柳生一族の陰謀のレビュー・感想・評価
全24件中、1~20件目を表示
仁義なき戦いの延長戦みたい
徳川家光の顔に巨大な痣があるとか、吃音が治らないとかは、冗談の範疇だけれど。
冒頭から、家光が将軍就任前に秀忠が死んだとか、弟の徳川忠長が駿府城に籠城したとか、完全にパラレルワールドの物語が展開していきます。
最後は、千葉真一さんの柳生十兵衛が、家光の首を斬り落としちゃう、などやりたい放題。
仁義なき戦いの延長戦みたいで、面白かったけど。
萬屋錦之助さんの冷徹で権力亡者の柳生宗矩は貫禄があって良かった。松方弘樹さんの苦悩する徳川家光も良かった。顔に痣が落書きされてる松方さんにしか見えないけれど。
アクションは、千葉さん、真田広之さん、志穂美悦子さんの3人が引き受ける。
このお馴染みの3人が出てくると、もうシリアスな話は成立しないです。
表柳生の陰謀
新旧スター豪華競演の時代劇。
映画産業が斜陽化するなか、東映が社運を賭けたと言われる大作。
柳生宗矩を演じた萬屋錦之介は新境地を拓いた『子連れ狼』の拝一刀そのままの雰囲気で登場。それはいいが、「親に合いては親を殺し、仏に合いては仏を殺す」なんてセリフまで出てくるのは、いかが致したものか。
雰囲気は一刀そっくりだが、実子を犠牲にしてでも目的を遂行しようとする宗矩のやり口は、さながら柳生烈堂。タイトルからも、『子連れ狼』の影響を受けていることは疑うべくもないだろう。
二代将軍・徳川秀忠が不審死を遂げたあと、跡目を巡り家光、忠長の両陣営が暗闘を繰り広げる。
時代劇の体裁を採ってはいるが、やってることは、はっきり言ってヤクザの抗争。
監督は深作欣二。…ならば、むべなるかな。
家光上洛に随行する朝廷の勅使殺害に加担した根来衆を証拠隠滅のために殲滅する設定が強引。
それまでに素性を隠さず襲撃する場面が何度もあるし、詔勅を携え西国へ下向した勅使を斬った十兵衛が目撃した従者を見逃したこととも矛盾する。
マンやハヤテらを含む大人数を打ち漏らしたままなのも迂闊すぎ。
そんな突っ込み所満載の作品なのに何度もTVでリメイクされる理由の一つは、本作が創出した時代劇史上屈指の悪役、烏丸少将文麿のおかげ。
映画の大ヒットを受けて製作されたドラマ化一作目でも同役を演じた成田三樹夫はヤクザ映画の悪役が定番だったのに、本作以降、風向きが変わった。
個人的には松田優作主演のドラマ『探偵物語』の刑事役が印象的。「工藤ちゃーん」のセリフが今なお耳朶に残る。
今あらためて見ると、シナリオだけでなく構図や色彩に拘った大映時代劇に較べ見劣りする印象。TV時代劇で粗製濫造を繰り返した結果の安直さが本作にも影響しているように感じる。
劇場公開時まだ高校生だったが、家光の生首の作り物感には当時も呆れた。『子連れ狼 死に風に向う乳母車』(1972)で旧大映スタッフが見せたプロの心意気を当時の東映スタッフにも発揮して欲しかった。
本作に限らず、この頃の東映時代劇は音楽もチープ。
ケチばかり付けたが、萬屋錦之介の熟達した演技と存在感は本作最大の見どころ。
千葉真一との新旧交代を予感させるラストシーンも含め、時代劇に殉じた錦之介の集大成ともいえる。
ハヤテを演じた当時の真田広之は芝居下手すぎ。
それが今や日本を代表する国際スター。
やっぱり経験て大事なんだと、あらためて実感。
BS日テレにて視聴。
萬屋!!!
