劇場公開日 1997年11月8日

「本日のラジオ・ドラマは、一大スペクタクル・メロドラマ『運命の女』です」ラヂオの時間 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5本日のラジオ・ドラマは、一大スペクタクル・メロドラマ『運命の女』です

2018年2月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波、CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

興奮

思い出しレビュー4本目。
『ラヂオの時間』

平凡な主婦が書いたメロドラマの脚本が生放送のラジオ・ドラマに採用される事に。が、キャストのワガママで設定がどんどん変更され、メロドラマがSFスペクタクルに…!? 果たして、ラジオ・ドラマ『運命の女』は最後まで放送されるのか…?

三谷幸喜の舞台劇を、自ら監督・脚色した劇場デビュー作。
やっぱりこれは面白い! いつ見ても面白いんじゃないかな。
この時映画監督としては新人だが、舞台での経験は何度もあるので、熟練された職人のよう。
勿論、笑いに関してはプロ。
今や映画監督としてもヒットメーカーになり、ベテランの風格さえ漂わせてきたというのに、いつぞやのSFコメディ映画は…。

元々舞台劇なのでワン・シチュエーション。
それでいて、ノンストップ、最後までどうなるか分からない!
事の発端は、一人のキャストのワガママ。それで他のキャストもワガママ言うようになっちゃって…。
熱海を舞台にした主婦と漁師のメロドラマ。それが、
舞台はシカゴとなり、登場人物もアメリカ人の女弁護士とパイロットに…!
それでも放送しながら何とか辻褄合わせていたが、展開上の問題が次から次に…。
一体、どういう結末になるのー??

プロフェッショナルなディレクター、自分の脚本がどんどん変更されオロオロする主婦、イエスマンのプロデューサー。
一癖も二癖もあるキャスト。
演じた役柄も演者も、愉快愉快。
ドラマの窮地を救ったのは…、まあ言うまでもない。
藤村俊二演じる守衛さんが、実はまさかの伝説の○○さん。
こういう小ネタも利いていて、本作は単なるドタバタ・コメディじゃなく、大いなるスタッフ讃歌なのかもしれない。

何とか放送を無事終えた世紀のメロドラマ・スペクタクル『運命の女』。
こんなの誰も聞いてねーよと思ったら、感動して駆け込んできたトラックの運ちゃんが、今や世界のアノ人。
ここら辺、今見ると笑える。

別に三谷は初期の頃の作品の方が面白かったとまでは言わない。
たまたまあのSFコメディがコケただけだ。
きっとまた、観客を笑わせてくれる作品を作ってくれるだろう。
そしてまたこういう、優れた良質のコメディが見たい。

近大