「今年の、敗戦記念日の前日に劇場公開された。」ゆきゆきて、神軍 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
今年の、敗戦記念日の前日に劇場公開された。
初公開が1987年8月1日。33年の歳月が経った。さらに言えば、奥崎謙三が生まれて100年だという。そもそも題材になっているのが75年前に終わった太平洋戦争で起きた戦争犯罪(決してそれだけはないが)であり、なんなら歴史の彼方に感じる世代もいるだろう。
これを書いている自分も、映画が公開された時はまだ15歳で、正直、存在にすら気づいていなかった。成人してから後追いで観て、例にもれず衝撃を受け、その後、機会があれば観直している。実際、何度も劇場公開されているし、数年に一度は話題にものぼる。ドキュメンタリー映画としは屈指の人気作と言っていい。
そして、今観てもやはり強烈であり、色褪せていないのは、未だにこの映画(と奥崎謙三という人物)が理解を受け付けないようなカオスの塊だからではないか。醜い戦争の実態や、許されざる戦争犯罪を暴いてはいるが、正義や正しさのものさしでは決して計れない。そして奥崎が突きつける日本の矛盾は、今もわれわれに取り憑いたままなのだと思う。
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