PERFECT BLUE パーフェクトブルーのレビュー・感想・評価
全99件中、41~60件目を表示
これが世界を揺るがした傑作
今敏(こん さとし)
北海道は釧路生まれの
漫画家・アニメ監督
漫画家としてヤングマガジンの
ちばてつや賞を受賞し
大友克洋のアシスタントを担当
やがて大友克洋が脚本等を担当した
「老人Z」「MEMORIES」
などからアニメ方面へ進出
数々の作品で評価を得たことで
監督として機会を得たのが
今作となる
どちらかと言えば国内より
海外で評価される機会が多く
「千年女優」「パプリカ」等
2010年に惜しまれながら癌で死去
するが存命ならば日本の
アニメーションを牽引する存在で
あったであろうと言われる
才能である
1997年に発表された今作は
当時まだ一般に触れられる機会が
まだ早かった「インターネット」
「ストーカー」と言った要素を
取り込みながら
アイドルが次のキャリアを
女優に定めるにあたって抱える
葛藤を今敏監督特有の
現実と空想の境目を曖昧にする
演出を駆使して観る者の感覚を
狂わせる様は何度観ても
衝撃を受ける
その表現方法にしても
アイドルユニットの
センターだった霧越未麻(きりごえみま)
が女優に転身するにあたっての
本人の内面的な葛藤や迷いを
憂うマネージャーや倒錯的なファンに
転嫁しながら進むことで
未麻に女優としての濡れ場や
ヘアヌードに差し向けた連中が
惨殺されていく展開にもっていく
流れは何度観ても予想しづらく
ストーリーとして最後までわからなく
する展開には改めて感服するところ
女優として転身するために
濡れ場でもなんでも受け入れていく自分
アイドルとしての未麻を応援してきた
マネージャーのルミやファン
それぞれの想いを「鏡」として
投影してもう一人の「理想の未麻」
として画面に出す手法
これが海外に影響を非常に産んでいたと
思います
こないだのエドガー・ライト監督の
「ラストナイト・イン・ソーホー」でも
明らかにこの作品の影響であろうと
感じられる鏡映しの描写がありました
思い描いている理想の自分と
現実の自分を鏡の向こうで分ける
今にしてみると当たり前な表現に
感じますがこの映画がストレートに
初めて表現したんじゃないかなと
思うとこはあります
26年経ったところで
今観てみると一番思うのは
昨今の作品で見られる
「わからない人向け」の配慮が
一切無く
柄の悪いアイドルのファンなどの
実在してしまうものをアッサリ
表現している点については
この作品どんだけ視点が
新しかったんだと驚くばかり
倒錯したファンが暴走する
というテーマの映画だと
ロバート・デ・ニーロ主演の
「ザ・ファン」が思い出されますが
この作品は本作の1年前の1996年の作品
タイムリーな話題をいかに抑えていたのか
と思わされるばかり
今敏氏はもしご存命であれば
ジブリや新海誠氏などのように
次世代のジャパニメーションを担う存在
として存在したのであろうと思いつつ
この作品に影響を受けた人々が必ずや
発信し続けるのであろうという
期待も願ってやみません
追記
この映画に関わられた方と
縁あってお友達なのですが
今回観に行きましたと
お伝えしたら
この作品当時は興行が
振るわず今敏監督と気になって
封切り日に新宿へ観に行ったら
あまりにガラガラで
帰りにゴールデン街でヤケ酒した
というお話を聞きました(笑)
いや時代が早過ぎたんだよなぁ…
多層的
4Kリマスター上映にて、初見。
ストーリー立てとしてはそれほど複雑なものではないが、真相は?となるとかなり複雑なものになる…
というのも…
以下ネタバレ。
未麻、警備員の男、真犯人の願望が一致しているため、ストーリーが進むにつれ、映画内で起こっている事象が誰の視点で描かれているものなのか、それが事実なのか幻想なのか、どんどん分からなくなっていくようになっているから。そういう意味ではこの映画のオチもあくまでも未麻の視点で描かれたもので、事実かどうかは分からないまま…
90年代に作られたものとしてはそういう多層性は進んでいると思うが、今となっては…ね?
警備員の男の描かれ方もステレオタイプ過ぎるし、それは冒頭から気にはなった。
ただ、そういう「消費された側」の作品だったんだと思う…
「未麻の部屋」
2010年に46歳という若さで亡くなった今敏監督のデビュー作品。
(キャラ原案・江口寿史先生
企画・大友克洋先生 が参加)
制作のマッドハウスの創業50周年と本作劇場公開25周年を記念し、4Kリマスター版での上映が実現!
喜びに震えながら鑑賞。
3人組B級アイドル「チャム」のメンバーだった未麻は、事務所の方針で1人だけ脱退し女優に転身することになる。
しかし、清純派アイドルの未麻のイメチェンを許せない熱狂的なファンにストーキングされ精神的に追い詰められて行く。
加えて望まない仕事を続けるうちに、未麻自身にも異変が起きていく。
そして彼女の関係者が犠牲となる殺人事件が多発。
そのダメージから現実と虚構の区別がつかなくなっていく。。
というストーリー。
「もう一人の未麻」が見えるようになっていく未麻。
本当の自分と演じている自分との境目が分からなくなっていく過程が本当に恐ろしい。
「あなた、誰なの?」
「私は、未麻」
絶妙なバランスで繋げられるシーン。
ヒャンヒャンヒャンヒャン!
