波の数だけ抱きしめて

劇場公開日:1991年8月31日

解説

1982年の湘南を舞台に、ミニFM局の運営にかける若者たちの青春模様を描く。脚本は「病院へ行こう」の一色伸幸が執筆。監督は「彼女が水着にきがえたら」の馬場康夫。撮影は同作の長谷川元吉がそれぞれ担当。

1991年製作/104分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1991年8月31日

あらすじ

1991年11月。東京の教会で行われた真理子の結婚式に、旧友の小杉、芹沢、裕子、吉岡の4人が集まった。式の帰り、小杉と芹沢はクルマを飛ばして横横経由で長柄のトンネルを抜け、134号線を茅ヶ崎に向かう。1982年5月。大学4年生の小杉、芹沢、裕子、真理子の4人は、真理子のバイト先のサーフショップを拠点にノンストップ・ミュージックのミニFM局Kiwiを運営していた。彼らは学生生活最後の夏休みに何か大きなことをやりたいと無線マニアの芹沢の発案でFM局を始めたのだった。自分たちの放送が湘南じゅうの海岸で聞けるようになることを夢見る彼らにとって、真理子のDJとしての才能は不可欠だったが、その真理子はロスアンゼルスにいる両親から航空券を送りつけられており、7月にはロスの大学に編入しなければならない。真理子は小杉に引きとめてほしいのだが、シャイな小杉は「好きだ」の一言が言えない。そんなある日、彼らの前に若い広告マンの吉岡が現れる。真理子に一目ぼれした吉岡は、FM放送局の計画を知り、真理子を取り入れる為に中継局作りに積極的に協力しはじめる。そしてKiwiは二人の男の真理子への思いをエネルギーにして、国道134号線沿いに江ノ島方向へ急速に伸び始める。そんな時、吉岡は会社の上司から専売公社が森戸にひと夏オープンするアンテナショップで行うイベントの企画を命じられ、茅ヶ崎から森戸まで湘南の海辺をカバーするFM放送局「FM湘南」の設立を提案。Kiwiは森戸を目指してさらに伸びていく。同時に吉岡は真理子に9月までアメリカ行きを延ばすよう頼み込み、真理子もそれを了承するのだった。7月、中継局が葉山まで伸び、いよいよ明日はスポンサーが試験放送を聞きにくるという晩、小杉は真理子に気持ちを打ち明けようと決心し、真理子を呼び出すが、ふとした行き違いから真理子の気持ちが完全に吉岡に移ったものと誤解。一方真理子も小杉に思いを寄せていた裕子が小杉と抱き合っているのを目撃して、深く傷つきアメリカへの旅立ちを決心する。芹沢と裕子は、真理子と小杉の仲を取り持つ為、試験放送を犠牲にして、小杉の「愛してる」という言葉を電波に乗せ、真理子のクルマに乗せようとする。だが、この放送が失敗すれば吉岡は会社をクビになるのだ。悩んだ末、小杉はマイクに向かうが、間一髪で真理子のクルマは長柄のトンネルに入り、その思いは伝えられなかったのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第15回 日本アカデミー賞(1992年)

ノミネート

助演女優賞 松下由樹
新人俳優賞 別所哲也
話題賞 作品部門/俳優部門 中山美穂
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映画レビュー

3.0フツーの青春

2025年7月5日
Androidアプリから投稿

昔観た記憶よりはるかに面白かったです。
当時はオープニングに流れるユーミンの「心ほどいて」が大好きで、歌の設定そのままの始まりなのに、「私の嘘をみんな引き受けて、あなた、離れていくの」なんてキラーフレーズをストーリーに出来ていない内容にがっかりしていました。
後、ユーミンとミポリンて合わない気がするんですよね。ユーミンの歌のヒロインて気の強い女性のイメージだし。
目が覚めるように美しい冒頭の花嫁姿から一転、80年代のサーファーファッションのミポリンが、なんといいますか、まぁもちろん可愛いのですか、デビュー時の日焼けが似合う年齢ではなく、戦闘時のミミ萩原みたいな髪型も相まって、天下の美女が大仁田厚に見える瞬間がある訳がないこともないような事になっているといいますか…。
何より監督にミポリンを女優開眼させてやろうなんて気概は微塵もないのだから、ミポリンがミポリン以上に美しいシーンはありません。
というわけで、ミポリンの魅力を堪能出来るとは言い難いのですが、本作がつまらないとか意味がないとか言っているのではけしてありません。
アイドルでも女優でもない過渡期のミポリンの姿は大変貴重かと思います。
バブル経済の終焉だなんだは、ミポリン人気に何の影響も及ぼしていないので、無関係といえますが、常に全速力で走らざるを得ない時代の寵児として、青春時代を生きたミポリンが、もう映画なんて嫌!と怒り出すぐらい何時間も天気待ちさせられたエピソードは、ファンとしては救われるものがあるのです。
海を見ながらゆっくり本を読む時間をミポリンに与えてくれたからです。
呆れるくらい退屈な時間が、フツーの青春なんだよ、ミポリン。

