中山安兵衛
劇場公開日:1951年4月1日
解説
中山義秀の原作より、「大利根の夜霧」の佐伯清と、その原作を書いている友田昌二郎が共同で脚色に当たり、佐伯清が同じく監督に当たっている。主演者は、「鬼姫しぐれ」の嵐寛寿郎に「春風無刀流」の花柳小菊がつき合い、それに、「お艶殺し」の瀧花久子、「熱砂の白蘭」の河津清三郎、「続佐々木小次郎(1951)」の東野英治郎、清川荘司などが助演している。
1951年製作/94分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1951年4月1日
ストーリー
堀内道場の四天王中山安兵衛は、その生一本の純真さを見こまれて、息子を夭折させた菅野六郎左衛門と伯父甥の契りを結び老夫婦の愛情によって、天涯孤独の淋しさを慰められていた。いま一人彼の心の友は、余りの清廉さのために浪人になり、妻に去られた細井広沢との交遊だった。六郎左衛門は安兵衛の仕官のことも心配するが、それも安兵衛の武骨さが失敗させた。ある朝、突然、菅野老人が村上兄弟の恨みをかって果たし状をかけられ、高田の馬場にいることを知らされて、安兵衛は駆けつけた。村上三兄弟を見事に斬ってすてたが、菅野老人も傷を受けて絶命した。人々は安兵衛を英雄だともてはやしたが、安兵衛の心は淋しかった。菅野老人の遺骸を葬う人の群を抜けて、高田の馬場へ来て見ると、そこにも息子達の死を悲しむ村上兄弟の父親の姿があった。安兵衛は激しい無情感に襲われ、自分に好意を寄せる呑み屋の女小雪の追いすがるのを振りはらって、夜道をいずこへともなく去って行った。