陸軍中野学校 密命

劇場公開日:

解説

「ラーメン大使」の舟橋和郎がシナリオを執筆し、「若い時計台」の井上昭が監督した“陸軍中野学校”シリーズ第四作目。撮影は「若親分を消せ」の今井ひろし。

1967年製作/87分/日本
原題または英題:Secret Assignment
配給:大映
劇場公開日:1967年6月17日

ストーリー

日本が、ナチス・ドイツ及びイタリアのムッソリーニ政権と日独伊三国同盟を結んだ昭和十五年。中国大陸で謀略活動に従事していた陸軍中野学校の椎名次郎は、憲兵隊の手によってスパイ容疑をかけられ、日本に強制送還された。獄中で次郎は元外務大臣で新英派の高倉と親しく知りあった。自分が逮捕されたことを不審に思っていた次郎は、やがて釈放されて草薙中佐に会った時、このいきさつは、草薙が次郎を高倉に近づけるために仕組んだ工作だったことを知った。草薙は英国諜報機関の極東キャップのキャッツ・アイが日本に潜入してから、日本の機密が高倉の身辺から洩れていると語った。次郎は早速仲間の狩谷と共に高倉に近づいた。高倉は釈放されて、一人娘の美鈴と共に箱根で静養していた。ある日、高倉は次郎をも迎えてパーティを開いた。会場には英、米の大使夫妻などが姿を見せていたが、次郎は浅井男爵未亡人に近づいた。浅井夫人はドイツ大使館付武官ウィンクラーと特別な関係にあった。夫人は英、米側の要人に近づき、情報をウィンクラーに売り込んでいたのだ。そんな時、ウィンクラーは草薙に、日独間の外交機密が日本側から洩れているから調査してくれと頼んできた。草薙は調査を約束すると共に浅井夫人を遠ざけるよう忠告した。逆スパイの可能性が十分にあったからである。ところが、ドイツ側に見離された夫人は、情報を英国大使館に売り込みに行った時、意外な事実を知ったものか次郎に電話しようとした時、殺害されてしまった。その時から、キャッツ・アイの手は次郎の身辺に及んできた。しかも、高倉が狂信的な青年将校に殺され、次郎にとってキャッツ・アイの正体を探る手掛りはすべて失われてしまった。たまたま、重慶側のスパイ小柳をおどして敵のスパイ・ルートに食込んだ次郎は、ドイツ大使館を訪れた時意外にもウィンクラーの手で、英国側スパイとしてゲシュタポの手に渡されてしまった。だが脱出に成功した次郎は草薙と連絡をとり、小柳たちのアジトに乗り込んだ。そこで次郎はキャッツ・アイなる者が、実はウィンクラーに他ならぬことを知った。英国大使館に逃げようとしたウィンクラーが、次郎たちによって逮捕されたのは、それから間もなくのことであった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5実際に在ったゾルゲ事件の概要を知っていると、本作が二倍にも三倍にも面白く感じられるだろう

2020年6月29日
Androidアプリから投稿

いや~!これは面白い!シリーズ絶好調です
陸軍中野学校シリーズ第4作
前作は1940年の年末頃で、本作は1941年初夏上海から始まる
ということは椎名は前作から引き続き、上海の辻井機関で情報活動をしていたらしい
しかし急転直下東京に舞台が変わる
今回は本作の舞台と同時期に実際にあった一大スパイ事件のゾルゲ事件を英国版にしたようなお話
容疑者達のプロフィールもゾルゲ事件の関係者を連想させる
前作の日中秘密和平工作を推進していたのは、実は本作の高倉元外相であったような設定なので、連続していなくはない

日中和平が成れば、対米戦争の危険は回避される
つまり日本は北進戦略を採るということになる
これを妨害するのはどこの国なのか?
そうなれば一番困るのは、やはりソ連になるわけだが、果たして単純にそうか?
妨害したのはソ連かもしれないが、英国への情報漏洩はどうなのか?
これが本作のテーマに当たる
つまりスパイ事件とは単純なものではなく、複雑な背景と計算があるのだ

高倉元外相は、この日中和平工作を成功させ、またその工作の存在やそのほかの国策までを、わざと英国に漏洩させることで、日本に対英米戦争の意志なしを伝え、戦争回避を模索しようとしていたのかもしれない
そう考えると彼の行動や言動、その最後も納得がいく

もしかするとあの日記の記載のシーンは、高倉元外相がキャッツアイの正体に気づいて、故意に情報漏洩を行っていくことになる経緯を説明していたものかも知れない

表面的には単なるスパイ合戦の映画のように見えるが、実際に在ったゾルゲ事件、さらにはコックス事件の概要を知っているとこのようなことが様々に空想されて、映画が二倍にも三倍にも面白く感じられるのだ

今回もボンドガールならぬ椎名ガールが登場
前作では椎名ガールに胸を強調するセーター
を着させて少し目を楽しませてくれる程度であったが、今回は椎名ガールは二人となり、清純タイプとお色気タイプで分担をしている
野際陽子はお色気担当で流石の存在感を示してくれる

本作は1967年の公開
007シリーズなら007は二度死ぬが公開された年
ヒッチコックは前年に引き裂かれたカーテンというスパイものを公開している
米ソ冷戦の真っ只中だったのだ
日本も本作の15年後の1982年にソ連のスパイに70年代に工作を受けていたことが明るみでたレフチェンコ事件があった
戦前だけの話ではない

時は流れて米中の新冷戦が始まった
コロナウイルスのパンデミックにより、それは一層加速されて行くだろう
日本はまさにスパイ合戦の真っ只中のはずだ
本作のようなことが今日も水面下で行われているのではないだろうか?

いや、本当に戦後の日本に情報機関が存在しないならば、なんと脳天気なことだろう

逆に背筋が寒くなる話だ

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あき240

2.5シリーズ4作目ともなると新鮮味もなくストーリーも単調

2015年11月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

シリーズ4作目ともなると新鮮味もなくストーリーも単調

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tsumumiki