西のペテン師・東のサギ師
劇場公開日:1971年9月11日
解説
変化自在、口八丁手八丁の大阪と東京のペテン師が、悪い奴らの懐にうなる悪銭をつぎつぎとまきあげるさまをコミカルに描く。原作は藤本義一の『珍魂商才』で、脚本も「喜劇 ソレが男の生きる道」の彼自身が執筆した。監督は「3000キロの罠」の福田純、撮影も同作の逢沢譲がそれぞれ担当。
1971年製作/86分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1971年9月11日
ストーリー
バラやんは大阪ペテン師界のNO.1。釜ケ崎の安宿「平和荘」を作戦本部にして、ひたすらペテン師商売一筋に生きている。ある日はパリッとした背広姿の紳士に化け、神主スタイル、その他風太郎、着流しのヤクザに早変り。ある日、粋なジャンバーに絹のマフラーをなびかせて、情婦の松子を連れて大阪に乗り込んできた東京代表のサギ師犬太郎が、バラやんに挑戦状を叩きつけた。犬太郎は「平和荘」とは目と鼻の先の「豚珍軒」を根城にしており、二人は、ある日競馬場で顔を合わせたが、バラやんはカモの関西新工業専務内田を追跡中で、犬太郎には無頓着。バラやんは手八丁口八丁で内田にくい込み、金を掴んだ。その上、内田の弱点である、成績の悪い息子を名門明星学院に入れようと、元教師の瀬良を通じて運動をしているということを知ると、言葉巧みに瀬良を「豚珍軒」へ誘いだし五十万円まきあげた。巧妙で粋なバラやんの手口にカブトを脱いだ犬太郎は、子分になった。バラやんの次の目標はバー「アウバン」のマダム紘子である。貿易商に化けたバラやんは、犬太郎を社員に仕立て紘子のハートを掴むと共に、彼女のパトロンが清酒「花吹雪」の金崎社長であることを嗅ぎつけた。金崎はシブチンで、会社は賃金問題をめぐり組合と対立中。二人は応援組合員に化け工場に乗り込むと倉庫の酒粕十トンを三十万円で引き取り、あっという間に三百万円儲けてしまった。そんなバラやんにも悩みがあった。施設白百合学園の教師・河本直子への想いである。バラやんが“現代の鞍馬天狗”と大書きして道頓堀に貼りつけた十万円は教育委員会を通じて白百合学園に寄贈されることになったが、直子はこれを、偽善者の行為ときめつけ拒否した。宇頂天のバラやんはガックリ。その反動で紘子へと走ったが、彼女のハンドバッグの中には、犬太郎の指令を受けた松子が小型盗聴器を仕掛けてあった。金崎は犬太郎が持ち込んだバラやんと紘子の声の入ったテープを聞いて烈火の如く怒るが、紘子が「アウバン」の権利を売りとばし、その情夫田所と逃亡したことを知ると、大金を掴んだ二人は海外に飛ぶかもしれないと読み、バラやんを会社の海外特派員に仕立て追跡を命じた。ところが、金崎の二号のお琴と、三号である紘子は結託して、二人はお琴の家に潜伏していたのだ。バラやんは、紘子を追跡する前に一つだけやることがあった。それは十万円を拒否した直子への明しと子供たちへの贈り物だった。バラやんは「全日本バレー協会」というインチキ協会を設立し、ペテンの才能を駆使してバレー大会にまで持ち込んだ。当日、会場は超満員、白合百学園の子供たちは大喜びだ。しかし、やがてバラやんの正体もみんなにバレてしまった。バラやんは、直子だけは純粋に愛したことを告げてショックのあまり学園を飛びだした。バラやんの胸に灯ったロマンスもこれで消え、金崎の希望通り、紘子と田所を追って外国へ行くことを決心した。数日後、機内で洋書を読む大学教授のバラやん、その隣席には整形で美しさを増した紘子の姿があった。しかし、すでにバラやんは、紘子を連れ戻して金崎の前にさしだす気持はなくなっていた。二人はこれから旅する外国のさまざまなことを話しあった。