肉体の門(1988)

劇場公開日:

解説

終戦直後の東京で娼婦としてたくましく生きる女たちの姿を描く。田村泰次郎原作の同名小説の五度目の映画化で、脚本は「吉原炎上」(脚本構成)の笠原和夫が執筆。監督は同作の五社英雄、撮影は「竜馬を斬った男」の森田富士郎がそれぞれ担当。

1988年製作/119分/日本
原題または英題:Carmen 1945
配給:東映
劇場公開日:1988年4月9日

ストーリー

昭和22年、秋。米軍占領下の東京で、せんをリーダーにマヤ、花江、美乃、・光代、幸子と新入りの町子たちは街娼、いわゆるパンパンをしていた。棲み家はどぶ川沿いの焼けただれたビルで、新橋を中心に関東一家と名乗っていた。ライバルは銀座の裏に棲むお澄をリーダーとするラク町一家だった。焼けビル対岸一滞の闇市を仕切るやくざの袴田一家がせんたちを配下にしたがっていた。しかし、関東一家には巨大な不発弾という守り本尊があった。いつ爆発するかわからないので、やくざたちもうかつには近寄ることができなかったのだ。秋も深まった秋の夜、一人の男が関東一家に逃げ込んできた。伊吹新太郎というその男はかつての陸軍上等兵で、強盗を働いてMPに撃たれたのだった。せんは新太郎に、自分が初めて抱かれた男の面影を見た気がした。傷が癒えたころ新太郎は「一緒にここを出よう」とせんを誘ったが、断わられた。彼女には仲間たちと金を貯めて、ここにダンスホールを造るという夢があったのだ。ところが、ある日町子が一家の金を持ち逃げして袴田組についたため、せんたちはリンチにかけた。袴田は戦前に兄弟分だった新太郎をさかんに組へ誘ったが、一匹狼となった彼は影ながらせんを見守っていた。冬を迎えるころ、せんはお澄と打ちとける仲になっていた。彼女は母と妹を犯したロバートという米兵に復讐するため、パンパンに身を落としていたのだった。袴田組のビルの追いたても激しくなったある日、新太郎は牛を一頭連れてきて、それをステーキにして酒宴となった。その夜、新太郎はマヤを抱き、二人は姿を消した。やがて関東一家の統率も乱れ、バラバラになった。そんなときお澄がロバートの復讐に失敗して、せんのところに逃げ込んできた。お澄はせんから挙銃をもらい、ロバートを撃ち殺すが、自らもMPの銃弾を受けてどぶ川へと沈んだ。昭和23年1月、ビルには“オフ・リミット”の看板が掲げられ、せんが一人たたずんでいた。そこへ美乃とマヤが戻り、新太郎は袴田を殺し、一トン爆弾の信管を抜くために帰ってきた。そして、せんは袴田組の残党の前で不発弾のロープを切り、ビルごと爆発させたのだった。

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映画レビュー

3.5昭和22年が舞台のエロティック活劇

2024年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

萌える

過度な期待はしないほうがいい。と、今作はそのようなこともメッセージとしてあるような氣がします。
世界崩壊後の女の生き方を昭和時代から学びながら、女優達のおっぱいをいっぱい見ることが出来ます。

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Don-chan

3.5他のも見たくなる

2022年11月24日
スマートフォンから投稿

泣ける

怖い

興奮

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まゆう

4.0観終わった時、本作とバブル崩壊の相似形を2022年の現在に感じた 本作と同じ予感を感じるのだ

2022年1月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1988年公開
正にバブル最高潮の最中

内容は戦後すぐの混乱期のお話だが、色彩や衣装、ヘアスタイル、享楽と退廃にバブルの雰囲気が滲んでいる

そして冒頭とラストシーンは現代の新宿副都心の超高層ビル群が写される
これは一体何を意味しているのだろう?
恐らく、戦後の繁栄は本作の内容のような焼け跡から出発したのだと言いたいのだろう
冒頭のナレーションはそれだ

本作の舞台は銀座辺りだから、新宿の超高層ビル群では場所が合わない
繁栄の象徴としてふさわしい絵になる新宿副都心を撮影したのだろう

しかし、21世紀の私達が本作を観ると違う意味を発しているように受け取れてしまう

それはバブル崩壊の予感だ

バブル崩壊は本作から数年後
日本経済が焼け野原のようになるのは10年後のことだ

この野放図なバブルという繁栄がいつまでも続く訳がない
そんな不安が本作に込められているように思えてならない
戦前の大日本帝国のように一挙に崩れさる脆いものかも知れない
そんな不安が漂っているように感じるのだ

