誘拐(1997)

劇場公開日:

解説

東京のど真ん中で行われる身代金の受け渡しをテレビで生中継するという前代未聞の誘拐事件の顛末を描いた娯楽大作。監督は「ゴジラVSデストロイア」の大河原孝夫。脚本は森下直の95年度城戸賞受賞作。撮影を「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」の木村大作が担当し、身代金受け渡しのシークエンスは日本映画撮影監督協会の応援のもと、日本映画界を代表する数多くのキャメラマンが参加して、空前の大ロケーションが敢行された。主演は「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」の渡哲也と「学校II」の永瀬正敏。97年度キネマ旬報ベスト・テン第7位。

1997年製作/109分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1997年6月7日

ストーリー

とある日曜日の早朝、東昭物産常務の跡宮が何者かに誘拐されるという事件が発生した。目撃者の証言によれば、犯人グループは運転手の狭間も一緒に連れ去ったらしい。翌日、犯人は東昭物産に対し3億円の身代金と、その受け渡しのテレビ生中継を要求してきた。身代金の運び役には同じ東昭グループの東昭開発監査役・神崎が指名され、何十台ものテレビ・カメラと何百人もの報道陣が取り囲むなか、犯人はまるでゲームを楽しむかのように次々と場所を指定して、神崎を走らせる。3億円の入った30キロものバッグを運ばされた神崎は、やがて心筋梗塞の発作で倒れてしまった。後日、犯人は次の運び役に東昭銀行専務の山根を指名するが、彼もまた力尽きて途中で倒れる。犯人のやり口に激昂した警視庁のベテラン刑事・津波が、山根の身代わりとなって現金を運び、後輩の若手刑事・藤も彼の後を追った。だが、犯人が指定した新橋の喫茶店を出た後で、津波もまた力尽きてしまう。後を受け継いだ藤は、犯人の指示通り首都高速の非常駐車帯へバッグを置くが、犯人が姿を現さなかったにもかかわらず、バッグの中身はいつの間にかすり替えられていた。その後、26年前に地下水汚染で多数の死者が出た下加佐村のアキワ公害訴訟を担当した弁護士・折田が、誘拐の前日に跡宮と会っていたことが判明する。この裁判は住民側が敗訴し、産業廃棄物を不法投棄した企業は何の責任も問われていなかった。さらに、跡宮と神崎、山根の3人が当時、それぞれ産業廃棄物処理の関連会社の責任者だったこともわかる。吐血して入院した津波から捜査のアドバイスを受けた藤は、3億円をすりかえる唯一の機会が津波が寄った喫茶店だけであったことに気づく。アキワ公害訴訟を起こした住民名簿の中に当時入り婿して苗字の変わっていた津波の名前を発見した藤は、下加佐村の駐在だった津波がアキワの事件で妻と幼い息子を亡くしていたことをつきとめた。今回の誘拐事件は津波を中心とする下加佐村の元住民たちと折田が、下加佐村の悲劇を世に訴えるために起こしたものだったのである。運転手の狭間も、目撃者も、喫茶店のマスター夫婦も、みんな津波の計画に荷担した下加佐の人々だった。やがて彼らは全員自首し、跡宮も無事保護される。藤はダムの底に沈んだ下加佐村を望む湖畔で津波に手錠をかけた。時が流れ、藤は胃がんでこの世を去った津波の思いをかみしめる。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第21回 日本アカデミー賞(1998年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 大河原孝夫
脚本賞 森下直
主演男優賞 渡哲也
助演男優賞 永瀬正敏
助演女優賞 酒井美紀
音楽賞 服部隆之
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映画レビュー

4.5ごっついおもろい

2024年8月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

CGやド派手なアクションは無いが、極上の脚本と演技、大規模都会ロケで噂通りの満足度。一昔前にこんな素晴らしい邦画があったなんて、敬意を評したくなる。

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maku1

4.0CGを使わず新宿、銀座でのモブシーンは今観ても圧巻

2024年4月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

#神保町シアター さん 特集企画「戦前戦後―東京活写 映画の中で生き続ける、失われた東京の風景」にて #渡哲也 さん主演『 #誘拐 』(1997)を鑑賞。

公開から27年経ちますが、歌舞伎町周辺は #コマ劇場 も無くなって様変わりしましたね。CGを使わず新宿、銀座でのモブシーンは今観ても圧巻。
撮影当時の町並みや風俗を味わうのも映画の醍醐味の一つですね。

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矢萩久登

5.0俺が今何考えてるか分かるか⁉️

2023年10月9日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

興奮

この作品は公開当時劇場で鑑賞し、深い感銘を受けました‼️タイトルは「誘拐」‼️大規模な東京の街中ロケーションや身代金受け渡しの生中継シーン、渡哲也さんの久しぶりの映画主演が当時相当話題になったと思います‼️会社常務が誘拐され、事件を担当することになったベテラン刑事の津波とニューヨーク帰りの藤。しかし犯人は身代金の受け渡しのTV生中継を要求、身代金の運び役に常務と同じ会社の重役たちを指名する・・・。前半は莫大な捜査員、多数の記者や中継車、ヘリ、一般市民を動員した身代金受け渡しの生中継‼️そして後半は全警察力を動員した犯人追跡と、犯人たちが犯行に至る悲しいドラマが描かれる‼️そして隠し味として、津波と彼が面倒を見ている娘マヨの微笑ましい疑似親子関係も描かれる‼️後半は公害訴訟における悪徳企業の策謀と、被害者たちの悲しい宿命、そしてその宿命が今回の事件を引き起こしてしまった顛末が描かれ、津波の悲しい過去に涙が止まらない‼️この手の犯罪映画の場合、日本映画は事件を解決する刑事たちよりも、犯人側の動機解明に重きを置きます‼️そういう意味で今作は日本映画の面目躍如たる力作ですよね‼️しかしこの作品の真の価値は、前半の身代金受け渡しのTV生中継シーンです‼️年配の重役たちが汗まみれ、身代金3億円の重量に顔を歪めながらの身代金運搬‼️周りを取り囲む取材の記者、TVカメラ、野次馬、刑事たち、騒動を伝えるTV放送‼️一人また一人と重役たちが倒れ、「これは公開殺人だ」運搬を引き継ぐ津波‼️その津波も倒れ最終走者は藤‼️犯人の指示に従って猛ダッシュ‼️自転車に乗り換え、最後は一般人から拝借した車で爆走‼️そのスピード感、そしてキャストたちにくっついて離れない凄まじいカメラワーク‼️これぞ映画の醍醐味‼️木村大作さん、グッジョブ‼️この前半の息もつかせぬ展開がスパイスとなって、後半の展開が余計心に染みる‼️ラスト、藤とマヨには、津波の分まで幸せになってほしいと切に思わされたなぁ‼️

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共感した! 5件)
活動写真愛好家

5.0人は誰もが嘘をつく

2022年1月29日
iPhoneアプリから投稿

公開当時「失楽園」「もののけ姫」の陰に隠れてしまい残念。もっとヒットしても良い作品。間違い無くカッコいい渡哲也さんを見れる作品。

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共感した! 3件)
成龍