ラヂオの時間のレビュー・感想・評価
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折衝のトラブルの渦中
三谷幸喜監督作品。
何という傑作…!ワンシチュエーションコメディーでこんなに面白い作品がつくれるとは。
ただ本作を単なる娯楽作品として消費すればいい現在ではない。某テレビドラマで出版会社とテレビ制作会社との折衝が上手くいかず問題が起きたばかりなのだから。
本作はラヂオドラマではあるが、制作の裏側で何が行われているのか。想像力を働かせるためにも本作が再発見されることを望む。
制作の裏側では、プロデューサーが各所の要望を聞き取って調整を行っている。プロデューサーはディレクターのさらに上の立場で現場を取り仕切らないといけないし、上司の編成担当者の意向には従わないといけない。さらに俳優の機嫌も取らないといけない。皆プロデューサーの以前からの仕事仲間である。それならポッとでの主婦でもある原作者=脚本家のみやこの意向なんて無視に等しい。彼らはいつもの仕事を終わらせればいいだけだ。芸術作品をつくっているわけではない。ここに原作者=脚本家の軽視のシステムが出来上がってしまっている。
トラブルがトラブルを呼ぶ。それを喜劇で語ってみせたのが本作ではあるが、一歩間違えれば悲劇だ。もしみやこがトラウマを刻まれてしまったら…?一生、彼女は脚本を書くことはないだろう。それは笑って済まされること…?彼女の勝負バンダナは登場するも、彼女がトラブルに対処する書き直しは認められない。彼女の書き直しがない物語の進行は、彼女の本心が語られたとは言えないし何とも危うい。
それでもトラブルの対処が、皆が最も主体性を発揮するから何とも興味深い。ドラマに必要なSEを創意工夫で乗り越えようとするのはやはり感動モノだ。
本作を無邪気に笑いたい私もいるが、笑えない私もいる。そんな折衝のトラブルの渦中に私はいる。
あの頃は、みんな若かった
強行radio
やっぱり舞台向き三谷作品
BSで録画視聴。
三谷監督作品は先月観たスオミのことに
続いて2作目だが、デビュー作品との事。
内容に興味もあり録画視聴したが、三谷幸喜らしく楽しいラジオ現場でのストーリーだった。三谷幸喜作品は癖がある。三谷幸喜作品の中では個人的に好きな作品。
ただ、スオミのこともそうだったが、やっぱりラヂオの時間も舞台向きの作品に思えた。
世の中が楽しかった時代
生きてるうちに観ておくべき映画は数限りなくあるが、何からどう観るかなど決めてない。NHKのBSは良作を厳選してくれるので、思いもかけず(生きてるうちに見ておくべき映画を)観るきっかけを与えてくれたりします。この「ラヂオの時間」もそんなきっかけを与えてくれました。
三谷幸喜の監督作品は「有頂天ホテル」「ザ・マジックアワー」「すてきな金縛り」等、割と観ているがこれは見逃していた。鑑賞後にシーンを振り帰ると思わず笑いが込み上げてくるので、実は三谷幸喜映画の最高傑作だったのでは?とか、思ってしまいました。
何でも、この映画の話のモチーフが出来た背景は三谷幸喜が連続ドラマを初担当した「振り返れば奴がいる」において、脚本が現場でどんどん書き換えられてしまい自分が思ってたドラマにならなかったという経験を基にしたとのことです。(しかし)そのおかげでそのドラマは大ヒットし三谷幸喜最大の出世作「古畑任三郎」に繋がるんですから、運命とは不思議なもんです。
唐沢寿明も若く鈴木京香もとてもかわいい(今でも素敵)。お二人とも今も大活躍されてるのが嬉しい。西村雅彦は日本アカデミー賞もキネ旬も助演男優賞を獲得。長いものにはどんどん巻かれるが何故だか憎めない演技の真骨頂をこの映画で極めてくれた。
1997年、28年前。バブル崩壊後だったけど、世の中割と楽しい時だったなぁ、。
はっちゃかめっちゃかだが、なぜかまとまりがあって面白かった
生放送のラヂオドラマの現場が舞台。ベテラン女優のわがままな要求を、プロデューサーがほいほいと受け入れ、オリジナルのシナリオがどんどん書き換えられ、原型をとどめないほどになってしまう。
三谷さんもこういう苦労をしてきたのかなあと思っていたら、本当に初めてテレビドラマの脚本に抜擢された時に、コメディー部分を勝手にシリアスに変えられてしまったなどの経験を元にこの作品ができたらしい。
三谷作品はみんな個性強めで、おもしろい。井上順はお調子ものすぎる。地でやってそう。
アシスタントプロデューサーは、お茶汲み、コピーとか、昭和のOLのような立ち位置が可哀想。脚本家の人も名前じゃなくて「奥さん」って呼ばれてたような。女性の扱いが低い感じがして、違和感を覚えた。
現実的→非現実的が絶妙
アマプラで視聴。
どんなだろ〜って試しに見てたら面白くて最後まで見てしまった。
ちょっとした1つの変更が、とんでもない大ごとになっていく感じが面白い。
