夢一族 ザ・らいばる
劇場公開日:1979年12月22日
解説
八十四歳の老結婚サギ師と二十四歳の若者がコンビを組んで繰り広げるコメディ。コーネル・ウールリッチの原作『睡眠口座』を映画化したもので、脚本は「真田幸村の謀略」の田中陽造、監督はTBSテレビで「時間ですよ」や「ムー一族」などで軽妙な演出を見せた久世光彦、撮影は「総長の首」の増田敏雄がそれぞれ担当。
1979年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1979年12月22日
ストーリー
マコトは読み捨ての朝刊に、睡眠口座の公示(銀行に預金したまま連絡のとだえた預金者の口座)を見つけた。新聞の切り抜きをたよりに、預金者である筈の雨笠家を訪ねるが、その家はなく、二十年前の火事で雨笠家は全員焼死、当時四歳の治の遺体だけが発見されなかったそうだ。「生きていればオレと同じ年」他人の貯金を横取りしようと、マコトは市役所に戸籍謄本を取りに行った。預金額は約八百万円。ちょうどそのとき、八十四歳になる雨笠治平が孫・治の死亡届を出しに来ていた。ひとりの人間をめぐって、死んだ事を届けに来た者と、生きている証明書を貰いに来た者がハチ合せ。マコトは戸籍係の清水俊と押し問答。翌朝、治平は菩堤寺の阿弥陀寺へ治の骨を納めに行き、そこでギックリ腰になって寺で寝こんでしまう。寺の裏はストリップ小屋で、マコトと俊がかぶりつきにいた。夜になって、行く所のないマコトが寺に忍びこむと、そこに浩平が寝ていた。数日後の朝、治平はマコトのポケットから新聞の切り抜きを見つけ、その企みに気づいた。夕方、マコトが帰って来ると、そのことで治平がとっ組みかかってきた。そこへ俊がやって来て治平に殴りかかった。今度は、マコトが浩平を助けようとする。二十年前、俊の父は治平に騙されて金を取られ、自殺してしまい、母もその後を追い、俊と妹の薫だけが残されたのだ。数日後、ストリップ小屋の楽屋にいたマコトは未成年者強制労働で警察に連れていかれてしまう。翌朝、マコトが留置所から出て来ると、そこに、マコトを待ったまま寝入ってしまった治平がいた。マコトは思わず、涙を浮かべたが、わざと乱暴に治平を蹴飛して起こした。治平はマコトに睡眠口座を下して旅に出ようともちかけるが、マコトはギックリ腰から、下の世話までさせられるのはゴメンとはねつけてしまう。治平はマコトの背に実印を投げつけた。翌日、治平は寺で首を吊ろうとして天井に縄を掛けるが、身体が重くて天井が抜け、天井板が火鉢に落ちて、火が燃え上がった。炎の中で治平の姿を見つけたマコトは、火の中に飛びこみ、治平をかつぎ出した。ホッとして見つめあう二人に、いつしか笑顔が浮んでくる……。