アメリカの影

劇場公開日:

アメリカの影

解説

「ローズマリーの赤ちゃん」などの個性派俳優として知られ、後に「ニューヨーク・インディペンデント映画の父」と称され多くの映画作家たちに影響を及ぼすことになるジョン・カサベテスの記念すべき監督第1作。

マンハッタンで暮らす白人と黒人の血を引く3兄弟が、白人社会の中でそれぞれ葛藤を抱えながら日常を生きる姿を描く。オールロケと台本なしの即興演出で俳優たちの揺れ動く感情やリアルな表情を捉え、映画の新しい方向性を示した。

音楽は大のジャズ好きだったカサベテスが依頼した、ジャズミュージシャンのチャールズ・ミンガスの即興演奏による。

1959年製作/82分/アメリカ
原題または英題:Shadows
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2023年6月24日

その他の公開日:1965年2月(日本初公開)、2012年5月26日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1958 Gena Enterprises.

映画レビュー

4.5即興性を重視するという、当時としては斬新な演出方法が印象的な一作

2024年3月24日
PCから投稿

初めてジョン・カサベテス監督作品を鑑賞した観客による感想です。

全編モノクロームの映像は、1950年代(1959年公開・日本では1965年初公開)の、米国・マンハッタンにおける様々な状況を切り取っています。主人公である兄弟たち(ベン・カラザースなど)の動向を追う形で物語が展開していきますが、映像も構図も、そして音声もどこか粗い印象を受けます。

当時の撮影技術ではこれが当たり前なのかな、と思いつつ鑑賞したところ、最後に本作は、ほぼ全編が即興的演出という説明がありました。だからこそ、劇映画としては粗くとも妙な生々しさがあったのか、と納得しました。

本作は俳優として活躍していたカサベテスの初監督作品で、ラジオ番組の企画によって本作を作成したとのこと。その後も俳優として『ローズマリーの赤ちゃん』(1969)に出演するなど順調に経歴を積み重ねていきますが、そうして得た収入を映画制作につぎ込んで、商業映画としては成立しにくい作品作りに挑戦したり、無名の映画作家に活躍の場を与えたりしています。その中の一人に、先日公開の『ファースト・カウ』(初公開は2019)を監督した、ケリー・ライカート監督もいます。

彼が「アメリカインディペンデント映画の父」という評価を受けている理由がはっきりと分かる業績です。『フェイシズ』(1968)や『グロリア』(1980)など、いろいろと名作をたどってみたくなる監督でした!

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yui

3.5【マンハッタンに住む黒人の血を引く三兄妹の肌の色からくる、疎外感や様々な葛藤を、ナント即興演出で描いた作品。今作の製作年は1959年である。それだけで、意義がある作品でもある。】

2023年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

ー ラスト直前にテロップで”この作品は即興演出で製作した”と出て驚いた作品。-

■黒人の血を引く、長兄のヒュー、弟・ベン、妹・レリア。
 兄のヒューは完全な黒人であるが、2人の弟妹の肌は白人のようだった。
 ある時、レリアはパーティで出会った白人青年・トニーに体を許す。
 しかし、トニーはレリアが黒人の血を引いていることを知る。

◆感想

・分かりやすい黒人蔑視を、リアリティ溢れるムードの中描いた作品である。

・長兄のヒューはクラブで歌手をしているが、白人たちの対応は冷たい。
ー 拍手一つしない。-

・レリアは作家だが、謂れの無い中傷を受けたり、トニーと寝るも彼はレリアの生い立ちを知り、身を引く。

<このようなテーマの作品は、近年多数公開されているが、今作の製作年は1959年である。それだけで、意義がある作品であるし、即興演出って、どうやって映画を撮ったのだろう、ジョン・カサヴェテス監督。初監督作という事にも驚く作品である。>

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NOBU

3.0処女作には

2023年11月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

寝られる

作家の全てが出ると言うが、自分に解ったのはジャズとカメラ。ちょっと場違いな印象を受ける音楽も何か印象的。アップの連続とか暗転多用とか初々しいが、これがオールロケだと知ると凄い。
白・黒・グレーそれぞれの想いや問題はしっかり感じられるものが有った、でも長兄ヒューは即興にしてはちょっと上手すぎ。

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トミー