「バブル… 時代の仇花」汚れた英雄(1982) とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
バブル… 時代の仇花
バイクファンは、バイクシーンを絶賛。
勿論、今の技術ならもっと迫力のある、ストーリー性のあるシーンを撮れるのだろうけど、これは80年代の作品。
何より、模擬レースを行って撮影したという、その規模に驚く。じゃ、主役級のスタントをしていたレーサー以外は、映画上のお約束(設定)はあるだろうけど、ある程度本気でレースしていたの?だから、迫力があったのだろうか?
勿論、晶夫のスタントをされていた平氏をはじめとして、木下氏等主要人物のスタントをされた方々の走りに興奮させられたということに間違いはないが。
晶夫もカッコ良かった。
80年代に憧れていたようなスタイルが次から次にと…。
あのウォークインクローゼットなんて、誰が(晶夫が?)洗濯物をあの中に収めるのかと突っ込み入れたくなるが、憧れる。
今では、笑ってしまうようなシュチュエーションも…。
でも、草刈氏がやっているとため息。
ジゴロ。
お金をちらつかせて、アクセサリーのように女性を侍らす男もいるけど、
晶夫のような男を侍らすのも、女の甲斐性。
そんな時代。
自分の夢(レース)の為に、周りの人をも道具のように扱う。
こんな人結構周りにいる。やっている自分は周りを道具のように扱っているつもりはないけれど。割り切っているだけ晶夫の方が潔いのか。
そんな人間関係では、家族も作れず孤独だろう。勢いがあるうちは人も寄ってくるけれど。今流行りの”ぼっち”、孤独死となるだろうけど、ここまで突き抜ければ孤高。”好き”と引き換えに。
人間、産まれてくるのも死ぬのも一人と割り切れば、これほどの”好き”にのめり込めるということも、また幸せか。日々、何をどうしたいのか、どうすればいいのか、迷ったまま時間を無駄に費やしてしまう身にはうらやましくもあり。
とはいえ、お金さえあれば何でもできると思いこんでいた80年代。努力が常に結果に結びついていた80年代。いつまでも上昇していけると思えていた80年代。
時代の仇花?
と感想は語れるし、大方の粗筋は思いだせるし、あるシーンも思いだせるけど、細かいところまで思いだせない。
イメージビデオのように、異次元の、バブル的な格好良さにひたる映画。
(原作未読)