遠き落日のレビュー・感想・評価
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母の愛見たさに
この作品、野口英世の天才ぶりや努力や世渡りに驚かされますが、何と言っても母の愛!
初めのうちは、近くの恩師の仲代達矢に来た手紙を読んで貰って英世の近況確認をしていた読み書き出来なかった母。
どうしても息子に会いたくなって自筆で書いて手紙を送ります。多分、仲代達矢に教えて貰ったのでしょうか。
一字一字丁寧に丁寧に書いて思いを伝えます。
そして、やっと会えても息子が自分の心配をするより戻って人々の為に働いて欲しいと心とは裏腹に送り出します。
側に居て欲しい気持ちいっぱいなのに、
我が子が、人の為、世界の人の為に働く方を望む。
また、英世の賢さの話で自分ではなくお父さんに似て賢いんだよ、と、飲んだくれの父親をきちんとたてていた場面もありました。
でも、英世は母の賢さ強さをちゃんとわかっています。
母の無償の愛も。
だから、自宅の暖炉の上に母の肖像画を飾り毎日顔を合わせていたのでしょうね。
三田佳子さんの演技に、感動です。
世界を舞台に活躍する偉大な息子の母ですが、母自身にとっては、可愛い一人息子。
そんな我が子を想う気持ちをよく表現してくださった作品だと思います。
英世が後期試験に合格した時、合格者の身分が記されていました。士族、士族、平民と。
明治でもまだ身分制度があり、しかし、身分に関わらず成績で合格し始めた時代だったのでしょうか。改めて英世の天才ぶりに驚かされました。
あの左手のやけどは、細菌学の権威野口英世博士を産み出す為のやけどだったのかと、ご本人のご苦労も知らず思ってしまいました。
日本はこういう国だった
良くも悪くもハングリー精神に溢れた頃の日本の話。今では「こうあるべき」だとは思わないけれど、この方向性が日本人の良さであるとするなら、現代の日本凋落の理由が少しわかる気がする。
ひとつだけ言うのなら、こんなグローバル化の時代においても「内弁慶」な志向の人が多いのには驚く。本当の貧乏になったらまた海外にでて一旗揚げるような人たちがでてくるのかもしれない。
野口英世の生涯を描く。 普通に撮れば良作確定であり、期待以上でも以...
野口英世の生涯を描く。
普通に撮れば良作確定であり、期待以上でも以下でもなかった。
母親との再会シーンは泣けたが、牧瀬里穂とのくだりは不要だと思った。
野口がストーカーまがいのつきまとい行為をした挙句、あっさりふられてしまうという。
野口英世の生涯からすればどうでもいいことであり、単に牧瀬里穂を出演させるために無理やり入れたのではないか。
あと、野口が凱旋帰郷し、恩人に金時計を渡したところ、その奥さんに投げ捨てられてしまうというシーンもよく分からない。
事実に基づいているのかもしれないが、そのシーン要る?と疑問に思った。
和田アキ子のテーマソングがピタリとハマる。
野口英世はなかなかの放蕩人で、しかし福島県の生んだ偉人であることには間違いない。
野口シカの「はやくきてくだされ…」の手紙のシーンは私のような福島県民からすりゃ涙なくして見られない。
私の人生で初めてみた映画
初めてみた映画がこの映画でした。
休みの日にゲームを買ってくれるという母に連れられ、映画館に見に行った記憶があるのですが、たくさんあった中でなぜ母がこの映画を選んだのか当時はわからず…。
アニメとかアクションとかもっとわかりやすいものを期待していたのですが(笑)
数十年ぶりに見てみたいと思い検索をしていたところ、こちらのレビューを拝見し思わずコメントしてしまいました。
いつか聞こうとは思っていたのですが、その数年後、母はガンでなくなり真意は聞けずじまいに。当時の母の年齢に近づいてきた今、改めて見返せば何かに気づくかもしれません。
Amazon Prime で見れるといいなと思っていたのですが、どうやらDVDしかないようなので探して見てみたいと思います。
何故流行ってないの?
野口英世の生涯を描いた映画。
もうキャストが反則なくらいいい
まだのひとは観た方がいい。
ひとこと・・・
小林栄先生が野口清作(英世)を初めて見た時のあの表情、
ちゃんと注目しましょう(何となく・・・)
やはり母の愛は素晴らしい!
