展開はないものの、そこにリアルさと緊張感が生まれ、最後まで目が離せなくなった。さりげなく、日本の風景も美しく撮影してあり、およそ考えられる最高の演出を施してある。この時点で山田洋二は他の追随を許さない日本では最高の映画監督に上り詰めていたであろう。
この座組で、藤沢周平作品の映画かが続き、それなりに成功を収めたパイオニアになった作品。とにかく素晴らしい感動を味わえた。
2018.6.26
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