真昼の暗黒のレビュー・感想・評価
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ネオリアリズモにも似た映像、的確な演出、テンポ良い編集とカット割で映画としても大変優れている
素晴らしい名作だ!
日本映画オールタイムベストに名を連ねるのは当然だ
冤罪が発生するメカニズムを余すことなく描いている
21世紀の現代に於いてもなお、様々な対策を取られていてもなお冤罪事件は根絶されていないのだ
つまりこのメカニズムは今もあるのだ
明日、あなたが冤罪に巻き込まれてもおかしくはないのだ
真昼の暗黒
本作を鑑賞する私達は正にそれを知ることになる
今井正監督は戦前に特高警察に連行されたほどの筋金入りの左翼運動家であり、戦後は日本共産党に入党した人物で知られている
よって、本作もその様な思想によって強引に偏向された、何らかの政治的意図を持って製作された内容ではないのかとの予断を持ってしまうだろう
しかし、その様な心配は無用だ
全く社会的正義を貫く姿勢で製作されており、何ら不純物はない
むしろ真昼の暗黒という題名はそもそも、ドイツの作家の小説から取られており、それはソ連に於ける共産党による冤罪と粛清で「虚偽の自白で死刑になる」ことを描いたものなのだ
警察官や法曹界の人間には研修教材として必ず全員に観て頂きたいと強く希望する
ネオリアリズモにも似た映像、的確な演出、テンポ良い編集とカット割で映画としても大変優れている
伊福部昭の音楽も控え目ながら内容にマッチしている
冒頭にあるように、この映画は現実の事件そのままの再現ではない
しかし本作公開の5年前に起こった山口県田布施市の八海事件のことを扱っていることは知られている
公開当時は、まだ裁判が進行中であった
ラストシーンで描かれた状況そのままであったのだ
当然裁判に影響を与えるものとして圧力を受けながらの製作と公開であったのだ
公開は自主上映であったという
その勇気と熱意、社会的正義感に敬意を示したい
本作を観終わり憤懣やる方ない方は、現実の最高裁の判決の結末を各自で調べて頂きたい
冤罪を生む制度
自白を疑ったり、取り調べを見える様にしたり。これらは、冤罪を防止する対策だが、対症療法に過ぎないのではないか。科学的鑑識があっても、少ない証拠や状況証拠で罪が無意識に捏造されるかもしれない。警察は取調べ方法の非を知っても、容疑者が犯人であると疑っていない。権力、人、罪、証明等、これらの奥にある冤罪のメカニズムを解く必要がある。
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