東京のえくぼ
劇場公開日:1952年7月15日
解説
三ツ木プロと新東宝の提携によって青柳信雄と高木次郎とが製作を担当、「水色のワルツ」で青柳信雄と共同監督に当たった松林宗恵が監督に当たっている。撮影は「惜春(1952)」の小原譲治である。出演者の主なものは「朝の波紋」の高峰秀子、「惜春(1952)」の上原謙、「恋の応援団長」の小林桂樹、丹阿弥谷津子の他、柳家金語楼、古川緑波、小倉繁などである。
1952年製作/87分/日本
劇場公開日:1952年7月15日
ストーリー
河上伸子は紀の國屋物産の入社試験に行く途中のバスの中でスリに財布をすられた。いち早く気がついた彼女は、自分の傍らに立ってニヤニヤ笑っていたロイド眼鏡に口ひげの男がてっきりスリだと思って、警察へ突き出した。その時立ち会った婦人警官は伸子の親友京子だった。伸子はその後で入社試験を受けて、みごとに難関をパスし、紀の國屋物産の社長秘書に採用された。ところがその社長がその日から失踪して行方不明という騒ぎになった。翌日その新聞記事を見て驚いたのは伸子と京子であった。昨日伸子が突き出したスリがその社長だった。出社第一日、伸子と社長紀の國屋文太郎との最初の対面では、社長の前に山積みされた書類が伸子を窮地から救ってくれた。そして文太郎から、盲目判を押す機械のような自由のない社長業の嘆きを聞かされたのであった。伸子は京子と相談して文太郎を脱出させ、伸子の家に預かることにした。眼鏡を取り口ひげを剃った文太郎は、貧しいが人のよい人々が住む裏町に住んでみて、初めて人生の真実に触れたような気がした。それと同時に伸子を通じて会社の状況を従業員の立場からつぶさに知ることができた。伸子の父大作の紹介で紀の國屋の子会社の職工に就職した文太郎は、やがて時期を見てその正体を現し、会社を改革するとともに名実ともに備わった社長として第一歩を踏み出したのだった。