なかなか面白い、刺激的な時代劇エピックだ。
徳川2代将軍・秀忠が急死。毒殺という疑念の中、2人の息子(家光と忠長)の間で、跡継ぎ争いが勃発。家光の剣術指南役・柳生但馬守宗矩は、武者修行中の長男・柳生十兵衛を呼び戻す、、、。
実在した歴史上の人物を描きつつ、ストーリーは全く架空のフィクション。個別のエピソードを深く書き込み過ぎず、複雑なストーリーが、次々に展開される。エンターテイメントに富んだ作品だ。
驚くべき結末も含め、非常に世俗的で、娯楽色豊かに描いている。ストーリー自体は、良く出来ていると思う。剣闘を交えつつ、権力闘争をシニカルに描いているのも、実に興味深い。
権力の腐敗という視点で見ると、また違った面白さがある。さまざまな政治的陰謀を描いた、刺激的な時代劇エピックだ。
完全に古い時代劇
戦国時代が、とうの昔に終わり忍者一族の必要性が無くなったので、一族が
いいように政治利用されて消えていく物語です。
何と言うか、時のスター俳優は多く出演していますが、それらのキャストを
十二分に活かせているかと聞かれれば、千葉真一さん以外は微妙です…
真田広之が声変わりする前の少年時代で出ていますが、ショタコン女を
満足させる内容にも、なっていません…
時代劇が、必ずしも史実に忠実に描く必要性はありません…しかし…
最後はネタバレになるので詳しくは書けないが、徳川家光が将軍の位に
付く前に××になったとか、いくら何でも、そんな大ウソ描かないで下さい…
テレビドラマの枠を
出雲阿国出てます
最強のピカレスク時代劇!
2時間作品にしては登場人物が多く、色々詰め込みすぎの感もあるが、後半には登場人物の相関図が過不足なく回収されていくので、観終わってみれば無駄のない作り。オールスターキャストと言うべき豪華俳優陣が見所で、何よりピカレスク物としてのラストの萬屋錦之助の狂気と松方弘樹の堂々たる悪辣ッぷりが堪らなく良くて痺れる。
アクションは今観れば稚拙だが、そんなことを問題にはさせない程、深作監督はテンポよくグイグイ進めて行く。この頃の日本映画はまだまだこんなギラギラした面白い映画が作れていたんだなぁ。今観ても面白い、これぞ極上の娯楽作!
徳川三代将軍跡目争い。家光と忠長、この2人の兄弟とて家臣たちの権力...
血で血を洗う狂った奴ら
78年の作品
日中平和条約が調印された78年
キャンディーズが解散しサザンがデビューした78年
スワローズが初優勝しライオンズが福岡から所沢に本拠地移転した78年
日本で『スターウォーズ』や『サタデーナイトフィーバー』が公開され邦画では『鬼畜』が上映された78年
2度目の鑑賞
監督と脚本は『仁義なき戦い』『復活の日』『魔界転生 』『蒲田行進曲 』『里見八犬伝』『いつかギラギラする日』『忠臣蔵外伝四谷怪談』『バトルロワイヤル』の深作欣二
脚本は他に『白蛇抄』の野上龍雄と『花いちもんめ』の松田寛夫
史実を元にしているが大胆すぎるアレンジ
秀忠が忠長より先に他界してるし家光が十兵衛に殺されている
ネットで調べたが忠長は酷い言われようでまるでキチ○イの所業
ここまで揃うと逆に信じ難いし嘘臭い
忠長が映画に登場するのは今作が今のところ最後だが最初に演じたのは目玉の尾上松之助となると尚更
勝った者が歴史を作るらしいが正しい歴史認識というのも随分と儚いものだ
徳川将軍二代目秀忠の急死によって勃発した兄家光側と弟忠長側の醜い跡目争いを描いた傑作
その後テレビドラマや演劇で何度もリメイクされた名作時代劇
萬屋錦之介と千葉真一のダブル主演
オープニングクレジットでエンドロール無し
家光側
徳川家光に松方弘樹
柳生但馬守宗矩に萬屋錦之介
松平伊豆守信綱に高橋悦史
春日局に中原早苗
忠長側
駿河大納言忠長に西郷輝彦
家臣・別木庄左衛門に夏八木勲
家臣・ 久能美作守重吉に汐路章
踊り子・出雲の阿国に大原麗子
阿国に片想いの浪人・名護屋山三郎に原田芳雄
土井大炊頭利勝に芦田伸介
柳生但馬守宗矩の子
柳生十兵衛三厳に千葉真一
柳生茜に志穂美悦子
柳生又十郎宗冬に工藤堅太郎
柳生左門友矩に矢吹次朗
根来衆
根来左源太に室田日出男
ハヤテに真田広之
マンに浅野真弓
フチカリに福本清三
跡目争いの混乱に乗じて王政復古を目指す公家
烏丸少将文麿に成田三樹夫
九条関白道房に金子信雄
三条大納言実条に梅津栄
家光暗殺の浪人たちの指揮を取る天野刑部に中谷一郎
片禿に小林稔侍
十兵衛に片目の深傷を負わせる小笠原玄信斎に丹波哲郎
家光秀忠の母・崇源院於江与に山田五十鈴
尾張大納言義直に三船敏郎
作品冒頭秀忠の葬儀
いきなり豪華な顔ぶれが並ぶ
なぜか顔に大きな痣の松方弘樹
超大物女優山田五十鈴
イケメン西郷輝彦
黒沢映画でお馴染み世界の三船敏郎
渋い名優芦田伸介にあと誰?誰?
