東海道四谷怪談

劇場公開日:1959年7月1日

解説

鶴屋南北の原作を、「南部騒動 姐妃のお百」の大貫正義と「影法師捕物帖」の石川義貫が共同で脚色した、おなじみの怪談もの。「女吸血鬼」の中川信夫が監督し、「影法師捕物帖」の西本正が撮影した。

1959年製作/76分/日本
原題または英題:The Ghost of Yotsuya
劇場公開日:1959年7月1日

あらすじ

備前岡山の屋敷町で浪人民谷伊右衛門は、お岩との仲をひきさかれたのを恨みに思い、その父四谷左門と、彼の友人佐藤彦兵衛を手にかけた。これを目撃した仲間直助は、弱味につけこんで伊右衛門を脅迫するようになった。伊右衛門と直助は左門・彦兵衛殺しを他人の仕業とみせかけ、お岩と妹のお袖、お袖の許婚者で彦兵衛の息子与茂七の三人をつれて仇討と称し、江戸に向けて発った。道すがら、お袖に想いをよせる直助は、伊右衛門をそそのかして与茂七を白糸の滝につき落させた。江戸に出た伊右衛門は、ある日無頼の徒から伊藤喜兵衛親娘を救った。喜兵衛の娘お梅は、それが縁で伊右衛門に心をよせるようになった。その誘惑と、喜兵衛の家に入りこめるという金と立身出世への夢が、伊右衛門を動かした。直助にそそのかされて、彼はお岩殺害を決意した。あんま宅悦を使ってお岩にいいよらせ、不義の現場で斬りすてようという寸法である。だが伊右衛門の決意をうたがった直助は、伊右衛門を通じて毒薬をお岩にのませるよう計った。無残に顔の腫れあがったお岩は、驚く宅悦の口から事の真相を聞くと、自殺した。宅悦を斬った伊右衛門は、その屍体とお岩の屍体を戸板に釘づけにし、隠亡堀に投げ入れた。伊右衛門はお梅と祝言をあげた。だがお岩の亡霊にとりつかれた彼の目には、お梅やその一族がお岩や宅悦の顔に見えた。彼は一家の者を次々と斬殺した。一方、直助はお袖を女房にしたものの、その顔がお岩にみえて近づけなかった。直助が隠亡堀からひろってきた櫛と着物が姉お岩のものに似ているのを見て、驚くお袖の前に、お岩の亡霊が現れ、彼女を生きていた与茂七に引きあわせた。その時財宝分配の争いから、伊右衛門は直助を殺した。一切を知ったお袖は、与茂七とともに伊右衛門を討ち、姉の恨みをはらした。

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映画レビュー

4.5 幻想と情念の世界‼️

2025年8月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

悲しい

怖い

ドキドキ

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活動写真愛好家

4.0 【”この恨み晴らさで置くべきか・・。”熱帯夜にはヤッパリ正統的日本怪談時代劇だね!アイドルホラーよりも、ずっと情念が籠っていて怖い怖い。で、令和の時代にこの映画を作ることを考えて見たの巻。】

2025年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■備前岡山で結婚しようとしていたお岩(若杉嘉津子)の父・四谷左門が心変わりをした事で斬殺した浪人民谷伊右衛門(天知茂)は、その事実を隠し、お岩と妹お袖を連れて、四谷左門を斬った者を探すと言い、江戸に移り住む。
 その途中で、四谷左門の手下で伊右衛門に悪事を吹き込んだ直助はお袖の恋仲である与茂七を、伊右衛門と共に滝つぼに落とす。
 だが、ある日、伊藤喜兵衛の娘・お梅(ナント!池内淳子)を絡んできた男達から助けたことで立身の道が開けた伊右衛門は、お梅との祝言を決意し、直助の悪魔の囁きもあり、邪魔になったお岩の毒殺を計画するのであった。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・令和の時代、中学生や高校生の方々はどれだけ、日本三大怪談と言われている”東海道四谷怪談”や、”番町皿屋敷“や”牡丹燈籠”を知っているのだろう、と今作を観ながらふと思ってしまったのである。
 それくらい、この今から65年前の怪談物語は良く出来ているのである。

