千年女優のレビュー・感想・評価
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不思議でちょっと惜しい!
不思議な映画だった。映像を観ているだけでも楽しめるような感じがしてワクワクした。しかし、主人公がひたすら追いかける相手の描かれ方が弱い気がした。もっと面白いストーリーにできれば、凄く面白い映画になれたはず。
惜しい映画。
「考えるな感じろ」系映画だろうか?
ずっと目が離せない映画の映画。というか まさに女優の映画。捜し物系映画であり、お届け物映画であり、恋に恋するコケる乙女の純愛物語でもある。年老いた元女優が信憑性が無い過去を語る物語なのに『タイタニック』とは違う印象のアニメ。
今敏監督の劇場アニメの
『PERFECT BLUE』(1997年)
『千年女優』(2001年)
『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)
『パプリカ』(2006年)の
たった4本の中の1つで、もう他に見れないのはとても残念。
何でこのタイミング(2024年)で今作が映画館でリバイバルされるのか分からないが、スクリーンで観る大チャンス。なのに鑑賞した上映スクリーン(約80席)では自分1人だけで貸し切り状態だった。
円環
以前配信で観ていましたが、リバイバル上映を機に改めて劇場にて。
万華鏡のように場面がくるくる替わり、話を聞いているインタビュアーの2人が目撃しているのが千代子の記憶なのか、出演した映画作品の中なのかわからない虚実が混沌とした世界。
この手法は、「描かれたものが現実感を持ち、魂が吹き込まれる」アニメーションならではの描写(イリュージョン)だなと。
このようなビジュアルはアート性を高く有し、構成もまた観る側が想像力を駆使しなければならず、海外で先行して評価されたのもわかる。
顔のアップに全部セリフで説明する作品に慣れたアニメファンが多い日本で、最初は評価されず、評判になったのは海外の評からの逆輸入的だったのもわかる。
また、老婆の回す糸車のように、因果はくるくる回って円環をなし、追いかける姿が無限に感じるくらい繰り返される。
その円環をうまく繋げるように、効果音も音楽も計算されつくしたように回っていました(故に、映画館のスクリーン&スピーカー環境で観た甲斐はあったと思いました)。
その果てにたどり着く真理が、最後に千代子の口からセリフとなる。
過去に読んだ様々なレビューに「最後のセリフでずっこける」みたいな評が多かったのですが、(知っていたこと以上に)観直してむしろすとんと腑に落ちました。
純愛に見せておきながら、実はかなり早い段階で本人がそれに気づいていた節がある描写だったように思えたからです。
常に、何かを(誰かを)追いかけている自分自身を好きであり続ける、永遠の子どもな部分(少女性)。
それはまた、千代子を追い続けていた立花の青年の日の恋心とも重なって、円環を成す。
過去の様々な邦画へのリスペクト満載なオマージュも、映画というものの円環でもあったような。
上手い演出・構成だなと、改めてしみじみ。
今更に、今 敏監督が若くして亡くなったことが惜しまれました。
「大人の」アニメとしては十分楽しめる
今年36本目(合計1,128本目/今月(2024年1月度)36本目)。
アニメ作品についてはあまり書かないほうなのですが、見てよかったので。
このアニメ作品はかなり前のもので、何かのキャンペーンかで2週間?限定で放映されているようです(1日6放映とか普通にある)。
アニメ作品なのでお子さんがみても…「形式的に」楽しむことはできますが、この「アニメ」タッチの作品の真のターゲットはやはり大人なのではないのかな、と思います。
「史実として」みたとき、作内で描かれる明治・大正・昭和時代の描写がどの程度正しいのかはわかりませんでしたが、少なくとも変な描写にはなっていないので、この点は少なくともどこかのチェックは受けられたのだろうと思います。
古い作品がこのようにリバイバル上映として流れるのはとても良いことだし、それは「良い作品は何度でも流されてみるチャンスがある」ということでもあり、またそのような機会が実際に存在するのがこの例であり、多くの方に(趣旨的に、日本に適法に在住している外国人の方も。日本語学習で、明治や大正時代のことはならないと思うので)見て欲しいなといったところです。
ただ、過去作品だけあっていわゆる「グッズもの」がなかった(私がいった映画館がそうだったのかな?)のが残念でした。
特に採点上気になる点までないので、フルスコアにしています。
恋もキャリアも突っ走れ!
