映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲のレビュー・感想・評価
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量による感動
クレヨンしんちゃん映画では、大人に異変が起こる事の怖さを取り入れたものが結構あるようだが、これもその一つだろう。社会を知らない幼児にとって大人は守ってくれるもの、生存の要で、大人に対して普段信頼しているからこそ、未知の事態が起こったとき恐ろしい。
特に感動を呼び、人気があると思われる、二つのシーン
・ひろしが、小さい頃から現在に至るまでの記憶を思い返す、回想シーン。
・しんのすけとその家族が鉄塔を駆けのぼる終盤のシーン。
私も泣いた。
このシーンをこれほどまで感動的にしているのは、量による見せ方だと考える。
人は、予想を超えた量のものごとを提示されると、感動してしまう。
回想シーンでは、たくさんのカットを使って、たっぷりとひろしの記憶を見せる。
鉄塔を上るシーンでは、しんのすけが走る様を次第に変化をつけながらも、かなりじっくりと長いカットでみせる。しかも、7度も転んだり、倒れたりする。音楽も同じメロディをますます力強く繰り返し、シーンの迫力を強調する。
いろんな様子を見せる大量のカット、一つの様子を見せる長いカット、いずれもその規模、量の大きさによって感動を生み出している。
メッセージそのものはもちろん良いが、シンプルで力強い感動の作り方が心に残った。
走る!走る!走る!そして走る!
あの有名な「ひろしの回想シーン」は本当にいいシーンですね。台詞なし。絵と音楽で魅せる。とてつもなく映画的なシーン。これと似たようなシーンは、カール爺さんの空飛ぶ家にある。あれはオープニングだったな。
このように、子供向け映画が、一瞬だけ大人向け映画になる、という展開はよくあります。過去のクレしん映画にもありますし、よくできたアニメ映画には大抵あります。しかしこれは邪道(いや・・・まぁ、王道なんだけど、)。すぐに子供向け映画に戻って来なければなりません。
この映画は
・・・戻って来ない・・・。
戻って来ないどころか、子供そっちのけで、行くとこまで行っちまいます。ラスト30分は、いったい何の映画を観てるんだろう???と思わせられます。
誰がなんと言おうと、ラスト15分以降の走るシーンに、全てが込められています。いやぁ凄まじい。
階段を登っていくしんのすけの作画がだんだんと荒くなっていくことで、古いものを断ち切ることの大変さを表現します。
みさえの「早く行って!」という短い台詞だけで、しんのすけの親離れを表現します。
劇中、野原一家の奮闘が何故かテレビ中継されているのですが、その奮闘をただ呆然と観てるだけの群衆を写すことで、群衆の気持ちが動いていることを表現します。下手な映画だと、「すげぇ」みたいなセリフを群衆に言わせちゃうんだけど、この映画ではそれをしない。いやぁ・・・ツボを分かってるね!
さらに、奇跡的なことがあります。
実は結構説明台詞が多いんですよ、この映画。ひろしが「俺は家族と未来を生きる!」とか言っちゃうんですよ。でもね。その説明台詞が全然ダサくない。
それは何故か?クレしん映画だからだよ!子供向け映画だからだよ!アニメだからだよ!多分、大人向け映画でこれやってたらすんげーダサいと思います。
いやはや、本当に凄い。
テーマや脚本が良いだけでは名作は生まれない。そのテーマを表現方法が良くなければならない。何故か?って、それは映画だからだよ。台詞ではなくて映像で魅せる。
みんなで力を合わせて、とか、未来がどうしたこうした、とか、家族が大切だ、とか、そんな凡庸なテーマ、今更お前に言われなくても分かってら。大切なのはどう表現するか?だよ。蓮實重彦も言ってるじゃねぇか。
大人は大人でいるしかないのか。
大人とは無条件に尊敬されるものではない。
大人とは。
人は何かを失った時に、何かを得て、その得たものさえあれば、失わなかったのにと後悔する。
大人の共通点は誰しもが子ども時代を経てたどり着いたということだろう。大人は子ども心を眠らせている。そうでないと生きていけない社会や現実があるからだろう。
子どもっぽさは失いたくないと思った。しかし、大人が大人であることを放棄すれば、子どもは一切育たない。
大人へと向かう過程で、いくつもの大切なものを失った、と同時に得た。失わないと、得ないと、大人になれないからだ。大切なものを失っていない大人になりたいと思った。
