若者たちのレビュー・感想・評価
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1970年大阪万博より3年前の映画
観た後に、大切な人と話したくなる。
アイデンティティ形成時の心情を描いたこんな映画がすきだ。
ご飯茶碗を箸で鳴らして食べるシーンが頭に焼き付いて
今夜は家で家族で飯食いたいなって思ったよ。
高度経済成長期が舞台だが、ここに描かれている社会問題は50数年経った現代でも根本的に変わっていない。時代に関係なく人間社会が宿命的に持たざるを得ない問題なのか…令和の若者たちはどう感じ考えるだろう…
①お気楽な大学生だったけれど現代社会の矛盾とか問題とか結構真剣に考えていたなぁ。就職して仕事の忙しさにいつの間にか流されてしまったけれど。定年過ぎたけどまた当時の熱さを思い出した。②本当に良く出来ているのはオリジナルのTVドラマの方。ドラマの初め部分をリメイクしているのでやや軽めの作り。③長男と次男とは高等経済成長を支えたブルーカラー。長女もやはり女工(死語かな)として靴工場で働いている。三男は頭が良いということで長男と次男とが働いた金で進学した大学生。時代が学生運動盛んな時代の為どうしても理想主義(正論ではあるんだけど)に走り、兄弟を育てるために理不尽な事や矛盾と妥協して我慢して働いて来た現実的な長男と事あるごとにぶつかってしまう(私も父親とぶつかりましたね。)末っ子の四男は受験生。それぞれがそれぞれの境遇で当時の若者たちが直面している問題にぶつかり、悩み、時には乗り越え、時には挫折する姿を描いた物語。④どんぶり飯をガツガツ食うシーンに続いて(どんぶり飯をガツガツ食うのが若者の象徴みたいな時代だったんだね)、もーれつな兄弟喧嘩のシーンから始まる。一つ屋根の下に住んでいても個室なんてないしプライバシーもなく、お互い言いたいことを言い合って取っ組み合いの喧嘩も辞さない。もう令和では見られない光景(平成でもそうか)。⑤俳優座協力の映画なので、ベテラン・若手併せて俳優座の役者が多く出演。栗原小巻も若くてまだ頬が丸い。⑥小川真由美も若っ!長男(田中邦衛)が好きになる女性役だが、好きな男に他の女(重役の娘)に鞍替えされた経験から、男を選ぶ目が打算的になってしまったということを自己嫌悪を漂わせながら自嘲的にだが覚悟を持って長男に告白して去っていく女性の複雑な心理を若いながら好演している。
筋を見るより社会を見る映画
1967年、戦後22年、マタゾウ生誕3年。東京の、恐らく特別に豊かではない方の家族と関係者の生活が描かれる。親代わりをしてきた長男が自分と同じ苦労をさせまいと、三男四男には大学に行けとうるさい。恩着せがましくもあるその態度に家庭内はいつも殺伐としており、寺内貫太郎一家のオリジナルかとも思われるような家庭内プロレスが何度も登場する。背景には学歴差別や被爆者差別など当時の社会課題が取り上げられる。オリンピックは過ぎていてもまだまだ貧しさと戦わなければならない層が確実に存在していた。
考えてみると先日見た「ベルファスト」と同じような時代だが、こちらはリアルタイムだ。
熱い時代の若者たち
1967年(昭和42年)の映画。男4人、女1人の兄弟だけで一つ屋根に暮らす若者たちの物語。学歴社会、肉体労働者、被爆者差別、学生運動などなど。当時の若者たちの苦悩と熱い言動。
それぞれ違う個性と置かれた状況の中、必死に生きようと思いがぶつかり合い、家族思いであるがゆえに、意見の対立で取っ組み合いの喧嘩が幾度もなく繰り返される。そこには貧困という問題も重くのしかかる。
この頃の映画には社会運動や政治を語る場面がよく出てくる。現実の実体験から語られているからとても熱い。
互いに奥底では繋がっている兄弟同士の正面切った言い合いがこの映画の見どころであるが、このようなシーンは今の映画には見られない。
貧乏な青春群像劇
総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 60
音楽: 80
経済発展しつつもまだ先進国入りしていない時代を背景にして、やたらとみんなが貧乏でお金の話ばかりがついてまわる。お金にまつわる苦労が人を捩じ曲げて、それでも苦労を乗り越えてそれぞれの自分の道を見つけようとする兄弟たちを、当時の社会の抱える問題などが散りばめられた時代を知る物語となっていた。これからわずか20年程度でバブル時代になるのだからわからないものだ。
ただし物語は大きな山場がなく小さな物語の集合体に収まっており、その後の兄弟たちの行く末もわからず、これだけでは消化不良な気がした。もともとがテレビドラマの映画化だそうで、テレビだとまた来週見て今後の展開を期待できるのだろう。でも映画として本作だけ見ると、その終わり方に中途半端な印象を受ける。彼らはどう自分の生き方を追及するのか、そして自分の思うことを実現出来るのか、気になったまま終了してしまった。
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