性格俳優高橋悦史
深作欣二の妻で謎の威圧感中原早苗
公家姿の梅津栄と成田三樹夫
嵐の前触れと言われずともワクワクと期待せずにいられないメンバーである
これで面白くないわけがない
なぜか俳優以外のおじさん数名がカメオ出演している
角川春樹と水野晴郎と佐藤純彌監督だ
家光の生首がもっとリアルだったら良かったが78年の日本映画では無理な話か
家光を失い狂った宗矩を演じた萬屋錦之介は歌舞伎出身ならではの迫力で『十一人の侍』の大犮柳太朗以上の芝居だった
公家を演じさせたら菅貫太郎と双璧の成田三樹夫の芝居を久々に堪能できて満足
将軍の座を巡る一族の骨肉の争い
某映画系Youtuberさんが本作を紹介していたので鑑賞しました。
時代劇であること以外はほとんど事前知識がない状態での鑑賞です。
結論ですが、かなり楽しめました。
日本の政権を巡る将軍の息子二人による骨肉の争いに、多くの人物が自分の利益のために介入してくることで生まれるサスペンス。そして、タイトル通り人知れず暗躍する柳生一族の目的とは…。
登場人物が非常に多い映画は「この人誰だっけ」となりがちですが、本作は全員キャラが濃いので「この人誰だっけ」とはならなかったのがありがたい。私は人の顔を覚えるのが絶望的に苦手なので登場人物の多い作品は苦手なんですが、本作は大丈夫でした。
・・・・・・・・・
元和九年、二代目将軍の徳川秀忠が江戸城にて突如死亡した。食あたりによる中毒死として処理されたものの、「毒殺ではないか」という噂も聞こえ始める。秀忠の死によって急遽次期将軍を決めることになったのだが、幕府内部では三代目を誰にするかで意見が割れていた。通常であれば長男の家光(松方弘樹)が将軍になるのだが、生来の顔の痣とどもりによって秀忠から疎んじられていたこともあり、次男の忠長(西郷輝彦)を将軍にしようとする動きが多数派であった。家光の剣法指南役として長く使えていた柳生但馬守宗矩(萬屋錦之介)は何とか家光を将軍にしようと暗躍するのであった……。
・・・・・・・・・
私はあまり時代劇を嗜みませんが、本作は非常に楽しめました。多くの人物の企てが複雑に交錯するストーリーながら、これが意外にも観やすくまとまっている。合戦シーンも迫力があり見応え満点。そしてラストに待ち受ける衝撃の展開に思わず息を飲む。
元々は争うつもりなど毛頭なかった家光と忠長ですが、周囲から唆されてお互いを憎み合うようになり、あれよあれよと殺し合いにまで発展していく描写は非常に恐ろしく見事でした。
古い映画故に音質や画質に難ありなところはありますが、そんなの気にしてたら昔の名作なんて見られません。
ボリュームあって非常に面白かったです。普段時代劇を観ない人も、試しにご覧になっていただきたいですね。オススメです!!
さすが天下の深作時代劇
シナリオが良い。省くところは短く、観客にそこは考えてください、時間があるから見せるところ見てますよ。流石の展開。日本人の好きな弱気者が主人公だがこの映画みんな弱気者。勝者は誰もいないところが潔く気持ちいい。
最近こんな骨太な時代劇ないなと思う。撮れる監督がいなくなったのかな?
深作欣二に駄作なしだな。
仁義なき戦い・天下騒乱篇
Huluで鑑賞。
東宝や角川映画の大作映画に押され気味だった東映が、社の威信を賭けて放った豪華絢爛なオールスター時代劇超大作。
下火だった時代劇を復興し、加えてネタ切れ状態だった実録やくざ映画路線のエッセンスを注入した異色作となりました。
萬屋錦之介、千葉真一、丹波哲郎、松方弘樹、真田広之、志穂美悦子の他、深作欣二監督作品の常連やピラニア軍団、東映実録路線に出演していた俳優たちがこぞって参加。徳川幕府第三代将軍の座を巡る仁義なき戦いが繰り広げられました。
世継ぎを巡る争いはまさにやくざの抗争そのものでした。それぞれの派閥の思惑が交錯し、策謀と裏切り、人の命を命とも思わぬ戦いに多くの血が流されました。さらにクライマックスにはまさかのどんでん返しが。新年早々衝撃でした。
史実を曲げて決着をつけると云うフィクションの極地を行くこの手法、めちゃくちゃクエンティン・タランティーノっぽいなと思いました。もしかしてタラちゃん、本作観たことあったりして?そして大好きだったりして?