大人。子ども心を思い出した大人と極めて純度の高いしんのすけという子どもとの対立構造がたまらなくよかった。
そして、ラスト近くのタワーを登るシーン。ひたすら、しんのすけが走るシーン。無言のシーン。荒れた作画のこのシーンは、アニメ界にとって、歴史に残る名シーンだろう。
観て損はない名作
すごすぎる
公開当時映画秘宝の年間ベストテンで第一位だったけどまったくノーチェックで、慌ててレンタルで見たらすごくて驚いた。その次の『アッパレ戦国大合戦』は見に行った。こちらもすごく面白かった。
5年前に長男と一緒に見ようとしたら、付き合ってもらえず一人で見て、今回は4歳の娘と一緒に見る。すると、やっぱり素晴らしい。特に60年代~70年代の昭和は、昔から憧れている世界で、商店街や和式のアパートが大好きだ。数年前まで中野や高田馬場に4畳半の風呂なしトイレ共同アパートを借りていたほど好きで、お金を節約する意味もあるけど、それ以上に昭和ノスタルジーに浸っていたのだ。今でも思い返すと胸が締め付けられるような気持ちがあるのだけど、その当時もう中年だったため、20代でそんな暮らしをしたかった。20代の時は下北沢で風呂なしアパートだったけど6畳二間キッチントイレ付きの物件で楽しく暮らしていた。
敵のケンとチャコのたたずまいがすごくいい。チャコは若い時の原田美枝子の雰囲気だ。イエスタデイワンスモアの洗脳を解く方法がひろしのくさい足。
ノスタルジーに癒されたい気持ちと子どもの未来を担う自負、どちらも本当の気持ちで心に刺さる。DVDを返す前にもう一回見よう。
(追記)
ケンとチャコのたたずまいが素敵で、ずっと考えている。彼らはしんちゃんたち野原一家に計画を阻まれて敗北するのだけど、60~70年代の若者を象徴する立場として勝利はあり得なかった。敗北しながらも甘美なものに陶酔しているようだ。負けて初めて完成するものを目指していたようでもある。
ラストの感動
大好きな作品
感動
クレヨンしんちゃんの映画は感動するイメージあるけど、確かにそう。
これは大人は見て、ジーンとするんじゃないかな?泣きはしなかったけど。
ひろしが戻ったところ切なかった。
あと…
「大人になりたい。お姉さんみたいな人とお付き合いしたいから!」
「ずるいぞ!バンバンジージャンプ!」
⬆真面目な言葉をしんちゃんらしく表現されてる所がまた良い☆
もちろん、しんちゃんらしく笑うところもたくさんあり。
みさえのおケツのとことバスの運転のとこ笑いました。
過去に囚われちゃいけない
エモーショナルになる。
歴史に残る大傑作
この映画ほど明日からまた生きて行く力をもらえる映画はないと思う。
確かに過去っていうのは永遠に変わることなく自分の中にあり続けてくれるし、受け入れがたい現実に直面した時はその安心感に身を委ねたくなることもあると思う。でも結局どんなに素晴らしい過去の思い出があったとしても、それは今日々の中にある小さな幸せとか、未来に向けて抱くささやかな希望に比べたら取るに足らないものであって、そういったものこそが自分が生き続ける上で本当の幸せを与えてくれるものであるという、人が生きる上で最も根源的で前向きなメッセージをこの映画は含んでいると思う。
さりげないのに示唆に富んだセリフが多くて、特にラストしんちゃんが言う『ずるいぞ!』はまさしく作り手から受け手へのメッセージ。
人生を通して見続けたい大傑作!
日本アニメの最高傑作
いや、
日本映画最高傑作と言っても過言ではない。
2001年、20世紀から21世紀に移り変わった
年に作られた作品。
「現在」や「未来」への不安から
誰もが少しは感じるであろう
「あのころは良かった」
そんなノルタルジーを
上手く落とし込んである。
・・・とここまでは
「三丁目の夕日」などと変わらないが
それだけでは終わらない。
ひとつの家族により
この映画は
「懐かしい過去」を胸にしまい、
「愛おしい未来」へ突き進む。
アンチノスタルジーに向かうのだ!
しかもその表現が
未来の象徴である子供=しんのすけが
階段をひたすら駆け上がり
それを家族が自らを犠牲にして
支えるというもの。。。
泣かない訳にはいかないだろう!
また、他のクレしん映画の
いわゆる泣ける傑作との
大きな違いは
誰も死なないこと。
キャラが死んだりいなくなって
感動してしまうのは仕方ないが
誰も死なせずに
階段をのぼるだけで
ここまで泣かすのは本当に凄い。
可能ならば★6つあげたいこの映画、
私の人生においても最高傑作である。
本当に・・「ズルいゾ」
すっごい不思議な映画
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