パーフェクトブルーに続き話題の今敏監督作品
現実と回想、更に時間軸がごちゃまぜになる不思議な感じは似ていると感じた 絶望🔁希望は大女優の波乱万丈な人生を、出演作品に人生オーバーラップする様も面白い描き方 一目惚れのシーン、何かと地震が起こるのはすずめの戸締りもこの作品を踏襲か?と思ってしまった 最後の意外なセリフも人生ってそういうものかな?と妙に納得した
今敏監督を知って欲しい!!
はい。又また今敏監督作品が劇場公開される喜びを噛み締めております。
私は監督の大ファンで、1人でも多くの方に作品を観てもらいたいと思っていて。
でも、今身近にこ〜ゆう(ど〜ゆう?!w)作品をオススメ出来る人がいません( ; ; )
だから映画が好きな方、この作品を観ようと選んでくれた方と一緒に又、監督の作品を劇場で観られる事が至福なのです。
何か変な思考に至っていて、自分でも気持ち悪いのですが(°▽°)
とにかくこの、今敏監督作品を体験して欲しい。
今はもう、この作品が作られた時代より技術も進歩しているし、画質とか古くさい?って感じるかも知れませんが、それを上回る出来栄えですから!
後悔はさせません。
是非劇場へ行って欲しいです。
(パーフェクトブルーの時は大入だったのに、本作は娘っ子3人しかいなかった〜泣
そして上映後彼女らをチラ見したら小首を傾げていたよ(°▽°)
何なに?どーだった?!ちょっと話そうか!とは言えず。。気になるおばさんモヤモヤw)
今敏監督作品では「パプリカ」派が多いのかな?
「東京ゴッドファーザーズ」も劇場でかかって欲しいな!
ちなみに私は「パーフェクトブルー」が最高に好きで、初見の衝撃は今でも忘れられません。
悲しすぎるかな、もう監督の新作を観る事は出来ません( ; ; )
皆さん全部観て下さい!
14日目の月には、明日がある
《千年女優》
14日の月には明日があるから好きなんです。満月の後は欠けていくだけだからと言った男性の面影を原動力に進み続けた大女優千代子。千代子は叶えられない事を知らないフリをし続けていたのかもしれない。思い通りにならない毎日のその先にはっきりと"希望"が観えた気がした。初見スクリーンで観られたの幸せ過ぎる。
現実と虚構の交錯は何が正しいかというよりも何を正しいと信じるのかが試されている気がする。全てはダイナミックな自分の覚悟から、生ぬるい希望のメッキはいともたやすく剥がされてしまうだろう
何度観ても心に染みる不朽の名作を再び劇場で
昨年2023年にあった「パーフェクト・ブルー 4Kリマスター」に続く、今敏監督作品リバイバル上映 第二弾
今回も素晴しい体験でした
今監督作品を再び劇場で観る事 自体に大いなる意義を感じます
パーフェクトブルーの時と同じく、観客の半分以上が若い女性の方々、こうやって現代の若者たちと不朽の名作を劇場で一緒に見られる体験自体が私にとってはたいへん貴重で映画ファンとしては感動すらおぼえます
久しぶりに観ましたが、やはり今監督作の絵(画)がすごく綺麗で好きだなあと思ったし、とにかく作品全体からパワフルな勢いを感じ圧倒されます
大女優 藤原千代子がインタビューで彼女の人生を振り返るのを当時の再現映像で表現、しかもその語り方が二重の入れ子構造になっていて、さらにそれが現代と行ったり来たりする見事な構成にあらためて感心、これを20年以上前にやっていた監督に脱帽です
めくるめく千代子の人生を一緒に歩みながら、オープニングからエンディングまで一気に駆け抜ける勢いは何度観ても気持ち良い超疲労感(笑)
そして今回感じたのは、ラストにいろんな役の千代子が連続でフラッシュバックしていく描写が「エブリシング・エブリウェア・オール・アットワンス」でいろんなマルチバースのミシェル・ヨーさんが同じようにフラッシュバックしていく描写そっくりだなあと思いました
やっぱりこれを20年以上前にやっていた今監督の神がかった力量はただ者ではありません
そして、ラストの千代子のセリフは彼女の生きざまそのもので本作の全てを物語っており、「千年女優」というタイトルも心に染みました
何度観てもいいなと思える傑作の劇場リバイバル上映に大満足でした
時を駆ける乙女
千年女優というタイトルにはピンときませんが、千年女王を連想しました。
愛しい相手にきっと会えると信じて、突っ走る乙女。女優となった彼女は自分の気持ちに正直に走り続け、その姿は観客の感動をも呼びます。
過去から現在、虚構の世界から現実世界と場面が次々切り替わっていく表現方法が素晴らしいです。
一途な恋の切ない物語ですが、作品は、アニメならではの楽しさが詰まっています。
ヒロインに共感しながら観るような作品ではないですが、絵も綺麗だしとにかく見ごたえがあります。
一方で、叶わぬ恋と知りながら、尽くさずにはいられない男。共感するとしたら、こちらです。
評価には関係ないのですが、ポスターの千代子の着物が、正しいのかどうか微妙です。付け下げ?振袖?付け下げにしては柄が豪華で、袖丈が長すぎです。振袖にしては、柄が単調です。私は和裁も出来ないし、服飾史も知らないのですが、たぶん現在はこういうのは無いです。昔はあったのかもしれませんが。
1人の女性の一途な愛を表現した感動アニメ。 本年度ベスト!
