薔薇合戦

劇場公開日:

解説

戦争前、都新聞に連載されていた丹羽文雄の小説が原作であって、これを「怒りの街」の西亀元貞が戦後的に脚色し、「白い野獣」「怒りの街」の成瀬巳喜男が監督している。美術監督には松山崇が当っている。主演は「女医の診察室」の三宅邦子、「山のかなたに」の若山セツコ、「接吻第一号」の桂木洋子、それに対して男優側では、「接吻第一号」の鶴田浩二、「君が心の妻」の永田光男、「帰郷(1950)」の仁科周芳、その他大坂志郎、女優では千石規子、若杉曜子などが重要なパートで出演している。

1950年製作/98分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1950年10月28日

ストーリー

百合化粧品会社の幹部社員であった里見剛三は百合の美容師取締をしている妻の真砂と計って会社乗取りの陰謀を企むが、病気となり、更に背任横領の事実を掴まれた。この間の事情を知った営業部長茂木は真砂の妹で、百合化粧のタイピストをしている雛子をそれを種に脅迫し、その貞操を奪った。雛子は身を犠牲にして姉夫婦を救ったつもりが、結局何もならず、剛三夫妻は解雇され、剛三は病気が悪化し死んでしまった。百合へ報復を誓った真砂が、老実業家笠原をパトロンにして、ニゲラ化粧を創設して百合化粧の目ぼしい社員や美容師を引き抜いてしまった。その上東関映画の若手で腕利きの宣伝部員園池とその部下の尾関を招聘した。真砂の末妹千鈴は、映画雑誌の婦人記者をして、一人でアパート住いをしているが、実は試験結婚と称して雑誌記者の江島と同棲しているのだった。真砂は雛子と茂木の関係を知って、社員の日夏と無理に結婚させてしまった。園池はそんな雛子を気の毒に思い、雛子も園池の好意を嬉しく思っていた。そうした二人の間柄を嫉妬した日夏は、ある日雛子を風呂に入れ、風呂場に鍵をかけて蒸し殺そうとした。雛子は、日夏から逃げて姉の所へ帰って来た。千鈴も、同棲していた江島に妻子のあったことを知って、戦後的な彼女もさすがに傷ついた心を抱いて真砂の許へ帰って来た。その頃、化粧品の氾濫から、ニゲラも次第に営業不振に陥っていた。その上有能な会計主任は他に引き抜かれ、日夏は商品を横流ししていたことが発覚するなど、悪いことが続き、さすがの強気で聡明な真砂も生活に疲れ、若いつばめと噂のある美貌社員の小島にだけ頼るようになっていた。そんな事から、窮地を逃れるために計画した愛用者大会のための出資も笠原に断られた。しかもそのプランは、雛子と園池の間を嫉妬した千鈴によって、百合化粧の茂木に売られ、百合化粧に先手を打たれてしまった。しかし、弱かった雛子は返って園池に力付けられ日夏と正式に離婚する決心をして日夏の行っている北海道へ旅立って行った。残った真砂と千鈴は戦いに敗れたが店を小さくして自分たちも再出発しようと誓い合った。

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