日本列島

劇場公開日:

解説

吉原公一郎の原作“小説日本列島”を「帝銀事件 死刑囚」の熊井啓が脚色・監督した社会ドラマ。撮影は「拳銃無頼帖 流れ者の群れ」の姫田真佐久。

1965年製作/115分/日本
原題:A Chain of Islands
配給:日活
劇場公開日:1965年5月26日

ストーリー

昭和三十四年秋SキャンプCID(犯罪調査課)のポラック中尉は、通訳主任秋山に、リミット曹長事件の解明を命令した。一年前、リミットが水死体となって発見されるや、米軍は死体を本国に送還すると、日本の警察を無視して事故死と発表した。秋山はかつて最愛の妻が米兵に暴行を受け、事故死として死体が引渡された事件を思い、怒りを新たにした。この事件を執拗に追う昭和新報記者の原島と共に、秋山は、警視庁捜査三課黒崎から、リミットが死の直前日本に出た贋ドルを追っていたこと、そして、精巧なドイツ製印刷機とその技術者伊集院元少佐が消えた事実を知らされた。伊集院の一人娘和子を訪れた秋山は、伊集院が数年前正体不明の男に連れ去られ、涸沢と名乗る男が他言せぬよう家族を脅迫すると立ち去ったことを聞いた。涸沢は米軍占領時代謀略機関で活躍した謎の男であった。昭和二十九年、贋ドルにまつわる信交会事件に、当時検事として立ち会った弁護士日高は、滝沢の部下佐々木の口から、サン・ピエール教会を根城として、不良外国人がたむろすることを調べていた。佐々木を訪れた秋山、原島は、佐々木が滝沢にリミットが贋ドルを追及していると知らせた事実を知り驚愕とした。やはりリミットは涸沢に消されたのか!数日後、佐々木は水死体となってあがった。突然秋山にポラック中尉から調査中止命令が出た。秋山はキャンプをやめて調査を続行した。三十五年外国航空スチュワーデス椎名加代子が水死体となってあがった。容疑者として出頭したサンピエール教会サミエル神父は、取り調べの終らぬまま突然帰国した。多くの疑問を残したまま三年が過ぎた。三十八年、スペンサー大尉から沖縄に伊集院らしい男が陳陽成と名乗っていると聞き、秋山は和子に了解を得ると沖縄に飛んだ。だが秋山も、陳陽成と名乗る男も、何者かに殺害され、当局は真相は永久にわからぬだろうと発表した。三十九年、この事件を追及するため沖縄に飛ぶ原島を和子は、励まし見送った。

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映画レビュー

4.0戦後日本に起きた幾つかの事件に関する仮説を提示

2023年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

知的

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Kazu Ann

2.0UNO!

2023年8月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

原作は「小説〜」と銘打っているので、どこまで現実の事件に基づいているのかは定かでないが、いくらなんでも人が殺されすぎと思う。個々の事件の捜査はないがしろにされ、関係者がどんどん死んでいく。さすがに実際には大問題にならなければおかしいと思う。芦川いづみ扮する女性は、父親と目される人物が殺されても、遺体を確かめにも行かない。
ポリティカル・サスペンスとしては、追及過程の描写の歯切れが悪い。コスタ=ガヴラスの「Z」のような成果を期待してしまうのだが。
当時50代の宇野重吉がほぼ出づっぱりの力演。寺尾聰は既に父親の没年を越えた。宇野重吉は「金環蝕」での老獪な政商が印象的だった。

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梨剥く侍

5.0本作の英語題はA Chain of Islandsです そこに着目して頂きたいと思います 日本列島と書いて、鎖の列島と読め そういう監督からのメッセージなのだと思います

2022年4月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

本作は1965年の公開
監督は熊井啓
さすが超重量級の見応えです

同名の原作小説は1963年の刊行
原作者は共産党系の原水爆禁止世界大会事務局、「世田谷・九条の会」呼びかけ人であった吉原公一郎
それで本作の立ち位置や、どのようなメッセージを発する作品なのかはもう読まなくとも分かるはずです