と大袈裟なBGMも不快感全開で、見ているこちらも徐々に追い詰められる。
嫌でも未麻の恐怖体験を共有することになる。
デパートの屋上でのこじんまりとしたステージ。
いかにもB級アイドルがコンサートをしていそうなシーン。
それに反してオタク語を話し、月でも撮るのか?一眼レフで狙う熱狂的なファン達が押しかけているその対比。
そして、日曜日にファミリーが戦隊ショーを見に来る場所でもある、そことのミスマッチも心がざわつくポイントだ。
しかし、ひと昔前なら割と見かけた光景。設定がリアルで生々しさが増す。
そして楽曲が本当に素晴らしい!
チャム「愛の天使」
2人ver「一人でも平気」
大ヒットはしないだろうと誰でもわかる「絶妙に売れない感」が抜群の楽曲!!
(振り付けも最高!)
そんなリアルさが完璧過ぎて、未麻に起きている事が、現実なのか幻覚なのかわからなくさせている。
あのお気楽な楽曲を流しながら、錯乱する未麻を描くパートは悍ましすぎる。。
未麻の芝居も完璧!
あの声のトーンと話し方。
「ルミちゃん」可愛らしい少女のようであるし、とても怖くも聞こえる。
ラストはもう殴られた様な衝撃!
まさかの真相!!いや、これも夢?!
ストーカーが?!ルミが?!
未麻が?!!
女優として成功を収めた未麻。全てが彼女の仕業だったら?と考えて背筋が凍りました。。
本作はアニメーションでしか表現出来ない世界がある事を証明した作品だったと思います。
これを実写で撮ったらと考えてみて下さい。
安っぽサスペンスに成り下がってしまいます。
アニメーションの可能性を存分に知らしめてくれた傑作です!
神がかっている!
もう今監督の新作が観られないのだと思うと、とても悲しく残念でなりません。
現実と幻覚が混じり合う
『ラストナイト・イン・ソーホー』っぽい。
アニメですが大人向け、ジャンル的には、サイコホラー?サイコスリラー?
原作は小説だそうですが、僕は読んでおりません。
この映画版は大幅に変えてあるそうです。
エドガー・ライト監督が『ラストナイト・イン・ソーホー』のインタビューで、
「60年代、華やかなショービジネスの裏で性的に搾取された女性が相当いた」
みたいな事を言ってて、この映画を観ながら、同映画を思い出しました。
このレビューを書くにあたってググってみたら、やっぱ言われてるみたいですね。
ぽい、類似点ある、って、
『レクイエム・フォー・ドリーム』
『ブラック・スワン』
も、そうらしくて、
監督のダーレン・アロノフスキーは、この『パーフェクトブルー』を実写化したいとも思っていたんだとか…
いま名前を上げた映画が好きな方は、比べてみると面白いかも?
あっ、この映画は、あるアイドルの話です。
このアニメがしたこと
多分一般受けはしないだろうと分かってて作ったのだろうと。
そもそもこの監督は一般大衆からズレた所をやりたい人だったと思うので、映画作品としてはそこまで評価されてない。
ストーリーは猟奇的だがバブル以降にサイコスリラーやサイキック系ミステリーの作品というのは一種のブームでもあった。
この作品で凄いのはアニメでどこまでの描写をかけるのかという部分がふんだんに盛り込まれている。
同じシーンを実写で撮り直したら、どれほど陳腐でレベルの低いシーンになってしまうか想像すると分かりやすいかもしれない。
見る側は素通りしてしまうシーンも、もし自分が書く側、作る側だった場合に こんなにパンチの強いシーン切り取れるだろうかと考えると監督の才能が伺い知れる。
終盤の幻影が空を華麗に飛びながら主人公を追うシーンの軽やかさや不気味さはアニメでしか描けない
これを実写CGでやるとリアルが過ぎて安っぽいものになってしまう
アニメは誇張表現なので、いかに偽物をリアルに感じさせるかというのは監督の手腕とセンスにかかっている
この映画はジブリ作品とは別の意味でアニメーションを追及しており、全編あらゆるシーンにおいて新しい表現を切り開いたり挑戦しているのが評価されている部分だと思う。
監督の残した中で作画的な最高傑作ではないかと思う。
今見ても面白い
ビビって観るのを躊躇していた
グロは基本ダメなので、あらすじを読んでから視聴w
グロはダメな人でも耐えられるレベル
目をアイスピックで指すのが一番エグいだろうが、あのシーンは美しさを感じた
素晴らしい映像世界が広がる傑作
本当に見事なサイコ・スリラー!
