ドリーム・スタジアム

劇場公開日:1997年6月21日

解説

突然野球の能力に目覚めた落ちこぼれサラリーマンと、彼を取りまく人々の野球に賭けた夢を描いたファンタジー。監督は「わが心の銀河鉄道/宮沢賢治物語」の大森一樹。脚本は「大失恋。」の尾崎将也。撮影を「君を忘れない」の高間賢治が担当している。主演は「truth」の萩原聖人と「四姉妹物語」の牧瀬里穂。

1997年製作/103分/日本
配給:東映
劇場公開日:1997年6月21日

あらすじ

住宅メーカーに勤める洋介の夢は、楽して有名になって優雅な生活を送ることだった。ある日、恋人の香織がほかの男と野球観戦デートをしていることを知った洋介は、東京ドームに殴り込みに行くが、そこでホームラン・ボールを受けて気絶する。数日後、バッティング・センターに立ち寄った洋介は、150キロのスピード・ボールを立て続けにホームランにし、センターの経営者・朋江にプロになってみないかと声をかけられた。ダイエー・ホークスのテストを受けて入団した洋介は、初打席でホームランを打ち、たちまちスター選手の仲間入りを果たす。降って湧いた名声に洋介は浮き足立つが、彼の活躍はシーズン半ばで止まってしまった。洋介のパワーの秘密を暴こうとしていたビデオジャーナリストの圭子は、彼のビデオをチェックしていて、打撃の瞬間に彼の顔が違う男のものに変わるのに気づく。その顔は、20数年前にドラフト1位で南海ホークスに入団しながら、開幕前日に事故死した西山京太郎のものだった。彼のことを調べるために伊豆・稲取へ飛んだ圭子は、京太郎が自分の死んだ母親の恋人であったことを知る。一方、スランプのままシーズンを終え、野球をやめる気でいた洋介は、朋江の消息を追ってやはり稲取に向かった。朋江は実は京太郎の妹で、兄と幼い頃を過ごした稲取に今、野球場を完成させようとしている。一堂に会した3人は、自分たちが不思議な運命で結ばれていたことを知り、完成した野球場に現れた京太郎と出会った。こけら落としに名球会の面々を招待した朋江は、その試合に京太郎を参加させる。その後、名球会とダイエーの試合が福岡ドームで行われることが決まり、これに兄を参加させたいと考えた朋江は、稲取以外に現れることのできない京太郎のために、洋介の体を借りることにした。名球会のリードで迎えた最終回、洋介は見事な逆転ホームランを打つが、彼の体には京太郎は宿っていなかった。自分の力でホームランを打った洋介を見届け、京太郎は天国へ帰っていく。数日後、ダイエーの練習場には野球を続ける決心をした洋介の姿があった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0 本筋よりも脇の部分に光るものが多い。

2023年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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すっかん

3.5 野球シーン以外が面白い

2025年8月3日
iPhoneアプリから投稿

野球映画にしては珍しく野球シーンの多い映画だった。ただ、正直野球シーン以外のほうが面白い。

序盤、大阪に出張していた住宅営業マンの萩原聖人が東京本社にいる同僚に電話をかけるシーンでは、実に見事な「音」の編集がみられる。

画面奥で同様に東京本社に電話をかける大阪の上司は、萩原の無能ぶりにひたすら苦言を呈す。かたや呑気な萩原は「大阪は楽しかったよ」などとくだらない話を同僚に聞かせる。要するに萩原と上司の認識のすれ違いを示すコメディシーンだ。

ここではカットのテンポに合わせてポンポンと音の主導権が切り替わるのだが、二人の発話内容はギリギリ推測できる。同一ショット内での音の「ピント送り」に関しても同様で、発話は途中でフェードアウトするのだが、なんとなくその後のセリフが想像できる。作り手側が受け手側の言語感覚を信頼しているがゆえに成立した素晴らしいシーンだ。

仕事を終えた萩原が住宅展示場を去るシーンでは、カメラがズームアウトしていき、展示場がどこかの球場の内部に建設されていることが明かされる。ここも非常に視覚的快楽に溢れている。

さて肝心の野球シーンだが、中盤まではそこそこ面白い。おそらくCG処理している箇所も多いのだろうが、萩原のバッティングシーンをハッキリ描いているところに好感が持てる。ダイエーホークス全面協力による圧倒的ギャラリーも見ていてワクワクする。

ただ、終盤のドリームマッチのくだりが酷い。やっぱり映画とスポーツハイライトの撮影文法は全く異なっているのだということが改めて感じられた。

レジェンド級プレイヤーを次から次へとコンパクトに収めていくスポーツハイライト的なカメラワークが、余白込みで画面設計をしていたそれまでのカメラワークと折り合うはずもない。本作最大のサビであるはずのシーンが結果的に最もつまらないという本末転倒ぶり。

映画で野球をやりたいなら、イニングとスコア、そしておおまかな登場人物たちのポジションを何らかの方法で示し続けなければいけない。かといって野球中継のように簡易スコアを画面端に表示し続けるわけにもいかない。だから野球映画は難しいわけだが…

ラスト、萩原が念の籠った特別なバットでホームランを放った瞬間の演出がダサすぎて笑ってしまった。CGの粒子が飛び散るみたいなの、ポストバブルあるいはポスト角川映画って感じがする。

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因果

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