野口英世は馴染みが無かったのですが、幼少の頃この映画を見て心に残っていたのを思いだして再度観ました。
再鑑賞して、こんなに努力家で医者なのに、こんな手だからと言う。そのコンプレックスを持った姿、そして母が謝る姿にも泣けてしまった。コンプレックスのない人間なんて居ないんだと思ってしまったこと、そして親子の愛は素晴らしいこと。母は死ぬ前に息子に会えて本当に良かった。国旗を持って息子の前に現れる姿や息子が借金の代わりに時計を持参して、その時計を投げられた時に拾いに行く姿、息子の背中に母の心は満たされたのだろうと思ったけれど、やはり親子は側にいるのが幸せなのだと映画を見て再認識しました。
わたしは親不孝だなぁ…三田佳子さん素晴らしかったです。
我が同郷の偉人物語
細菌学の世界的権威、野口英世。
千円札の人、と言ったらほとんどの人も分かる筈。
この偉人には子供の時から愛着と慣れ親しみがある。
何故なら我が同郷人だから。
本作が公開された時、福島では大変話題になったのを記憶している。
福島の偉人だから、と母に連れられ観に行った。
その時はまだゴジラやドラえもんやドラゴンボールなど子供向けしか見ていなかった時分。
にも関わらず、とても感動した。ひょっとしたら初めて見た真面目な映画だったかもしれない。
今回機会があり、久々に鑑賞。
見るのはいつ以来だろう。幼少時劇場で見て以来かも…!?
20年以上振りなのに、結構よく覚えていた。最近見た映画はすぐ忘れるのに、子供の時見た映画って忘れないもんだ…。
そもそも野口英世の生涯なんて、福島人なら知らない人は居ない筈。(いや、さすがに居るか…)
猪苗代湖畔の貧しい家で生まれ、赤ん坊の時に囲炉裏に落ちて左手を大火傷。生活能力の無い父に代わり、母シカは女手一つで育て上げる…。
火傷した左手を理由にいじめられ、悩み苦しんだハンデや境遇をバネにし、築き上げた成功。
映画で主軸となるのは、母シカとの母子愛。
自分の不注意で息子に大火傷させてしまった、と悔やんでも悔やみきれない。
息子の学びの為に働き続ける。
左手の手術をきっかけに医学の道を志す。やがて世界の医学界に名を轟かす。
母の喜びはどれほどのものだったろうか。
が、外国で活躍する息子とは離れ離れに。
息子は母を忘れた事は片時もなかった。
老いた母は故郷で望むのはただ一つ。
死ぬ前に一目息子に会う事。
「早く来てくだされ… 早く来てくだされ…」
深い母子の絆が胸を打つ。
母シカに三田佳子、英世に三上博史、共に熱演。
神山征二郎の演出、新藤兼人の脚本も誠実。
磐梯山や猪苗代湖の雄大な景色が郷愁を誘うのは同郷だからか。
美術やメイクはちとチープで、ステレオタイプと言ったらそうかもしれないが、身構える事なく、偉人の伝記として見易い作り。
学問そっちのけで色恋にうつつを抜かしたり、少々図々しかったり、偉人の人間臭さも描かれているが、渡辺淳一の原作では酒に溺れ、女遊びに興じ、借金癖などもっと克明に描かれているとか。(野口英世否定論とか言ったけ)
その部分も忠実に描かれても良かった気がする。
どんな偉人だって、叩けば必ずホコリが出る。
聖人君子なんていやしない。
だからこその“人間”なのだから。
自分は野口英世氏が生まれた村とは全然違う街中の生まれだが、そのゆかりの場所は何度か訪ねた事がある。
今は記念博物館もある観光名所だが、当時は何も無い貧しい村だったのだろう。
しかもその地は冬になると大変な積雪になる事も知っている。
こんな場所から世界に羽ばたいた。
生まれもハンデも関係ないのだ。
勿論、一人の力では到底無理。周囲の支えあってこそ。
中でも最大の源は無償の愛情を注いでくれた存在。
またいつか会える日まで。
あの地で、あの時のように。
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