非行少年 陽の出の叫び
劇場公開日:1967年6月3日
解説
新人の藤田繁夫と植谷淳が共同でシナリオを執筆し藤田繁夫が監督した第一作。撮影は「水で書かれた物語」の鈴木達夫。
1967年製作/89分/日本
原題または英題:Crying for the Sun
配給:日活
劇場公開日:1967年6月3日
ストーリー
更生を誓って少年院を出た純は、指導員藤井の家にひきとられたものの、素行は昔と少しも変っていなかった。ある日、純のところへ、かつての仲間である明や伸治が現われ、まだ少年院にいる仲間の集団脱走の計画を打ち明けた。だが、自動車修理工場に就職の決った純は断った。純の裏切りに怒った伸治は、純を待ち伏せし、ナイフで脇腹を刺した。純は病院へかつぎ込まれたが、傷は大したことはなかった。やがて抜糸後三日目、病院を抜け出た純は、パチンコ屋の傍で伸治を見つけるとめちゃくちゃに殴りつけた。そんなとき、純はかつて強姦した相手の道子とあった。道子は純を想いつづけ、いまは女中をしているという。純はその時傷が痛み出し道子の介抱を受けたが、そこで、少年院で十六人が脱走した事件をテレビニュースで知った。驚いて家に帰ってみると、伸治や明たちが藤井の妻和江と、娘ののり子を縛りつけていた。彼らは、脱走した仲間の居所を、藤井の口から聞き出そうとしていたのだ。帰宅した藤井は最初は口をつぐんでいたが、のり子が犯されそうになると、三人の少年が少年院に送り返される日時と場所を白状した。翌日、少年たちは護送車を襲った。純は車を運転し、伸治の言う通り走らせていたが、次第に脇腹の傷から血が滲み出し、痛みが激しくなっていた。それとともに何の理由もない伸治たちの行動に異和感を覚え始めてもいた。道路で手をふる道子を見た純は、ハンドルをきったが電柱に衝突し、車は横転してしまった。しかし、純は泥だらけの姿で車の下から這い出してきた。それは、いま、真の人間に戻った純のひたむきな姿でもあった。