ひばりの花笠道中
劇場公開日:1962年10月27日
解説
観世光太の原作を「勢揃い関八州」の結束信二と「歌う明星 青春がいっぱい」の若井基成が共同で脚色、「よか稚児ざくら 馬上の若武者」の河野寿一が監督したコミカル時代劇。撮影もコンビの山岸長樹。
1962年製作/83分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年10月27日
ストーリー
江戸は両国の盛り場、矢場の娘お君と天下の素浪人、緋鯉の寛太はイイ仲である。その寛太が突然姿を消した。浜松からやってきた娘が、凶刃を受け死を代償にして携えてきた密書が寛太出奔の原因とは、お君の弟新太、金次も気付く筈がない。だが家探しにきた刺客辰巳典膳たちの話から寛太の行く先を知ったお君は、新太と金次をつれてすぐさま旅に出た。一足先に小田原で寛太と巡り合った新太に、寛太が打ち明けた話が、浜松七万石のお家騒動に捲きこまれたというのだ。藩主が病死して起った後継ぎ問題、長男松千代は出奔して行方知れず、次男梅千代は乱心して幽閉の身、三男竹千代は幼少過ぎる。家老松江伝兵衛は松千代を藩主とするのが常道と主張したが、竹千代の後見として浜松藩乗っとりを策する飯田左京は頑強に竹千代を推した。固苦しい武家生活を嫌い城を飛び出した松千代の行方を知る伝兵衛は娘の浜路を使者に江戸へ送ったのだが……。寛太と新太は浜松城へ急いだが、途中刺客に襲われたところを浪人伊丹隼人に救われた。だがこの隼人は、典膳から金を貰うと浜松へさしかかった寛太達に銃を向けた。……浜松城では、無念の涙にくれる伝兵街をよそに竹千代と並んだ左京を上座に祝宴がたけなわである。仕官の身となった隼人も、控えていた。座が進み、お京太夫一座の踊りが最高潮に達した時、颯爽と現われたのは新太と若様姿の寛太。「松千代君!」と驚きのあまりに左京は絶句したが、すぐに「構わぬ、斬れ」と叫んだ。すると隼人が“御公儀大目付”と名のりを上げ、寛太をかばって剣を構えた。たちまち広間は大乱闘の場と化したが、悪の栄えようはずがない。逆臣共を斬って捨てた寛太は、再会を喜ぶ梅千代、伝兵衛が「城に残って下さい」と頼むのに、「俺らは両国無宿の寛太だぜ」と振り切って、お君の肩を抱いて江戸へ戻るのだった。