日本の黒い夏 冤罪

劇場公開日:

解説

1994年6月27日に起こった松本サリン事件を材に、一市民を冤罪へと陥れた警察捜査、マスコミ報道、そして市民の偏見の在り方を問う社会派実録ドラマ。監督は「愛する」の熊井啓。平石耕一による原作を基に、熊井監督自身が脚色。撮影を「生地獄」の奥原一男が担当している。主演は、「世にも奇妙な物語 映画の特別編/携帯忠臣蔵」の中井貴一と「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」の寺尾聰。ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・カメラ賞受賞作品。

2000年製作/119分/日本
配給:日活

ストーリー

1995年初夏、松本市。高校の放送部に所属するエミとヒロは、一年前に起きた“松本サリン事件”での一連の冤罪報道を検証するドキュメンタリー・ヴィデオを制作していた。ふたりが訪れたのは地元のローカル・テレビ局。この放送局以外、どこも協力的ではなかったのだ。さて、局では報道部長の笹野と彼の部下で記者の花沢、浅川、野田がふたりのインタビューに答えてくれた。彼らは、事件当時の取材の様子を回想する。それは、閑静な住宅街で突然起こった死傷者を多数出した有毒ガス事件だった。翌日、警察は事件の被害者であり、第一通報者でもある神戸俊夫の自宅を容疑者不詳のまま殺人容疑で家宅捜査し、数種類の薬品を押収。その中から青酸カリが見つかったことから、神戸が薬品の調合ミスを犯して有毒ガスを発生させたとのではないか、という見解を示した。一方、スクープが欲しいマスコミ各社は、裏が取れていないにもかかわらず、警察情報として神戸が犯人であるかのように受け取れる報道を開始。更に、それを鵜呑みにした視聴者は神戸一家を迫害し始めた。もはや、神戸が犯人であることを誰もが信じて疑わなかった。事件で意識不明となった妻を抱え、自らも幻覚幻聴に悩む神戸は戸惑いを隠せない。ただ、笹野だけはあくまで裏が取れていないという理由から、神戸容疑者報道を控えていたが、彼にも視聴率を取りたい上司から圧力がかかり、視聴者や番組のスポンサーからもクレームが寄せられていた。やがて、有毒ガスはサリンであることが判明した。しかも、サリンは一サラリーマンの家庭で作られるようなものではないことも分かる。そんな中、あるカルト集団の影が捜査線上に浮上してくる。しかし、警察上層部は捜査結果を無視して、見込み捜査と情報操作を押し進めようとするばかり。そして3月、東京で地下鉄サリン事件が発生してしまうのである。話を聞き、幻滅するエミたち。笹野は、そんな彼らに報道する“目”、あるいはそれを受け取る“目”を期待していきたいと言った。とそこへ、カルト集団がサリン事件の犯行を認めたとの配信が届く。その後、笹野は容疑の晴れた神戸の特番を制作、番組は反響を呼んだ。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚本協力
池田太郎
脚色
熊井啓
原作
平石耕一
製作総指揮
中村雅哉
企画
猿川直人
製作
豊忠雄
プロデューサー
福田豊治
新津岳人
撮影
奥原一男
美術
木村威夫
音楽
村松禎三
音楽補
山本純ノ介
録音
久保田幸雄
音響効果
カモメファン
斎藤昌利
早川隆彦
照明
矢部一男
照明補
鈴木達也
編集
井上治
衣裳
第一衣裳
岩崎文男
製作担当
宮川健治
監督補
鈴木康敬
助監督
伊藤嘉文
スクリプター
松永恭子
スチール
野上哲夫
視覚効果
灰原光晴
3DCG
三浦稔子
渡川豊也
色彩計測
沖村志宏
美術補
安宅紀史
録音補
小川武
製作協力
河野義行
永田恒治
協賛
佐藤敏夫
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映画レビュー

