宵闇せまれば
劇場公開日:1969年2月15日
解説
「新宿泥棒日記」の大島渚がシナリオを執筆し、テレビで活躍中の実相寺昭雄が無気力な若者の危険な遊びを描いた中篇。
1969年製作/43分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1969年2月15日
ストーリー
宵闇迫る頃の、とあるアパートの一室。この時間は大嫌いだという、四人の学生が集っている。マサアキ、ヤナ、サミーの三人の男子学生と、ジュンたちである。遊びにも捲きた頃、ちょっとしたミスから、ガスの栓が、はずれてしまった。勢よく吹きだすガス。その時、一人が提案した。「ガスを出しっぱなしにして、誰が一番最後まで部屋に残れるか、賭けをしよう」--こうして四人のゲームが始まった。「俺たちは不幸な時代の人間だ。強制収容所もなければ、特高警察もない。人間の限界をはかる極限状況がないんだ。だから、こんな遊びで極限状況をつくって、宵闇迫る、いやな時間をつぶしているのさ」--一人抜け、二人抜けて行く。だがこの頃から、ゲームは遊びではなくなった。ジュンとマサアキが残り、結局最後までがんばったのはマサアキだった。彼は賭け金を取った。そして、すべては終ったと思われたのに突然ジュンがマッチをするうとする。やめろ、という者、ジュンの挑戦を受けようとする者。しかし、その前にジュンが倒れた。窓をあけてガスを外に出す。四人の胸に、生きていることの実感が、こみあげてきたようだ。もう夜のとばりも降りた。隣室から、《宵闇せまれば》が聞こえくる。