天狗党
劇場公開日:1969年11月15日
解説
三好十郎の戯曲「斬られの仙太」を、「刑務所破り」の高岩肇と、稲垣俊が共同脚色し、長編記録映画「ベトナム」の山本薩夫が監督した、幕末を背景にしたアクション時代劇。撮影は、「笹笛お紋」の牧浦地志が相当した。
1969年製作/102分/日本
配給:大映
劇場公開日:1969年11月15日
ストーリー
常陸国の百姓仙太郎は貢租の減免を願い出たことから強訴とみなされ北条の喜平一家に村から追われた。復讐の念に燃える仙太郎は江戸で剣法の修業を積み、博徒となって故郷に向かった。途中、仙太郎は仕置きの自分を助け起してくれた甚伍左親分に会い、娘お妙への伝言を頼まれた。お妙の家では、彼女の父が“天狗党”に加わっているとし、喜平一家の者が暴力をふるっていた。仙太郎は思わず抜刀、その腕の冴えに、偶然立会っていた天狗党水木隊長と隊士加多は、尊皇攘夷、世直しのために決起する党への参加を説いた。天狗党挙兵の知らせは筑波山麓から全国津々浦々に拡がり、仙太郎の働きは幕府軍の恐怖の的だった。だが、ニセ天狗党の出没で百姓たちの信用を落した天狗党は、それを同じ水戸浪士ながら諸藩連合派に属す吉本や甚伍左の策動と睨み、仙太郎を刺客兼、使者井上の護衛役として、江戸行きを命じた。仙太郎は会合の場で、かつて馴染んだ深川芸者お蔦に出会ったが、落着く間もなく、救いを求める井上の声に吉本を斬り、甚伍左の悲鳴を開かなければならなかった。しかし、この非常手段も天狗党の敗色を挽回するには至らなかった。水木は、天狗党の首脳部武田耕雲斎らを嘆願によって助命さすべく、それまで従ってきた百姓、やくざ、町人らを斬った。それは、士分以外の者がいては単なる暴動とみなされ、全員死罪は免がれ得ないという判断からだった。武士の言を信じた仙太郎もまた粛清のはめに陥入った。