物語は1959年秋から1963年にかけてのお話
福生基地とおぼしき在日米軍基地で、米軍MP(憲兵隊)の刑事部門の主任通訳官として働く秋山という元高校教師が主人公

米軍基地内のシーンはもちろん、米国人との会話シーンが多く日本映画なのに字幕が多用されます

彼がある米軍捜査官の不審死の再捜査を指示されることから物語が始まります

熊井監督のデビュー作の「帝銀事件死刑囚」のテーマを更に発展させたような内容です

東西冷戦がキューバ危機によって核戦争寸前の中で、日本は1952年に米国の占領が終わり、主権を回復しているにも関わらず、米国の占領が解けていないかのように、頭上には爆音をあげて米軍機が飛び交い、米軍の秘密機関はアジアにおける偽札や麻薬などの謀略の根拠地として利用している
しかもその手先を旧日本軍の秘密情報部であった陸軍中野学校出身者がしているのだ
彼らは邪魔になった人間は謀略で自殺に見せかけて殺人を繰り返し、日本の司直の力は及ばない
日本政府は米国には刃向かえず言いなりになったままである

これが本作のいいたい事です

綿密に取材されており、大きなところではほぼ本作の通りの事があったであろうと思います

ラストシーンは国会議事堂が大きく写り込み、父を米軍の秘密機関に殺された若く美しい女性が慟哭するのです

本作を観た大衆に米国への怒りを沸騰させ、60年安保闘争の時のように、その怒りを国会にぶつけようではないか
そういうメッセージです

本作公開はモスクワ国際映画祭のコンペティションに参加作品です
それ故に英語題名がつけられています

本作の英語題はA Chain of Islandsです
そこに着目して頂きたいと思います

普通ならthe Japanese Archipelagoと書くところです
なのにJapanese Islandsでも、islands of Japanでもありません

A Chain of Islandsと書けば、単に列島の意味だけであり、日本という場所の意味が消えてしまいます
本当の意味は、鎖の列島という意味なのだと思います
鎖のように連なったではなく、鎖につながれた島々という意味を込めてあるのだと思います
日本列島と書いて、鎖の列島と読め
そういう監督からのメッセージなのだと思います

米国への隷属を止めよ!
それが題名の「日本列島」という意味なのでしょう

そして主権を回復したといっても、小笠原諸島、沖縄、北方領土は、本作公開当時はそのどれも返還されていなかったのです

サンフランシスコ平和条約は、これらを積み残した主権回復であるとも揶揄しているのです

だから本作はモスクワ国際映画祭コンペティション参加作品なのです

しかし、2022年に観るとどうでしょう
なにか製作時の意図とは全く違うメッセージを放っているのです
大いなる皮肉になっているのです

21世紀の私達は知っています
米国だけが卑劣だったのではないことを
ソ連も、中国も、北朝鮮も
平和勢力とその当時はされていた共産圏も卑劣であったこと
五十歩百歩、目くそ鼻くそであったことを

米国だけを悪者扱いにしていた姿勢は、結局のところ東側に利用されていたのだ、日本を東側にひきこもうという政治工作に過ぎなかったことを知っているのです

東西冷戦の狭間のなかで、米国は日本政府を利用し、東側は左翼勢力を利用していただけのことです
どちらも日本人を手先に利用して、水面下で代理戦争をしていたに過ぎなかったのです

ウクライナへのロシア軍の侵略戦争
北朝鮮のミサイル発射
中国の尖閣諸島への終わりのない領海侵犯

今現実にこのような情勢におかれていれば、
いかにお花畑で空想的な平和主義でいても目が覚めるというものです

共産党ですら、党の綱領で違憲であり解消すべき存在であると長年攻撃してきた自衛隊を、日本が侵略をうけたなら活用すると言い出しているのです

今年は1952年の主権回復から70周年の年
4月28日がその記念日です
なのに何の式典すら行われないようです

A Chain of Islands
日本列島はまだ鎖につながれたままではないでしょうか?
それも自分から鎖を外そうとしていないのではないでしょうか?

鎖を外す時がきたように思います
それは本作のように米国から離れるためにではなく、自由と民主主義の陣営の中で一人立ちする時がきたという意味です

米国の庇護下に日本を隷属化させてきた鎖とは、一体なにか?
それは平和憲法だと思います
基地問題、日米地位協定の不平等問題もそこが問題の根源なのです
しかし鎖を切り米国の庇護下からはなれ、12歳の子供から大人になれば、自ずと義務と責任が伴います

日本国民にその覚悟があるのか?
そのようなメッセージを発しているように思えてくるのです

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あき240

4.0沖縄

2021年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy
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