2.5熊井啓監督の社会派映画

2022年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

松本サリン事件の冤罪はどのようにして生まれたのか、を描いた熊井啓監督の社会派映画。

冒頭、松本の綺麗な自然の風景・松本城が描かれて、本題に入っていく。
この冤罪ドラマを語るには、地元の高校生が当時のテレビ局に聞き込みに行って、当時のテレビ局社員たち(主に、リーダーの中井貴一)が語っていくかたちを取っている。
⇒ まったく映画とは関係ないが、この映画も他の映画も中井貴一は「じっくりと話す雰囲気」なのが、NHKテレビで夕方放映されている番組「サラメシ」では如何にも「軽薄そうな雰囲気」なギャップが…(笑)

平成6年(1994年)6月27日、長野県松本で「有毒ガス事件」が発生。
死者7人、重軽傷者586人。(この死亡者数には冤罪にされた家族の奥様はまだ含まれていない)
第一通報者(劇中では神部さん(寺尾聰))が重要参考人として調べられると、テレビ・新聞が一斉に犯人扱い。警察も面子をかけて犯人扱いの取り調べ。
テレビ局の取材で「最初は青酸カリ」を使ったと思われたが「被害者の状況から青酸カリではない」となったり、「サリンはバケツでも簡単に作れる」などという取材場面があったりして、当時かなり混乱していた模様。
ただ、化学研究者への取材では「サリンなんて簡単に作れない。巨大な設備、複数の頭脳などが必要」とだんだん真実に迫って行く。

劇中では「カルト集団によるサリン事件だった。神部さんは冤罪…」と、既に知れ渡っている事実をなぞった程度の映画に見えて、数々の傑作を生み出してきた熊井啓監督らしい深堀りが見られなかったのは残念。
地下鉄サリン事件の報道映像も使われたりしているが、もう少しドキュメンタリー的な描き方をすべきだった気がする。
また、映画では「カルト集団」と曖昧な呼称だけだが、あの教団について深堀りすべきではなかったろうか?
冤罪にされていた神部さん側だけを描くのは片手落ちという感じ。

追究不足の感が否めない映画であった。

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たいちぃ

5.0冤罪のプロセス

2022年7月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

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しゅうへい

3.0松本サリン事件

2021年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 あくまでも、マスコミに謝罪を求めるのではなく、神部さんが捕まった背景、「なぜ簡単に犯人にされたのか」を調べる高校生。エクスプレス社のデスクだけが神部さん無罪説に向かっていた事実。

 警察、マスコミの事実確認などは想像もあるのだろうけど、かなり響いてきました。それもこれも河野さんを知っているからで、実際、最初の報道だけでは自分も疑ってしまったことを思い出しました。ただ、河野さんが出たテレビ番組を見たことがあるので、それほどまで感動もできなかった。高校生の取材という手法を取ったのも苦心の末ということがわかるけれど、順撮りのドラマにしたほうが感慨深いような気がします。

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kossy

4.0絶対にあってはいけない

2020年11月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

冤罪なんてものは、絶対あってはいけない。
世の中には、この罪を犯してしまう人達がいる。
冤罪をかぶせられた人からしたら、たまったもんじゃない。
今は人ごとでも、ある日突然。自分がその立場に
なりうる可能性は誰にでもある。恐ろしすぎる。

この映画が伝えようとすることは何か。

マスコミの情報の取り扱い方。

そのマスコミの情報を、自分の頭で考えずに
促され、信じ込み、今度はそれをあたかも自分が
本当のことを知っているかのように周りに伝える
視聴者達。

警察という権力を振りかざし、己のメンツの為に
罪なき人を罪人にしてしまう組織。

それぞれが、いい加減なことをすると、罪がうまれる。

今の世の中は情報社会。
コミュニケーション不足だと感じる世の中で、
不確かな情報が一人歩きするのは容易。

そんな中でも、人と人の絆や、正義を貫こうとする人の存在というのは、本当に大切だと感じる。

マスコミや警察。世の中に影響を与える立場の人間が、私欲のために動くと、世の中はめちゃくちゃになる。

そして、私達一視聴者にも、それぞれに責任がある。

実際にあった事件をベースに作られた本作からは
多くの学ぶべき点があったと感じることができた。

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M hobby
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