東京物語

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東京物語

解説・あらすじ

名匠・小津安二郎の代表作で、東京で暮らす子どもたちを訪ねた老夫婦の姿を通し、戦後日本における家族関係の変化を描いた不朽の名作。ローポジションやカメラの固定といった“小津調”と形容される独自の技法で、親子の関係を丁寧に描き出す。尾道で暮らす老夫婦・周吉ととみは、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため久々に上京する。しかし医者の長男・幸一も美容院を営む長女・志げもそれぞれの生活に忙しく、両親を構ってばかりいられない。唯一、戦死した次男の妻・紀子だけが彼らに優しい心遣いを見せるのだった。

1953年製作/135分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年11月3日

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映画レビュー

4.5幸せな家族、その中にもいろいろあるもの

2025年6月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

両親、子ども、子どものつれあい、遠慮や愛情、そして死。
気兼ねのない存在であったとしても、必要なものも礼もある。
色々な物事の中に、人となりが出るもの。
これでも幸せな方だ。
孫よりも子どもが可愛い、
昔は優しかったのに。
これでも幸せな方だなあ。
などという会話に、あきらめや妥協、寛容な日本人の普遍性を感じる。
68歳で大往生というのには、時代を感じさせられた。

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nyaowan

5.0普遍的日常

2025年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

20年前か30年前かも定かではありませんが、初めて観たときは退屈でした。以来、小津作品は自分の好みではないと思って敬遠してました。でも、大好きなアキ・カウリスマキ監督は、今作を観て映画監督になったわけだし、ヴィム・ヴェンダース監督も小津監督を敬愛してやまないというし、ずっと避けてるのもどうかと思い直して、昨年、「彼岸花」(58)を観てみたらとても面白くて、「そろそろいいのかな?」と思っていた矢先、丸の内TOEI「昭和100年映画祭」で上映されるというので観ました。期待ハズレだったらショックだなという心配は杞憂でした。モノクロームの昭和の風景や暮らしぶりは少年時代を想起させて懐かしく、親子の情愛、夫婦愛、旧き友情は、どこかで自分の半生に重なり、とても身近に感じられました。若い頃には退屈に思えた平凡な出来事も、いつかは消えゆく儚きものという実感があると、全く違う感慨がありました。原節子扮する紀子にとって平山周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)は義父母に当たるので、自分の義父母のことと重ねて生前のご恩なども思い出しながら、人の老いや死についても感じました。派手なアクションもなく、宇宙人も出てこないし、美男美女のラブシーンもない、若者には退屈かもしれない映画の面白さがわかるようになってちょっと嬉しい映画体験でした。

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赤ヒゲ

3.0昭和28年の時点で核家族的なドライな状況が描かれている

2025年4月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

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ねこたま

5.0実は東海道山陽道を股に掛けるロードムービーだったことに驚く

2025年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

先日観た「羅生門」に続き、今年7月で閉館となる丸の内TOEIで開催中の『昭和100年映画祭 あの感動をもう一度』へ。今回は小津安二郎監督の永遠の名作「東京物語」を鑑賞しました。「羅生門」は配信で観たことがありましたし、黒澤作品はその他にも観たことがありましたが、小津作品は配信、劇場を問わず今回が初めてでした。

で、本作については、ダイナミックな展開が柱となる黒澤作品に比べると、大きな出来事が起こらない日常を描いたお話という認識で、笠智衆がずっと自分の家で過ごすお話なんだろうと思っていたのですが、実際に観たら全く違い驚きました💦自分の家どころか、尾道に住む平山周吉(笠智衆)・とみ(東山千栄子)の老夫婦が、東京に住む長男の幸一(山村聰)と長女のしげ(杉村春子)に呼ばれて東京に赴いて東京見物をし、滞在が長引きそうになると世話が面倒になった幸一としげが両親を熱海に体よく湯治に追いやったかと思えば、周吉ととみが再び東京に戻ってから尾道に戻る道すがら、とみが体調を崩して三男の敬三(大坂志郎)がいる名古屋で療養し、ようやく尾道に帰宅したかと思えばとみが危篤になり、そのまま亡くなってしまうという、東海道山陽道を股に掛けた一大ロードムービーでした。

また、両親をぞんざいに扱う幸一ととみに比べて、次男の嫁の紀子(原節子)は、2人を心から大事に扱うという対比も中々の見所。本作が公開された1953年と言えば、敗戦から8年しか経過しておらず、それなりに親子・家族の絆と言うものが色濃く残っていたように想像していましたが、実はその頃から徐々にそう言った考えが後退していた、もしくはその兆候があったのであり、そうした時代背景を元に小津監督が本作を描いたと考えるのが妥当なのではないかと感じたところです。そういう意味では、実は本作の主人公だった紀子は、折り目正しい前時代の象徴であり、幸一やしげは時代の先端の象徴だったようにも思えます。

さらには、基本的に穏やかな基調で描かれた本作も、紀子の夫が戦死したという重たい事実を土台にしており、また周吉とその友人である沼田三平(東野英治郎)、服部修(十朱久雄)の3人による居酒屋での会話でも、沼田三平をして「戦争はしたらいけない」と言わしめており、敗戦から8年、(一応)主権回復から1年経過した当時においても、戦争による深い深い傷が人々の心に残っていたのは間違いのないところなんだとヒシヒシと伝わって来ました。

以上、観る前はどんなに退屈な話なんだろうと勝手に構えていたものの、ものの見事にその予想は覆されました。そして当時の人々の心情を正確に映し出した極めて優れた作品であると当時に、尾道→東京→熱海→東京→名古屋→尾道を移動するという物理的にもダイナミックなお話であり、先の展開を観たくなるほどにのめり込む作品であることを感じ、非常に感激した次第です。

そんな訳で、本作の評価は★4.8とします。

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鶏