それが本作を観る21世紀の人間に、本作はバブル崩壊で経済的な焼け野原になった日本を描いているように感じさせるのだ

不発弾の1トン爆弾は、損失飛ばしや不適切経理で隠しこまれた巨額損失や不良債権を暗喩しているように見えてしまうのだ

関東小政達の女の有り様は、非正規で取り残されていった氷河期世代とオーバーラップして見えてくるのだ

未来のことなんて誰にも分からない
本作の時点で10年後にそのような事になるなんて誰も予想すらしていなかったのだ
五社監督だって、これっぽっちもそんなことは、考えてもいないことは百も承知している

太平洋戦争の序盤のように破竹の勢いで、世界を丸ごと買い取るようなジャパンアズNo.1の時代
しかし日本の地価総額が全米のそれを上回ったとかニュースで流れたりした
さすがにそれはおかしい
行き過ぎていると誰もが思い始めていた
それでも野放図な巨額投資や、採算を考えていない巨大計画
そんなものが横行し始めてバブル崩壊に至る不良債権の不発弾が沢山仕込まれていたのが、考え見ればこの頃だったのだ

五社監督はその匂いを嗅ぎ取っていたのかも知れない
それが本作の演出に滲んでいるように感じてしまうのだ

廃墟となった銀座のビル群の外観や、袴田マーケットの闇市の再現度合いは素晴らしい
本作で一番素晴らしいのはこれかも知れない

とはいえ、やはり五社監督がやりたかったのはただひとつ、女達の赤裸々な生態だ
裸の女優を美しく撮ることだ
小政に旭日旗を毛布代わりに使わせたりするシーンもあるにはあるがそんな政治的なことや、バブル崩壊の予感なんて監督にはなんの関心もないのだ

さすが五社監督と感嘆する今風に言えばエモいシーンが多い
そこに本作の力点があるからだ
かたせ梨乃との名取裕子とのタイマンは語り草のシーンだろう

名取裕子の登場シーンは、どれも主役のかたせ梨乃を食っているほど印象に残った

ただ関東小政の仲間の面々の演技は、申し訳無いがわざとらしく臭くて頂けないなど、映画全体としての印象は今ひとつとなってしまうのはとても残念だ

本作とバブル崩壊の予感
そんなものはただの妄想だ
でも焼け野原の東京の荒廃した光景は、それを連想させるのだ
バブル崩壊から20年も過ぎ去っても焼け野原はまだあちこちに残っている
不良債権や不適切経理の不発弾の御本尊を抱いた廃墟ビルもまだある

バブル崩壊から20数年
なんとかここまでだましだましやり過ごしてきた
しかし、その巨大な不発弾が爆発するかも知れない予感がするのだ
本作のラストシーンのように

今また野放図に膨れていく財政赤字
コロナ禍でいくらでもお金がいる
財政出動しないと疲弊した経済が死ぬかも知れない
MMT理論が正しいという主張も聞くが、本当に大丈夫なのだろうか?

このように本作を観終わった時、本作とバブル崩壊の相似形を2022年の現在に感じた
本作と同じ予感を感じるのだ

それはまたも焼け野原になる予感だ

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あき240

5.0名取裕子の貫禄と存在感

2021年4月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

マツコが五社秀雄監督が好きらしくて、本(たしか『あまから人生相談』)にもこの作品や「吉原炎上」の名前が上がってまして。とりあえず、こっちを観ました。3、4年前かな。

主演のかたせ梨乃もさることながら、脇が豪華。ナニゲに一番刮目してしまったのは、松居一代です。若いとき、綺麗ね、、いや今が綺麗じゃないという訳じゃないんだけど(笑)
アウトデラックスで知った山咲千里、出てましたっけね(!) これは、、もっかい鑑賞せねば?
それよりなにより、思わず生唾をゴックンしてしまったのは名取裕子姐さんですよ。
あまりの存在感に度肝を抜かれて、目が釘付けになってました。最近の二時間ドラマとかでしかこの人のことを知らないでいたのは、勿体なかったです。

今現在のように、清純派~そうでもない派~グラドル~セクシー女優、と棲み分けがかなり進んだ時代と違って、「吉永小百合かそれ以外か」ぐらいの区分けしかない時代(と言うと乱暴だけど;)の女優さんって、傑物が多いですね。(事務所とか)守ってくれるものも少ない、己で己の身を守るしかない時代。 SNSのストレスみたいなんは無いけど(笑)

西川(仁支川)峰子とかね。また「かりそめ天国」で、氷入りの白ワインという、強いんだか弱いんだかよくわかんない呑みっぷりを披露してほしいわ。

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yolanda