老人Z
劇場公開日:1991年9月14日
解説
大友克洋原作・脚本・メカニックデザイン、江口寿史がキャラクターデザインを担当。SFアクション・アニメ。監督はオムニバス・アニメ「ロボット・カーニバル」の一話を担当した北久保弘之。
1991年製作/80分/日本
配給:バビット
劇場公開日:1991年9月14日
あらすじ
寝たきり老人を乗せた自動看護ベッドが、変形しながら勝手に動きだし、軍事用に開発されたロボットとはげしい戦いを繰り広げる。
劇場公開日:1991年9月14日
大友克洋原作・脚本・メカニックデザイン、江口寿史がキャラクターデザインを担当。SFアクション・アニメ。監督はオムニバス・アニメ「ロボット・カーニバル」の一話を担当した北久保弘之。
1991年製作/80分/日本
配給:バビット
劇場公開日:1991年9月14日
寝たきり老人を乗せた自動看護ベッドが、変形しながら勝手に動きだし、軍事用に開発されたロボットとはげしい戦いを繰り広げる。
公開30周年記念「老人Z」サントラCD再発売 大友克洋ら新規インタビュー収録
2021年3月29日今や、国が老人介護にロボット産業を参入させるというのは
本気さ加減が充分に伝わっている通りですが、それが1991年という
時期に先駆けて、この映画が制作されたは、流石「世界の大友克洋」
です!!!
もう一つ偉大なのが、登場する2体の巨大ロボットが「車輪式」と
「四つ足式」という、正に21世紀に実践投入されているロボットの
方式です!
この年に、同じく劇場公開された作品は「機動戦士ガンダムF91」
ですが、ガンダムの様に別格なビックタイトルは別にすれば、
当時のロボットアニメは「昭和中期の変形合体ロボットに退化」
「それら変形ロボット等をパロディ化」「過度にミリタリーなマニアック化」
…という3つしか無かったのですが、大友氏は正に「第4極」となる
本当に、21世紀に向かってのリアリティを持った「ロボット作品」を
造ったのに、当時に評価されず大友氏の「巨大ロボット作品」は
これが最初で最後に、なりました…
「実用ロボットが『人型』である必然性は無い」という現代こそに、
この作品は再評価されるべきですが…
クライマックスは、ロボット同士の「ガチンコ対決!」でも、終われますが
「そういう内容は嫌だ!」という、当時の若手スタッフの意見があり
ロボットの周囲の人間が物語に介入できる様、大友氏が脚本に
修正を加えるというエピソードがあり、そういう意味では大友克洋氏は
「聞く耳を持った人」です
ネタバレですが「Z」の最終形態は「大仏ロボット」です…
それが「罰当たり」かは、個々の判断に任せます
一番最後の効果音の取り方も、人それぞれに…
ハリウッドなどでのAIの関係の作品だと、その多くが人に害をなす「敵」として登場する。もしくは、人間になりたがるAIだ。
AIがAIとしてそのまま存在し人間と友好的な関係を築く物語を紡げない。
その点において日本の場合だけ少し違う。キリスト教的考え方と付喪神的考え方の違いだろう。
そこから始まり、鉄腕アトムやドラえもんを経て、AIは基本的に人間の友であり、AIはAIとしての自覚を持ち存在するのが日本だ。
この作品はAIが暴走する物語だ。
しかしハリウッドのように人間を滅しようとするわけではない。
そして何より、本作に登場するキャラクターの多くが、AIに芽生えた自我に対して「個人」として接しようとしているところが興味深い。(個人として扱うに足る仕掛けはされているのだが)
この、実は割と不自然と言える事態に対して、観ている多くの日本人は違和感を感じないだろう。
高齢化社会、老人介護と、現代がまさに直面している問題を隠れ蓑にしているせいもあるだろうが、自然と受け入れられる土壌が観る側にあることは驚くべきことだと思う。
SF作品が好きで、洋画を多く観る身からすると、AIの扱いに関してだけは日本のアニメーションが最も進んでいると感じずにはいられない。
それはもしかしたら自分が付喪神的考え方からきている人間だからかもしれないが。
「AKIRA」と「攻殻機動隊」を混ぜてスパイスに少し「パプリカ」。それを「うる星やつら」のノリで、といった作品で、中々面白く観ることができた。
■厚生省が発表した老人介護全自動ベット・Z-001号機のモニターに、晴子が世話していた高沢老人が選ばれる。機械に世話されている彼を痛々しく感じる晴子だが、学校のパソコンを埋めつくす「HARUKO」の文字を発見し、高沢老人の元に急ぐ!
◆感想
・高沢老人を覆いつくす介護用ベッド。彼の自由は失われるが、そこに彼の亡き妻ハルの意志が反映されてメタモルフォーゼしていく様。
・愚かしき男が作った戦闘用ロボが、高沢老人とハルが目指す鎌倉行きを拒もうとするシーンなども実に上手く出来ている。
<看護学生の晴子が世話していた高沢老人を想い、最後まで老人の意志を叶えようと頑張る姿など、ナカナカである。
今作は、介護問題、人間の尊厳と夫婦愛をコミカルに描いた作品なのである。>