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こうた

4.080年代の青春群像作

2025年7月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

中山美穂と織田裕二が出演していることを知って鑑賞した。1980年代と言えばバブルに向かう途中で世の中が背伸びし出した世相、携帯電話すらない時代だ。また女性の社会進出も今と違い大学進学率も低い時代。そう言う意味で、主人公の中山美穂はエリートなのだ。その神秘的とも言える中山美穂を巡って織田裕二が生煮えの態度で観客をイライラさせるのだが。

しかし本作において最大の見せ所は松下由樹だろう。演技には定評のある役者だが、眼力というか眼の演じ方が圧倒的で、主演の中山美穂を凌駕する勢いだ。必ずしも出番は多くないのだが、ワンシーンにかける想いがスクリーンを通じて伝わる。それは現代人の絵文字チャットとかでの喜怒哀楽では通用しない、生身の人間の声なのだ。声があるから人間としての会話ができ、自分はどうしたいのか、どう思っているかの、当たり前の言葉を発する。

いずれ人類は言葉を発する必要のない時代にいくのかもしれないが、本作では人間本来の生きる力に気付かされる。夏の湘南に行ってみたくなった。

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よさくさん

4.0懐かしのトレンディ映画ことホイチョイプロダクション映画3作目 リバ...

2025年5月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

懐かしのトレンディ映画ことホイチョイプロダクション映画3作目
リバイバルでフィルム上映するとの事で観に行きましたが、当時の時代感が伝わってくるもはや歴史資料的な作品で面白かったです
上映が91年というのもあり、ここから本格的にバブル崩壊すると考えると本当に戻ってこない日々なんだなと勝手ながら感情に浸ってましたね

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ばた

3.5中山美穂さんを偲んで 2作品目 日焼けしたミポリンが堪らない

2024年12月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

興奮

91年公開作品
所謂ホイチョイ三部作最終作
バブルの終焉

監督は『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』『メッセンジャー(1999)』『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』の馬場康夫
脚本は『私をスキーに連れてって』「彼女が水着にきがえたら」『僕らはみんな生きている』『ショムニ』『お受験 OJUKEN』の一色伸幸

大学生が最後の夏に湘南の浜辺を網羅することを目指すFM局を開設する青春物語

サウンドはユーミン中心

冒頭5分くらいなぜかモノクロ
それからカラー
終盤1時間34分頃から再びモノクロ
約4分後に再びカラー
82年がカラーで91年はモノクロ
91年もラストにカラー

田中真理子は仕事の都合でアメリカで生活する両親と同居するためしばらく日本を離れること予定

小杉正明は7年間告白できずにいるという設定のはずだが高校卒業前にも告白していてその時は真理子が断っていた
友人の高橋裕子が小杉のことが好きだから気を遣った形もそれを知ってか裕子も熱は冷めたふりを見せる

無線マニアの芹澤良明は友人の小杉についても詳しく行動パターンを予測しズバズバ当ててしまうところが面白い

中山美穂と松下由樹がずいぶん日焼けしてる
特に松下由樹は焼けすぎ
ゴジラ対モスラに登場する島の原住民を彷彿させる
それはさておき7年間Tシャツを脱いだ時のビキニから溢れんばかりの乳房にびっくり
ビートたけしとのトーク番組で明石家さんまがセクハラ発言してゲストの松下由樹を呆れさせた原因を作った意外と大きめな美しいバストをちょっとだけ拝める

黄色いワーゲンが印象的
広告代理店勤務吉岡拓也の愛車
名刺を見ると「博放堂」もちろん元ネタは「博報堂」
二枚目だが三枚目で新品の中継機器をモーターボートで芹澤に届ける際も全くうまくいかない

結局田中真理子は91年に別と男と結婚する
夫を演じた俳優は誰?と思うがそれはともかく82年か9年の年月が流れた
時と同じくにしてバブル経済は崩壊したがそれはまた違う哀愁を感じた

配役
茅ヶ崎のサーフショップでバイトする都内の女子大生の田中真理子に中山美穂
高校時代から真理子のことが好きだがなかなか告白できない小杉正明に織田裕二
自作のミニFM通信機を使ってしまう無線マニアの芹沢良明に阪田マサノブ
田中小杉芹沢の高校時代の同級生の高橋裕子に松下由樹
真理子に一目惚れする大手広告代理店の社員の吉岡拓也に別所哲也
吉岡の先輩社員の池本に勝村政信
吉岡や池本の上司に矢島健一

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野川新栄

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