以前気になっていた作品。
リバイバル上映されていたので迷わずに鑑賞。
引き込まれる展開に合わせ感動の涙が溢れる作品って感じ。
大女優ながら早々と引退し、人里離れた場所で暮らす藤原千代子。
そんな藤原のドキュメント番組を作ろうと小さな製作会社の社長とカメラマンが彼女にインタビューするストーリー。
インタビューをすると思いきや、かつて藤原が出演していた映画の世界に入り込んで彼女の生き様を見させられた感じ。
愛する人を探そうと翻弄する藤原を描いていて、どこまでもその人を見つけようとするシーンを過去の数々の作品で表現。
そんな中に製作会社の社長も作品のキャストとなって協力して行く展開。
焼け野原の壁に書かれた藤原の肖像画とメッセージに泣ける。
出だしの宇宙船の発射シーンが意味不明なんだけど、ラストで出てくる同じシーンで泣けた。
本作は「鍵」だ重要なポイント。
愛する人が落とした鍵を届けようとする藤原。
何を開ける鍵なのか解らなかったけど、その鍵か開けたものに涙(笑)
素晴らしい作品なんだけど、結構笑えるシーンもあり満足度は高かったです( ´∀`)
純愛、いや狂愛ですね💜
ちょっと思い込み強めなストーカー気質ありの麗しい泣きボクロ女子が好きな人に向かって文字通り突っ走る!とにかく走る!走る!走る!でも気持ち良い💕
今敏映画作品これにて四作コンプ✨✨
『東京ゴッドファーザーズ』
『パプリカ』
『パーフェクトブルー』
『千年女優』
この順番で鑑賞。
きっとこの『千年女優』があたしの初今敏作品だったら良さのポイントがブレちゃって刺さらなかったんぢゃないかなって気がする。他を観たからこそわかる良さ💜
千年女優、主役の千代子はもちろんだけど、千代子と共に時代を超える脇を固めるメンバーが愛に溢れていてめっちゃくちゃ好き❤ ❤ ❤
限定上映中にもう一回観に行こうかな。
何とも力強く温かい
こちらも「ゴッドファーザーズ」同様、キネカ大森の没後十年記念上映での鑑賞です。
いや、この二本立ては個人的に本当嬉しかったですね。
現実と回想と空想を時空を超えて紡いだ、何とも幻想的なロードムービー。
主人公が伝説の大女優とあって、登場人物や小物など随所に映画ネタを仕込んでいるのがまず面白い。
また「パーフェクトブルー」と対になったような作りでもあり、虚実曖昧な世界のネガとポジのようです。
あと、これが今敏と平沢進の初タッグ作品でもあるんですよね。
千代子の目を通して映し出された世界は、通り過ぎたどれもが皆真実のような柔らかさがありました。
長い旅の中で繰り返し背中を押される、つまずいてもまた起き上るということ。
ラストの、全てが詰まったような台詞が良いですね。
何とも力強く、そして温かい気持ちになれる作品です。
独白
山奥で家政婦と二人で暮らす往年の千代子。着物や住まい、応接の物腰、全てが往年の大女優の風格を感じさせる。
最後の最後、彼女の最後の独白で、そんな装いが全て剥がれ落ち、これまでのシーンが全く異なる意味を持って繋がっていく。
何て心地よいことか、まさに彼女の独り勝ち。そのセリフを忘れた頃に観に行きたい。
なるほど、と思いながら鑑賞を終えた。
情報無しで鑑賞をした。
ロマンに時空を超えた空想が入り
想いはラストの台詞に繋がる。
ひとつだけ分からないのが
何故あの女性は、たったあれだけの時間で
生涯を通して突き進めるほどの深い愛に入れたのか?