仕事先での、上司、取引先、いろんな忖度やりとりとかそういう
「あるよな〜」っていう現実的なは面をちゃーんとしっかり押さえつつ、
「いや、ないないw」っていう非現実的なところへ発展していくところが面白かった。
その境目がグラデーションで、自然〜と現実→非現実になっていくから流石だな〜と思う。
唐沢寿明さん若い。このディレクターって役と年齢がマッチしてた。
なんかまだ、会社の・大人のわる〜い感じに染まりきってなく、まだ自分の中にある正義「これでいいのかよ?」という葛藤を抱いている年齢の感じ、そういうのが絶妙に出てたな〜〜。ちょっとふてくされてる感じもいい。
懐かしい俳優さんも多々。
スマホがないと、いろいろ味が出て見てて落ち着くんだよな〜
スマホで全部解決しちゃうからな〜便利なんだけど。
不便な方が、ドラマがあるよね〜。難しいね〜
どの役の人も「いるいる〜こういう人〜仕事場に〜」っていう感じで面白かったな。ビジネスの場って、みんなこんな感じになるね、絵に描いたように。
渡辺謙さんも、美味しい役。
トラック運転手がラジオ楽しんでるのいいな〜、チャンネルをパって上の方切り替える感じも良かった。
今のトラック運転手さんは、運転しながら何を楽しんでるのかな?変わらずラジオの人もいるだろうし、やっぱYoutubeかな。
娯楽いっぱいあるからな。バラバラ、人それぞれなのかな。
三谷幸喜さんの劇映画デビュー作にしてシチュエーションコメディの名作
劇場公開以降、定期的に観たくなって観る作品で、かれこれ3回めの鑑賞
四半世紀前の作品だけど、内容に対し古さを感じず相変わらず面白かった
抱腹絶倒ではないが、三谷監督のスマートな面白さを十二分に堪能できる、シチュエーションコメディの名作です
既に亡くなってしまった名優おひょいさんが伝説の効果音職人として良い味出していたり、今や大御所としてグローバルでも活躍されている名優 渡辺謙さんなど、名優たちのアンサンブルキャストがメチャクチャ豪華
しかもエンドクレジットで気づく隠れキャラまでいて、なかなか見応えがあります
作品の古さを感じさせないとはいえ、キャストは皆さん お若いです
特に好きな女優さんの1人 鈴木京香さんがとても綺麗、そして奥貫薫さんもとても若くてすごく可愛い、この二人を見るだけでも価値のある作品、大好きです
ラジオドラマ狂想曲。 生放送のラジオドラマってカオスですよね。そこ...
おひょいさん
世の中ままならないことばかりだけど、の話。
渡辺謙さんの役名が大貫雷太、市川染五郎(現・幸四郎)さんの役名が斎明寺公彦になっているが、はて、本編にその名前出てきたっけ?
それはさておき、生放送のラジオドラマという設定がいい。もう本番が始まっているのに次々起こるハプニング。効果音のアイデアにわくわく。ラジオ局の放送ブースという狭い空間なので、登場人物は少ない。が、みんな濃い。芸達者が勢揃い。目まぐるしく状況が変化するハラハラドキドキあっという間の2時間弱だった。
軽く見られて元気が出てよかった
【”プロフェッショナル達”俳優達の我儘によりドンドン変わって行く生ラヂオ番組の役名、設定。ディレクター達は翻弄されつつも、見事に作品を作り上げる。三谷幸喜監督の脚本が冴えわたる作品である。】
ー 久方ぶりに鑑賞したが、矢張りこの作品の脚本を書きあげた三谷幸喜監督の才能には脱帽する想いが募った。ー
■主婦のみやこ(鈴木京香)が初めて書き上げた脚本がラジオドラマになることが決まる。リハーサルの見学に訪れた彼女は、そこで俳優たちのわがままやトラブルによって作品が原型をとどめなくなっていくのを目の当たりに。
ブチ切れたみやこはスタジオ内に立てこもるが…。
◆感想
・主演女優の千本のっこ(戸田恵子)が、役名の律子が嫌だと言って、メアリー・ジェーンに・・。
それにより、舞台はニューヨークと思ったら、シカゴヘ変更。ついでに、メアリー・ジェーンの仕事もパチンコ屋の店員から、女弁護士へ。
ー 二点三転する役者名、設定・・。それに様々な手法で、即座に対応するディレクター(唐沢寿明)や、効果音作りのプロだった今は守衛の男(藤村俊二)ー
・効果音の作り方も、絶妙で、ピスタチオを使ったマシンガン。即席めんとトイレの音を使ったダムの決壊。掃除機を使ったロケット音。花火の音には笑ったなあ・・。
・スポンサーと俳優の狭間撫で苦悩するプロデューサー(西村雅彦)・・。
ー 絶妙である。彼が、三谷幸喜監督に愛されたのが、良く分かる。-
<今作に登場する、俳優、制作陣は何だかんだ言って、皆、”プロフェッショナル”なのである。三谷監督のラヂオドラマ愛と映画愛に溢れた作品なのである。
脚本の秀逸さは特に際立っているし、役者陣の演技合戦も見応えがある作品である。>
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