「題名から天皇制に反対する政治カラーの強い映画のように思われますが、そのような政治臭は全くないです」拝啓天皇陛下様 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
題名から天皇制に反対する政治カラーの強い映画のように思われますが、そのような政治臭は全くないです
拝啓天皇陛下様
1963年松竹カラー作品
同名の原作小説の映画化
題名から天皇制に反対する政治カラーの強い映画のように思われますが、そのような政治臭は全くないです
単に一般徴集兵の軍隊生活や終戦後を面白可笑しく紹介するものです
題名はちょっと頭の足りない主人公が日中戦争が終わると除隊させられてしまいたちまち生活に困るからと自分だけは兵隊のままいさせてほしいと天皇陛下に手紙を書くシーンが中盤にありそれが当時の人々にとっては衝撃的な禁忌な行動だったので採られた題名です
本作は終戦後18年後の公開でしたがそれでも当時は刺激の強いものだったと思われます
戦前の強烈な軍国主義の記憶がいまだ薄れずに残っていたということです
逆にこういう題名や題材を使っても許される世の中になったとやっと確信できるまでこんなにも時間がかかったというべきかも知れません
テレビが一般家庭に普及し始めて高度成長期にさしかかろうという時期での公開です
そしてまた戦後の混乱期が終わりを告げようとしている時期でもあったのです
ようやく戦争を一般庶民が振り返る余裕がでできたなかでの作品ではないかと思います
政治的な志向や偏向は皆無です
主人公のささやかな幸せをいのりつつ終盤になります
ラストはあっけないもので、もっともっと主人公のことを知りたかったのにという気持ちになります
続編は翌1964年の正月映画での公開となりますから当時の観客もみんなそうだったのでしょう
続編では彼の生い立ちなど、戦後のことなどかなりくわしく語られます
そしてその年の秋は東京オリンピック開催でした
本作と続編は戦後の混乱期の終わりを示す区切り線のようです
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