予定調和では傑作は生まれない 現場でより良いもの作りたいという互いの思いがぶつかりあってこそ化学反応が生まれるという見本だと思います
本作の予告編の謳い文句にはこうあります
時代劇復興第一回作
時代劇のメッカ
東映京都が
全精力、総力を結集して作る
本格時代劇巨編
12年振りに帰って来た
現代のエース深作欣二監督
時代劇に挑む
骨太い人間たちによる
骨太いドラマ
ロマンとアクションの超大作
別の予告編でも
雌伏12年!!
時代劇復活を賭して
今、・・・・・
東映が総力を結集してはなつ
本格的時代劇巨編
全く持ってこの宣伝文句に偽りなし!
その通りの製作方針で、意図したとおりに完成したと言えます
最強最高の布陣で臨んでも、思った通りの結果にならないのが映画の怖いところです
ですが、本作は会社が思った以上の大成功作として完成したのです
むしろ監督や俳優たちも、当人たちが考えていた以上の傑作に化けてしまった作品と言えると思います
深作欣二監督は自分が撮るからには、現代的な時代劇にしようと意図していました
仁義なき戦いでみせたような迫力ある闘争シーンに仕上げています
それに対して萬屋錦之介は本当の本格時代劇とは何かを示そうとしています
所作や言葉遣いは、現代的どころかより歌舞伎的に強調している程です
この対立構造が画面一杯に緊張感を張り詰めさせています
それがガスが充満したかのように、あのクライマックスで大爆発を引き起こしているのです
この対立構造がなければ、あの神がかったシーンは不発に終わったことでしょう
それだけが本作の成功の要因ではありません
千葉真一は自分の提案した原案がとおりイキイキしています
柳生十兵衛三厳役が、その後彼の十八番の役所になった程です
脇役、端役、スタント達全員が、この作品で兜首を上げるのだ!と我先にと張り切っています
美術、衣装、メイク、ヘアのスタッフ
もちろん照明、撮影、音楽、音響もみんなノリノリで頑張っていることがよーーく伝わってきます
これらがみな掛け算となって、相乗効果を生み全編が面白い豪華作品となったのです
これだけ豪華ですから正月やお盆に観たくなるナンバーワン時代劇になったのだと思います
そうそうたる顔ぶれの俳優たち
三船敏郎、芦田伸介、山田五十鈴といった重鎮以外にも中堅どころがずらり
なかでも最高なのが、成田三樹夫の烏丸少将文麿
あの癖のある顔立ちが役所にピッタリとはまり過ぎる程でした
最高の布陣で臨んで、最高の結果を挙げてみせた
あるようでそうない見本だと思います
予定調和では傑作は生まれない
現場でより良いもの作りたいという互いの思いがぶつかりあってこそ化学反応が生まれるという見本だと思います
夢でござる
夢だ夢だーと家光の首をもってうろうろ
最近、リバイバルで作り直しテレビで放映(2020)されたものは、いくら俳優さんが頑張っても、くだらん放送規定を気にして作ったのか、それとも家制度というものを理解してない者が脚本を作ったのか。柳生一族が鬼気迫るようなことを何故したのか、あんなんでは柳生一族の陰謀は茶番劇になってしまった。情けなかった。「年老いたオヤジが金持ちになりたいだけで、身内も殺したんだよー」的なくっだらないドラマだった。これからも、思想を理解できないものが時代劇を作るのだから、時代劇離れは進むだろう。全く、悲惨。
それに比べて!この萬谷錦之助版は完璧。なぜ人間は必死になるのか。そこんとこをわかるためにも、是非、今の人にみてほしい。金が欲しいなんて短絡的な話じゃないんだ。
ギュウギュウに詰めこまれた演者味
78年東映。オールスター娯楽時代劇。
次から次と出て来るまさに昭和スターの夢の共演。幼少時に見たが再見するとその濃厚さに驚いた。
深作欣二監督だけに千葉・真田・志穂美は安定のアクション。成田三樹夫は今なお語られる怪演。そこ以外の役者、萬屋錦之介や大原麗子の輝きが面白い。
大作だが堅いナレーションで締める感じも東映的。史実を無視して面白く作る姿勢は素晴らしいと思いますね。
全24件中、1~20件目を表示