自己暗示としても、そういう感性を持った女性なのか?
幼少の頃からその資質が有ったとは思えず
インタビューで綴る彼女の中の付け足し
思い込みで事実ではない語りならば有りか。
主人公の声のトーンに岸惠子を感じ
ある場面に原節子や高峰秀子を見たが
彼女たちとは明らかに違う。
糸車を回す老婆の登場時は
あっ「蜘蛛の巣城」と思った。
※
もう一度観たい!
戦争映画、時代劇と、ころころ変わる舞台設定。最初はどうなることかと思っていたら、いつの間にか泣かされてしまった。日本映画へのオマージュのためみたいなアニメだが、アニメだから成しえた素晴らしい出来ばえです。特に約束の場所北海道まで走るシーンは最高だ。それぞれどの映画へのオマージュかと考えるのも楽しい。わかんなかったけど(笑)
ラストの千代子の台詞が嫌いだと言う人が多いが、個人的にはピタリ来ていると思います。彼女の言葉は、ずっと隠遁生活を続けてきた自分に言い訳をするために必要だったのでしょう。そして、鍵を失ってしまってから、ずっと死に場所、死ぬ時期を思い悩んでいた結果だと思います。「一番大切なものを開ける鍵」ということが結局は自分の生き様を証明するためのもの、自分を再発見するための箱だったわけですね。そして、嘘がすぐにばれる源也はとうてい俳優にも監督にもなれないと暗示しているところが面白いですね。
とても魅力的なヒロイン
監督つながりで鑑賞。夢(映画?)と現実がゴチャゴチャするの基本嫌いだけど、テンポの良い場面切替と一貫した切なさが対照的。社長・カメラマンが斬新。ヒロインが初々しい学生から自然と歳を重ねる。強いて言えば、ひとりの声優さんに演じて欲しかったかな。
初恋に生きる女優が時代や場面をまたぎ、相手を追い続ける物語。故にラ...
初恋に生きる女優が時代や場面をまたぎ、相手を追い続ける物語。故にラストの台詞がどうにも…と思った。
鑑賞後、解説されたサイトを読むとその深さを思い知らされた。今敏監督の偉大さに初めて気づきました。「東京ゴッドファーザーズ」の人なのね、納得。あれは面白かった。本作もその独特の世界観、作画で夢中になって鑑賞したのは間違いない。が、冒頭のように感じてしまった甘ちゃんな私なので評価は低めです。今敏監督、ごめんなさい(笑)
本作を現実で行なっているのは、小百合様ですかね(笑笑)
BS12
【”いつか、きっと鍵の人に会うために。”早逝された今敏監督が描き出す、古き邦画を愛する気持ちに溢れた虚構と現実のコンフュージョン映画。ジャパニーズアニメーションのレベルの高さを世界に認めさせた作品。】
ー 今作の、邦画アニメーション界に齎した、衝撃と誇りは筆舌にし難い作品である。
そして、今作や「パプリカ」の製作、公開により世界にジャパニーズアニメーションのハイレベルさを認めさせた、故、今敏監督の偉業には敬服するしかない。-
◆感想
・物語は、伝説とも言われる邦画の大女優、藤原千代子のドキュメンタリーを撮りたいと思った映像製作会社の社長、立花源也が彼女の自宅を訪れる所から始まる。
■この作品の大きな魅力は、今監督の籠絡でもある”虚構と現実”が藤原千代子を慕う立花源也と彼のアシスタントカメラマンが、彼女が主演した数々の映画の中に”虚構”として登場しながら、千代子が慕う”鍵の人”を追う姿であろう。
ー 彼女は、最初は嫌々ながらも、”鍵の人が銀幕に映る自分を見てくれるだろう”と思い、数々の映画に出演して行く・・。
そして、その数々の作品に見合った形で、立花源也が登場し、それを覚めた視点でアシスタントのカメラマンが映し取って行く。
実に、斬新な”虚構と現実のコンフュージョン”である。-
<今作は,その画の美しさと共に、幻想的なストーリー展開に魅入られた作品である。才能ある今監督の早逝が、残念でならない・・。>
■本日、ゴールデン・グローブ賞が発表された。
私が好きな「犬王」は残念ながらトップを取れなかったが、私自身の想いとしては、受賞したギレルモ監督の「ピノッキオ」と比肩する作品であると思っている。
ジャパニーズ・アニメが世界のアニメーション映画に与えた衝撃は、今作を観れば分かる筈である、と勝手に思っている。
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