今敏監督の才能から生まれる素晴らしい映像世界が広がる傑作。
ある三人女性アイドルの1人が「卒業」を発表し、アイドルから女優への脱皮を図ろうとするのだが、彼女を女優にしようとする関係者が次々と惨殺されていく。
犯人は? 彼女はどうなる? といったことを想起させながらも、現実と夢(もしくは虚構世界)を混在させる描写に混乱させられる。しかし、脚本が確りしているので、確かな着地を見て映画が終わる。これは、まさに「映像に浸る快感」であろう。
本作は、他の今監督作品とは趣きが異なる[R15指定]の世界。
また、キャラクター原案:江口寿史 とクレジットされているが、キャラクターを見る限り、本当に原案は江口さんが描いたのかも知れないが江口キャラとはチョット違う感じ。
今敏監督の遺してくれた作品は、いずれも素晴らしいだけに、本当に惜しい映画作家を亡くした…と思いながら、楽しませていただくのが監督への感謝だと思う。
<映倫No.115183>
実像、虚像、偶像、増殖する自己
現実の自分「実像」と理想の自分「虚像」の間で揺れ動く主人公の姿が描かれていた。
主人公は、アイドル(=偶像)で、ファンが見たい自分を魅せている職業。ファンが勝手に理想像を作り上げてしまうから、いつのまにかそこにその人本人は抜け落ちてしまって、実体のないイメージだけのものになってしまう。
普段は電車で通うし、スーパーで買い物するし、アイドルの自分とアイドルではない普通の人間の自分がいて、自分の像が2つ存在していて、入れ替わりながら生活している。
主人公は女優に転身する。女優はいろんな役を演じるから、自分の像は役の数だけ増えていくことになる。ネットの中で増殖していく自分と重なる。自分じゃない人が、自分を装ってホームページを更新する。主人公はそれを読んで「私、今日原宿行ってたんだ」と徐々に現実とフィクションの境界を失っていき、現実を生きているのか、夢の世界を彷徨っているのか、現実の世界でドラマの役を演じているのかわからなくなっていく。
アイドルの自分が乖離して自分から遠く逃げ去っていく幻想、反対に、アイドルの自分に追いつめられる幻想、割れた鏡に増殖して映る複数の自己、自分の影の部分が映る鏡の中の自己。すべてが物語とリンクして、自分を見失っていく様が重層的に描かれている。
主人公の視点で描かれていて、その主人公は自己を見失っているので、この物語は「信頼できない語り手」の系譜の物語。結局、殺人事件や、精神の不安定さが、どこまでがほんとうに起きたことで、どこまでが夢の世界で、どこまでがドラマの世界なのかを確定するのは不可能である。
哲学者デカルトの「我思う、故に我あり」という言葉がある。この物語の最後の主人公の言葉「私は、本当の私よ」はこれと同義であるように思った。「私」が「或る私」を「それは私である」と認識できる時に、私は、「本当の私」になる。実像と虚像の間で悩み、揺れ続けた「私」が自己を再確立する、というのが、パーフェクトブルーの大きなテーマであろう。
現在の私たちは、ネットの中の私・社会的な私・素の私を使い分けることが容易になっていると思う。Twitterでは病みツイートしていても、Instagramではキラキラ投稿をする。アイドルだって恋愛するし、ファンはSNSで日常が覗ける。複数の私を認識できるし、使い分けできる。
でも、この「PERFECT BLUE」という作品はインターネットが普及した初期段階のお話。自分の像はひとつであることが当たり前の時代だったのではないかと思う。だから、増えていく自分の像を簡単には受け入れられない。アイドルも本気で排便しないと思われていた時代だったのだから。1990年代の人間の心情を、インターネットの台頭という時代背景を的確に捉えて描いた、この時代だからこそ生まれた傑作であると思う。
まだ面白い
現実感の喪失
最近色々とアニメを観るようになったので、何故か海外でも評価が高い今敏監督の「パーフェクトブルー」を鑑賞してみました。えーと、率直に言うと「気持ち悪っ‼️」。
ドルオタのストーカーの描写が怖いんですよね。ホントにこんな感じ?ってか(失礼ながら)監督にはストーカー経験あるんじゃなかろか?っと思えるぐらい気持ち悪かったです。幸いストーカーの知り合いはいない(と思う)のですが、リアルであんな感じなのでしょうか?ヤベェな、ストーカー。
で、もう何処から現実で何処から妄想かわからない作りは観てる方もおかしくなっちゃいそうでした。blu-rayの特典に付いてたインタビューで今監督が「現実感の喪失を描いた」というような事を言っていたのですが、見事に監督の目指していた作品に作られてる感じです。見終わった後にゾワゾワする物が残ります。
結局ミマの関係者ほぼほぼ殺されますし、ミマもちょっと大丈夫かどうか怪しいエンディングだったのですが、20年以上前の作品にもかかわらず今観てもなかなかインパクトのある作品でした。当時から日本のアニメってスゴかったんですね。
サイコサスペンス
ドラマなのか夢なのか映画なのか現実なのか
全99件中、41~60件目を表示