日本侠客伝 刃
劇場公開日:1971年4月28日
解説
「日本侠客伝」シリーズ第十作目。脚本は、「博奕打ち いのち札」の笠原和夫。監督は「女渡世人」の小沢茂弘。撮影は「博奕打ち いのち札」の吉田貞次がそれぞれ担当。
1971年製作/97分/日本
配給:東映
劇場公開日:1971年4月28日
ストーリー
明治二十年、九州博多の馬車会社の車夫松吉は、土地で事件を起こして、北陸金沢へ流れてきた。空腹のために動けなくなった松吉を優しく介抱したのは、稲垣芳恵だった。芳恵の父は維新前は武士だったが、米の仲買いに失敗し割腹した。芳恵は、弟の伸太郎に医学の勉強をさせるために、自ら小芳と名を改め芸者にでた。やがて松吉は、黒兵衛の経営する北陸逓送馬車会社で働くことになり、小芳を身請けするため、一心不乱に働いた。やがて代議士の青山が帰郷し、博徒上りの本堂がひきいる救国社から身を守るために黒田に護衛を依頼した。その頃、政治運動に走った伸太郎は救国社に加入し、青山の命を狙っていた。悲しみに沈む小芳のため、松吉は救国社に殴り込み、伸太郎を連れだした。こうして松吉は金沢を去った。それから五年。第二回衆議院総選挙は野党に大弾圧が下され、全国で死者数百人を数え、金沢は最大の激戦地だった。白昼公然と白刃をふるう救国社を警察は見て見ぬふりをし、北陸逓送は、青山の後援をしていることが政府に知れ倒産した。黒兵衛も病床に倒れ、青山も苦戦しながら小芳の料亭きく乃をアジトに選挙活動を続けていた。金沢に戻った松吉は、二人のために陰の力になることを決心した。やがて、黒田は本堂に殺され、青山も傷ついた。松吉の怒りは爆発した。救国社に殴り込んだ松吉は、本堂を斬り、かつて男の絆で結ばれた御家政と対決した。二人は抱き合うように重なり息絶えた。