博多っ子純情

劇場公開日:

解説

時には子供扱いされ、時には大人としての白覚を求められる年頃である男子中学生達の生活を、目ざめはじめた性、今だ知らぬ女性の神秘への興味などを中心に描く。長谷川法世の『漫画アクション』に連載中の同名の漫画を映画化したもので脚本は石森史郎と長谷川法世の共同執筆、監督は「女高生 天使のはらわた」の曽根中生、撮影は「ピンクサロン 好色五人女」の森勝がそれぞれ担当している。

1978年製作/94分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1978年12月2日

ストーリー

九州博多の夏は祇園山笠ではじまる。迫山の日、六平は足を怪我した父に変って、生まれて初めて山笠をかついだ。途中、山笠の早さについて行けず、転んだところを隣に住む憧れの青葉さんに助けられるというサエない場面もあったが、とにかく山笠を担いで男になるという博多っ子の伝統を六平も守ったわけだ。六平、十五歳の夏である。六平は級友、阿佐道雄、黒木真澄と集まっては、女性の秘部について話し合っていた。ある夜、中洲のバーで飲んでいる父に、忘れた財布を届けた六平は、そこで父から初めて酒を飲まされる。その帰り道、同じクラスの小柳類子と会った。類子に手を握られてオドオドしながら歩いている六平に、高校生たちが絡んできた。類子の手前、お土産に買った西瓜を振り回して立ち向かっていると、先輩の穴見が通りかかり、六平を助けた。しかし、穴見にビッタリと寄りそっている青葉を見て、六平はガッカリである。数日後、類子と母が西瓜を持って六平の家に来た。その事については誰にも話さなかった六平は、暫くして類子を呼び出し、口 論となり、とうとう彼女は泣きだすのだった。謝る六平に類子はキスして欲しいと言い、六平は彼女の頬にキスをするのだった。六平の毎日は、床屋の娘に迫られたり、道雄の母の美しさに憧れ、青葉の弾くピアノの音に酔い、ポルノ映画に行って断わられたりといった悶々とした日々の連続である。しかし、そんな六平にも毅然とした男らしさがあり、番長の無法松でさえ一目置いていた。ある日、六平は持ち前の正義感から、万引をしている五中の生徒を咎めたことが原因で、後日袋叩きに合った。それを知って激怒した道雄と真澄は五中の生徒達に決闘状を叩きつけた。定刻、福岡城跡に行くと、何と六、七十人がチェーン、木刀を持って押し寄せて来た。更に驚いたことに、無法松が多勢の仲間を連れて助けに来た。類子が無法松に応援を頼んだのである。対峙する五中と無法松の仲間……。無法松の「ヤレ!」の合図で、福岡城跡は修羅場と化した。これは死人が出ると驚いた六平は、持って来たモデルガンをぶっ放すや、素頓狂な声で歌い出した。“祝い目出たのォ若松さまよォ…博多ではこの歌が出ると、何事も終らなければならないという風習がある。失禁しながら歌う六平。五中の番長が無法松に、「お前、いい後輩を持ってるな!みんな一緒に歌え!」。二つに分れて歌いながら全員帰っていく。一人ポツンと残っている六平に無法松が、あそこにいる女が教えてくれたんだと指さした。そこには、類子が心配そうに、六平を見つめている姿があった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5みどころ

2024年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

単純

萌える

 光石研氏のデビュー作として、近年再評価されている。顔つきは初々しい。仲間や幼馴染みとの思春期真っ盛りの性への憧れや、正義感溢れる喧嘩っ早い活躍が描かれる。大人の顔触れや、博多の街並みが懐かしい。山笠の気運を描いているものでは、『めんたいぴりり』『中洲の子』に先駆けている。中学生の標準服は、まさに福岡市のものだ。気になったのは、福岡ボートのみえる岸壁で海に落ち、路面電車が走る橋の袂で濡れた服を乾かしているところが、少し距離があるのではないかというところ。

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てつ

3.570年代の博多がいきいき描かれている。

2020年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

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ピニョン

5.0誰もが通り過ぎた風景。

2014年11月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

幸せ

1970年代後半・博多。
博多山笠からの導入部が、思春期男子の若さ・勢いと程よくリンクし、物語が疾走していく。

DTたちの行動に、時を越えて共鳴し、頷き、笑い、悶絶する。

そして、その時を選ばぬ普遍性と共に感じるのは、男が男でいられた、大人が大人でいられた、最終章を切り取った作品であるということだ。
決して昔の方が良かったとは思わないけれど、暴力というものが人間に不可分のものとして存在しているということ。
子供には立ち入らせないエリアが厳然としており、且つ、そのエリアに導く大人の、先輩の、役割があったということ。
死が今よりも身近にあったということ。

色々なものが潜行してしまっている現在において、もっとスポットが当たってもいい作品だと思いました。

個人的なことですが、この作品より少しのちの時代に、福岡で生活していたので、博多弁や決闘の描写は、懐かしかったです。
実際に決闘する時代でしたね。

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Nori

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