東京物語

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劇場公開日:1953年11月3日

東京物語

解説・あらすじ

名匠・小津安二郎の代表作で、東京で暮らす子どもたちを訪ねた老夫婦の姿を通し、戦後日本における家族関係の変化を描いた不朽の名作。ローポジションやカメラの固定といった“小津調”と形容される独自の技法で、親子の関係を丁寧に描き出す。尾道で暮らす老夫婦・周吉ととみは、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため久々に上京する。しかし医者の長男・幸一も美容院を営む長女・志げもそれぞれの生活に忙しく、両親を構ってばかりいられない。唯一、戦死した次男の妻・紀子だけが彼らに優しい心遣いを見せるのだった。

1953年製作/135分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年11月3日

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映画レビュー

5.0 評論通り名作でした。

2025年9月23日
スマートフォンから投稿

好き嫌いの話ではない
娯楽性有無の目先の話でなし
映像が美しいとか、モノクロノイズが嫌だとか
何をいいたいのか、メッセージは何だったのか
そんな些細な視点で観る事しか出来ない、自称映画ファンであるなら、YOUTUBEでも観ておけ!
長らく観なきゃと思いつつ、やっといい齢を迎え視聴しました。良く出来た作品です。
もしかしたら10年前の私ではこの作品の良さに気づかないのかも知れませんね。

杉村春子センセー、流石です。

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たけのこ

5.0 悲しくも、可笑しい

2025年9月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

癒される

女優 司洋子さん(秋日和 出演)が“この映画は若い時はどこがいいのか分からなかったんですが歳をとると、しみじみ分かるんですよね・・・”
確かに私も若いときは、この作品に真摯に向き合ってなかったような気がします。おとぎ話のような「晩春」(←傑作ですよ)を好んでたのですが、歳をとると自分が避けていた作品を観たくなるんですよね。
まぁ、いろいろ経験していくうちに視野が広くなるんでしょうかね。

今回観て、すごい楽しめました。
小津作品の常連である中村伸郎が笠智衆の事を「お義父さん」と呼ぶだけで、すごいウケる。他作品ではお互い年齢が近いので同僚や友達の配役が普通なんです。
娘役の杉村春子も上手い。うちわを回しながらの会話やポンポンとした物言いで次は何やってくれるんだろうとワクワクします。

小津作品はローアングルと映像ばかり取り上げられますが音にも注目したいです。シリアスなシーンにポンポン船の音を入れたり、酒場でのシーンで軍艦マーチを流して、そこで話される会話が“もう戦争はコリゴリじゃ”と、しんみりした会話で異化効果を狙ったのでしょうか。

過去に何度もリメイクされて山田洋次監督も撮っています。映画ではないのですが昔NHKの銀河テレビ小説(夜ドラ)で「新東京物語」が印象に残っております。
大友柳太朗、名古屋章、檀ふみが出ておりました。
杉村春子が演じてた娘役を誰が演っておられるのは忘れましたが、お葬式後の会食で例のシーン「母さんの着物あれも、ちょうだい」に、京子役の檀ふみがキレる演技が印象に残っております。その当時オリジナルの「東京物語」は知りませんでした。
まぁ海外作品でもいいのでガンガン、リメイクして現代の東京物語を観てみたいです。未見ですが黒沢清「東京ソナタ」も、そうなんでしょうか?

そもそも「東京物語」自体がR・マッケリー「明日は来らず」を翻案したものなんですよね。老夫婦が、それぞれ擁護施設に入って離れ離れになる前に息子や娘の家庭を訪れるが冷たくあしらわれ、帰り際ふと立ち寄ったカー・ディーラーのお店で店員さんに親切にされてドライブに連れていってもらった。
楽しい思い出をありがとう・・・老夫婦は別れて、それぞれの家路に戻って行きます。当時のハリウッドでも家庭の崩壊を描いてたから驚きです。
ただ、この作品は歴史の中に埋もれてしまって忘れられた作品になっています。

「東京物語」は、それぞれの場面転換が絶妙で完璧。
まさにO・ウェルズ「市民ケーン」に並ぶ映画の聖典です。なので、なるべく映画館で観てほしい作品です。

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naoki

5.0 他人だからこそ情を交わす

2025年9月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

癒される

実の息子、娘の関係と義理の嫁(亡くなった息子の嫁)との関係を笠智衆と原節子が情を交わしながら(親子の情)前向きに生きていく姿勢が美しく仄々と描かれた作品である。今、観ても両者演じる父と息子の嫁は、当時にしてはとてもストイックな生き方をしている様に思えるが、現代では当に理想的な生き方に思える。
【家族】を描き続けた小津安二郎ならではの視点が伺われる作品ではないだろうか。

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リコ

4.0 日本人は猿ではなくて熊

2025年9月10日
PCから投稿

沖縄の人とか。フィリピンの人。中国の南のほうの人は都会に出てきて難しいことがあると、すぐに田舎に帰ってしまうという話をよく聞く。彼らは大きくなっても、家族と一緒に暮らす傾向が強い。動物に例えると、猿だ。一方聞いた話では、スウェーデンの人々は親と一緒に暮らすなんてことは絶対にないという。珍しいのではなく、絶対にないと。日本の有名な推理小説「スウェーデン時計の謎」にそのことが書かれていた。日本人はどちらかといえば、このスウェーデンに人に近いのではないかと思う。かくゆう。私もそうだ。親と一緒にいたくない。親と一緒に居るのは、本能的に不自然さを感じる。自分が50歳過ぎて母親と2人で飯を食っていると、こんなことをしていてはいけないという本能の強い声が聞こえる。人間はそもそも親から独立する生き物なのだ。大人になってから、親に接しているのは不自然だ。ちょうど動物園の熊がそうだ。飼育員は熊が大きくなっても、自分が育てた子供のように思ってかわいがろうとする。しかし、頭を撫でられた熊は猛烈に怒る。あれと同じで、大人になった子供は親に構われると腹を立てる。逆に親は子供に構いたくなる。子供のすることに文句を言いたくなる。それは、子どもの独立本能を促すための本能ではないかと思うのだ。 よく見るとこの映画は実は、その本能を描いている作品なのである。単に冷たい子供達だな。とか。世の中にはいい人もいるもんだとか、そういう話ではないのだ。 小津安二郎の多くの作品には、その本能に矛盾する父親と娘が出てくる。この映画を作るまでにすでにいくつかのそういったプラトニックラブ父娘の話をつくっている。が、ここでの設定は娘ではなく血の繋がっていない次男の嫁になっている。この映画はプラトニックラブ父娘テーマと衝突させるための作品なのだ。 そのようにしてみると、この映画がどのような傑作か、その真の姿が見えて来るというものであろう。

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KIDOLOHKEN