もう頬づえはつかない

劇場公開日:

解説

一人の女子大生の愛と性を二人の男性にからませて女性の自立を描いたもので、見延典子の同名の小説の映画化。脚本は「ホワイトラブ」の小林竜雄と「サード」の東陽一の共同執筆、監督も同作の東陽一、撮影も同作の川上皓市がそれぞれ担当。

1979年製作/113分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1979年12月15日

ストーリー

早大生のまり子は、アルバイト先で知り合った同じ大学の橋本と、三十過ぎの芽の出ないルポライターの恒雄という二人の男とつき合っていた。まり子は現在橋本と同棲中で、その前は、恒雄と恋愛関係にあり、彼のために薬剤師になる夢を捨て大学も変えたことがある。彼女は恒雄のことで札幌の母と喧嘩して、以来、仕送りもなく、今は大家の中年男高見沢の妻・幸江の経営する美容院でバイト中だ。ある日、橋本と同じアパートにいる明美という女から、二人が以前、関係していたことをまり子は聞いた。そんなとき、突然恒雄が戻ってきた。彼は故郷で働くという。そして、まり子と橋本の関係を知って怒る恒雄に、彼女は抱きついていく。その現場を見た橋本は恒雄と争いになり、まり子の前から去っていく。暫くして、橋本は故郷鹿児島で就職を決めてまり子の前に現われた。その頃、あの橋本と争った日以来、行方をくらましていた恒雄も戻ってきて、まり子は恒雄と久しぶりのセックスをするが、以前のような気持にはなれなかった。それは、恒雄が自分の夢を追うばかりで、彼女の立場を考えようとしないからだ。一方、橋本もまり子を連れて故郷に帰りたいと言う。自分のことしか考えない二人の男に、まり子はひとりで生きていく決心をするのだった……。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第3回 日本アカデミー賞(1980年)

受賞

主演女優賞 桃井かおり

ノミネート

作品賞  
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映画レビュー

4.01979年の風と共に去りぬ

2021年2月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

早稲田大学の女子学生の物語
1979年の青春
桃井かおりの演技は圧倒的で伝説になったのも当然

主体性を持たず、身勝手な二人の男に流されていくだけだった女性が、物語の最後は確固とした人格を持つ女性に成長しています

風にそよぐカーテンを後にアパートの部屋を去っていく彼女の爽やかな表情はそのテーマが雄弁に表現されている素晴らしい演出でした

正に風と共に去りぬです

かすみ草を買って、退去するアパートの部屋に飾る

白いかすみ草の花言葉は、清らかな心、幸福、感謝

あなたは心の清らかな人だった、幸せになってね、感謝してます

東陽一監督の演出力は確かです
前作のサードでは団塊世代の喪失感を、その下の世代を使って表現していましたが、本作ではそうな回りくどいことはなく、素直な原作の映画化であったと思います
むしろ今度は団塊世代の役者を使って、下の世代の青春を演じさせています
前作のサードで下の世代をダシにつかった埋め合わせなのでしょうか?
いや政治運動に明け暮れた団塊世代からの、このような青春でありたかったとの素直な憧れ
そのように見えました

21世紀の青春と1979年の青春
違いがないのかもしれません
アパートがワンルームのマンションに変わっただけのようにも思えます
でも決定的に違うのはコミュニケーションの濃密さです
何をするにも電話して、直接合わなければ、始まらないのです
それも今すぐ会う、それ程の濃密な関係なのです

どうかすると21世紀の青春はSNSで終わってしまう時代
ましてコロナ禍で合うこともままならない
電話で話すこともない
始まる前に既読スルーで終わっているのかも知れません

21世紀の若者は1979年の青春を憧れるのでしょうか?

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