つぐみのレビュー・感想・評価
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中嶋朋子氏が確かな演技力とナレーションの声質、凛とした透明感、存在感が素晴らしかったですね。
目黒シネマさんにて今年で11回目になる「~人を観るよろこび 第11回 市川準 監督特集~」開催(2024年11月24日~11月30日)。
本日ラスト3本目は牧瀬里穂氏主演『つぐみ』(1990)。
『つぐみ』(1990)
原作は吉本ばなな氏。市川準氏は監督兼脚本。主演の牧瀬里穂氏は相米慎二監督『東京上空いらっしゃいませ』(1990)に続く主演2作目でしたが、武田薬品の「ハイシーL」や「JR東海クリスマス・エクスプレス」のとにかくハツラツしたパブリックイメージとはかけ離れた「わがまま放題、気まぐれ、乱暴で暴言吐き。それでも繊細で心優しい、難役つぐみ」を演じきったのは、当時も驚きましたね。今でも彼女の代表作だと思います。
つぐみが恋する美術館勤務の好青年・恭一役の真田広之氏も非の打ち所がないカッコよさ。
個人的にはつぐみの従姉妹まりあ役として物語の狂言まわし演じた中嶋朋子氏が確かな演技力とナレーションの声質、凛とした透明感、存在感が素晴らしかったですね。ラストつぐみの体調を案じてアルバイト先で自然と涙するシーンは流石、出色です。
旅館に泊まってみたい
・10年ほど前に観て、見返したいと思い2度目の鑑賞。ラストにつぐみが、生きてた!っていうのと、旅館が風情あっていいなぁくらいでほぼ忘れてて、楽しく観られた。
・記憶よりも暴力的なシーンが多くて驚いた。逆恨みで犬のパンチのシーンや、バイクを事故らせたられたり。小さそうな島なのに、人が多くて賑わいが羨ましかった。70〜80年くらいに作られたんだろうなぁって建物が元気だった頃の日常に行ってみたくなった。
真田広之vs.吹石満(直接バトルはなし)
吉本ばななのTSUGUMIが原作。
西伊豆松崎の梶虎旅館が舞台。
従姉のまりあ(中嶋朋子)の語りで綴られるつぐみという名の同級生の従姉(牧瀬里穂)の話。ともに18~19歳時の撮影。
病弱だったため甘やかされて育ったつぐみはひがみっぽくて、口が悪く、奇抜な格好をしたり、家族の愛情を試すような悪態をつき、物凄く迷惑な存在。小悪魔というより悪魔と語られる。牧瀬里穂のコロコロ変わる目付きの印象は多部未華子のそれとちょっと似ていた。なかなか名演だと思う。
姉の洋子と同居する従姉のまりあが神。仲良くしていられるのがとても不思議だった。
近所の美術館に勤務することになった青年高橋恭一(真田広之)とつぐみは恋に落ちる。つぐみは中学のときから不特定多数と交際していたが、そのうちの一人地元の不良(なんと、髪フサフサの吹石満)が卑怯な仕返しを恭一にし、飼い犬のピンチを浜で殺してしまう。つぐみは不良たちに一人で仕返しを企てるが、その過程で体調を崩して入院してしまう。
中嶋朋子の透き通るような美しさが印象的な映画。
財津和夫とあがた森魚、安田伸が出演。
梶虎旅館はもうないらしい。残念。
「よお、ブス!」
西伊豆の小さな港町の、旅館の娘のつぐみ。
町でも評判の美人だが、生まれつき身体が弱い。さぞかしおしとやかな娘かと思いきや、
意地悪で、粗野で、口が悪く、ワガママで、甘ったれで、ずる賢い…という、性格ブス。
周囲を振り回す破天荒ヒロイン。
しかし、不思議と人を惹き付ける。
当時、19歳。
牧瀬里穂の圧倒的な魅力!
ただ可愛いだけじゃなく、その口から飛び出す「俺」「~だぜ」の男口調は、今で言うツンデレ。
気の強さは、本当は脆くて弱い自分をカモフラージュ。あるシーンの、雨に濡れた子猫のような表情は堪らなく男心をくすぐる。
時に激しく、時にしおらしく、堂々と演じ、確かに新人賞総ナメもの。
東京で暮らす従姉妹のまりあがこの町に帰ってきて、一緒に過ごすひと夏。
つぐみは不良から助けてくれた青年と恋に落ち、それがまたトラブルを巻き起こす…。
まりあに、中嶋朋子。『家族はつらいよ』ではすっかりオバサンだが、この頃は牧瀬里穂に負けず劣らず何と可愛い!
青年に、真田広之。何とハンサム!
青春ラブストーリーと言うより、ノスタルジックな青春ドラマ。
市川準監督の演出は、繊細で淡々と。
快テンポやコミカル要素や胸キュンポイントもナシ。
美しい映像、延々流れるヒーリング・ミュージックのような音楽、詩的なナレーションで、人によっては退屈で、眠気を誘うかも。
しかし、この雰囲気は嫌いじゃない。
まりあがナレーションで回想。
終盤、つぐみがある事で床に伏し、そういうオチに…?
いやいや!憎まれっ子世にはばかる。
ラストシーンの変わらずの“絶口調”に、こちらも笑みがこぼれた。
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