・伊右衛門の立身出世を求める思いと、そこに入り込んで来る直助の悪魔の囁き。それに抗えずに、言いなりになり子も出来たお岩に対しての、毒を盛る余りにも惨い仕打ち。
 更には、お岩には嫌らしい僧侶、宅悦との密通の罪を着せようとする企み。そして、宅悦が毒を盛られたが故に、顔が醜く腫れあがったお岩の顔を見て仰天する中、お岩は悲観して首を掻き切り自害し、宅悦は伊右衛門により切り殺され、不義密通をしたモノとして戸板に2名を貼り付けにして、流すシーンは実に惨くも怖いのである。

・演出も本格的で、随所に使われる本物の蛇。直助の足に多数の蛇が絡まるシーンは気持ち悪い事限りなし。
 あとは、戸板に打ち付けられたお岩さんが、天井に張り付いて居たり、水の中から浮かび上がって来たり・・。怖いなあ。

■で、思ったのであるが、もし中学生や高校生の方々の多くが、”東海道四谷怪談”を知らないとすれば、今作を人気俳優を起用して公開すれば、全世代に受け入れられるホラー映画になり、大ヒットするのではないかと思ったのである。
 で、脳内でキャスティングしてみたのである。

 1.まずは、伊右衛門
   ・・この人は直ぐに決まった。横浜流星さんである。我ながら、ピッタリである。

 2.宅悦
   ・・ウーム。内山信二さんなんて、どうでしょうか。

 3.問題のお岩
   これは、ムズカシイ。
   大体、キャスティングを受ける女優さんって、いるのかなあ。
   どこか、儚げで大変に美しい純和風の女優さんと言えば・・、
   ヤッパリ、浜辺美波さんではないだろうか。
   説得が大変であろうが、受けてくれたら大ヒット間違いないと思うのだがなあ。

<今作は、正統的日本怪談時代劇であり、実によくできているし、情念もバッチリである。名品であると思う。
 で、私の案を何処かの映画会社さん。真面目に検討してくれないかなあ。大ヒット間違いなしだと思うのだけどなあ。
 横浜流星さんと浜辺美波さんのファンの方々、怒っちゃ嫌よ。>

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NOBU

4.0 お盆に観に行きました

2025年3月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

白黒の怪談映画といえば大映「雨月物語(溝口健二)ですが、カラー映画の怪談映画は間違いなく新東宝のこの作品でしょう。
白黒でのスチール写真(お岩さんと伊右衛門)を見かけるが、そちらの方が想像力が働かせて怖いですね・・・
伊右衛門役の天知茂は昭和に放映されていた
土曜ワイド劇場の明智小五郎シリーズが印象深いのですが、新東宝ではスターだったんですね。
付人のチャラい直助、ほんとこういう奴いそう〜ある意味、彼が物語を盛り上げてるような・・・
作品全体としては、なんかモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」に似てるような気がします。
時代劇評論家の春日太一さんが天知茂は、やられ芸(仕返しにあう)が上手いと言っておられたが、この作品での最後のシーンでは結構魅せるなぁ〜品格のある俳優さんで、彼の新東宝時代の「憲兵と幽霊」や「黄線地帯」もいつか観てみたいです。

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naoki

3.5 伝説の名作

2023年12月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

京都文化博物館にて、中川信夫監督の「東海道四谷怪談」を鑑賞。
以前この映画を観たのは学生の時だと思う。確か「地獄」とまとめて観た気がする。何で観たのか…レンタルビデオか、深夜のテレビ放送だったか、それとも同じ文化博物館での上映だったか…それが記憶の彼方にあり定かではない。ただ、かなりショックを受けた事だけは憶えている。
今回、再見する機会を得て、やはり驚いた。全然古びてない画面構成と大胆なカット割り。印象的な色使いに時折入るカットインは、まるで現在でいうドラッグムービーのよう。流石名作!
そして、民谷伊右衛門役を演じる天知茂さんの、何て気高く妖艶な事よ。こんな色気を出せる俳優さんが現在いるだろうか?
この作品を令和になってもスクリーンで観れるなんて!本当に感謝です!
惜しむらくは、文化博物館所蔵のFilmによる上映なので、経年劣化の為か色褪せがおこってました。この作品こそ、4Kリマスタリングで観てみたいです。どこかでやってもらえないかなぁ。

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naichin

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