「長回し」日本の悲劇(1953) Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
長回し
板に遮られて画面半分、向こうのほうから上り電車が横切っていく。主人公の動きと共にカメラも動き、もう半分があらわになる。大きくカーブし入線してくる電車が近づく。行き詰まった主人公の思いが伝わる。
度々挿入される新聞記事に母子無理心中の文字がおどる。生きる力のあった主人公と出来がよい子供たち。生き残った末に迎えた悲劇は、可哀相にという気持ちにもなれぬ殺伐とした現実と乾いた人間関係。誰をも責めることもできない。自らに痛みを突き刺す。
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